異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
第十六話 絶剣
「剣の道の果ては山の頂ではなく、果てなき大海のようなもの」
――東離劍遊紀――
「そう言えば先生。
「まあ似たようなもんじゃが、厳密に言えば違う。
対して
例えばお主ら転移組のオリジナル冒険者族がそうじゃ。まあお主らに関しては誰が、あるいは何がそれを為しているのかは今もって判然とせんが」
転生者は
「恐らくはの。まあ、こちらの世界に元々いた生き物が呼び出された可能性もなくはない」
「あ、そうか。異世界から呼び出せるなら、こちらの世界から呼び出すのは簡単ってことか」
でも、どっちにしてもメチャクチャ難易度高いですよね?
「当然じゃの。
あの中年デブも結構な術者だったんですよね? 縦横5mもある糖蜜の樽を何個もまとめてぶっ壊すような火球の呪文を使ってましたし。
「
そう言えば警邏に引き渡しましたけど、大丈夫です? 大樽壊された糖蜜工場の人はあのデブ(表の顔は結構な資産家だったらしい)の金で焼け太りだ!って喜んでたけど。
「なに、記憶をいじるついでにな。習得した呪文の記憶を大体消しておいた。改めて身につけるには相当時間がかかるじゃろうよ」
記憶操作KOEEEEEEEEEEE!?
それって、例えば普通の記憶とか、剣術とかにも応用できるんです?
「普通の記憶は消そうと思えば消せる。
例えば辛い記憶を消したりして心の病を癒したりとかの例もある。
剣術のような、身体に覚え込ませるたぐいの技術には余り効果はないの。
どちらにしても滅多な事でやっていい事ではないが・・・」
まあ、あいつならいいでしょ。街中であんなでかい火球ぶっ放そうとしたり、チュパくん無理矢理召喚して実験台にしてたような連中だし。
「そう言う事だね」
カオルくんはじめ、一座のみんながうんうんと頷く。
リタとチュパくんもだ。
「きゅーきゅー」
そう、チュパくんである。
あれ以来人目のないところでは、なし崩しに一緒に行動するようになっていた。
一座全員がチュパくんのことを知ってて黙っていたと知ったリタが激おこぷんぷんで、なだめるのに苦労したのは余談である。
しょうがなかったんだ、お兄ちゃんたちも苦しかったんだよ・・・!
「で、これからどうするの?」
まだちょっとご機嫌ななめのリタ。
「きゅー?」
その腕の中にはよくわからないという顔のチュパくん。
帰ってしまうかもと言う話を聞いて以来、彼と密着することが増えた気がする。
そう言えばチュパくんってオスなんだろうか、メスなんだろうか。
最近は俺達の会話も理解できるようになってきてて、男の子扱いしても特に反発はしないのでオスなんじゃないかとは思うが。
「例の遺跡には行くんですか?」
「行かざるを得ないだろうねえ・・・ケリをつけないとね」
いっせいに溜息。
まあ何だかんだあの中年デブはかなりの術師だったし、配下も結構な腕利き揃い。
『
しかも、どうやらこの国のかなり上の方と繋がりがあるようで、王国そのものがスポンサーみたいな状態らしい。
まあ異世界のものを呼び出せて戦力にできるなら、ほっとく手はないよな。
それはそれとしてひどい事をやってるなら潰すが。
「そう言えばチュパくんのいた遺跡って、王都の近くにあるんだよね?
チュパくんはどうやって逃げてきたの?」
「きゅー?」
首をかしげるリタ。真似をしてるのか一緒に首をかしげるチュパくん。
ああ、癒されるなあ・・・はさておき。
前にも話したはずだが、リタにはちょっと難しかったかもしれない。
「む。リタ、ちゃんと聞いてたもん。ちょっと聞き逃しただけだもん」
ああ、背伸びをするところすらかわいい・・・と、思ったところで鍔鳴りの音。
ですから! あなたの娘さんに不埒な感情を抱いた訳ではございません!
「まあリタはかわいいからねー」
「お父さんとしてはしょうがないかな」
苦笑しながらリタの頭を撫でるアルテとカオルくんがうらやましい――!
それはともかく、なでなでされてちょっとご機嫌の直ったリタに改めて説明。
チュパくんの話と中年デブその他の記憶を付き合わせたところ、どうも例の遺跡はこのメリゴアの王都ヌスタァダムから数キロのところにあるらしい。
今いるのがノストボで、町を一つ越えてその次。街道をまっすぐ辿れば十日ほどの道のりになる。
それで、傷ついたチュパくんがどうやってノストボの向こう側三日くらいのところまで来れたのかというと、チュパくんいわく、遺跡を走り回っていたらいつの間にかあそこにいた。
中年デブいわく、遺跡の機能はまだ完全に解明されたわけではなく、どうやら未探索エリアに逃げ込んで、何らかの機能が発動して転移してしまったのではないかとのこと。
「そう頻繁にあるものではないが、真なる魔法文明の時代の建築物には、緊急脱出用だったり、他の場所と素早く行き来できるようにテレポート・ステーションが設置されていたものがある。
調べてみないと分からんが、それが作動したのではないかな」
とは師匠の言だ。
しかしそんな便利なものが作れるなら、沢山作ってネットワーク形成すれば随分文明の進歩に寄与したでしょうに。
道路は戦略兵器だし、鉄道はハイパー戦略兵器だし、ワープゲートは超絶戦略兵器なんやで!(文明発展ゲーム脳)
「もちろんネットワークは作っておった。しかし真なる魔法文明とはいえ、瞬間転移ほどの高度な魔法装置となると、高位の術師の手作りになってしまうからのう・・・
大都市を繋ぐ交通網、それも馬車を通すくらいのそれがせいぜいだったんじゃよ」
うーん、家内制手工業。技術さえあれば大量生産ができる科学の偉大さよ。
ともかくそれで話は打ち切りになり、襲撃を警戒しつつヌスタァダムに向かうと言う事で決定した。
「・・・はい?」
甲高い金属音を上げて、シルヴィアさんの手から曲刀が叩き落とされた。
街道で襲撃者の一団が現れたと思った、その二秒後の出来事。
素早く跳ね上げる次の一刀に、彼女は対応出来ない。
時が止まったその一瞬に、黒い剣士が無理矢理割り込む。
「ひえっ!」
シルヴィアさんの前髪を数本宙に舞わせ、二太刀目がかろうじて首筋を逸れた。
恥も外聞もなく、後ろに転がって逃げるシルヴィアさん。
襲撃者――そのリーダーとおぼしき灰衣の老剣士も一歩下がる。
それにあわせて踏み込むガイガーさん。
繰り出される無数の剣戟、飛び散る無数の火花。どちらも一歩も引かない。
ウソだろおい! ガイガーさんと互角かよ!?