異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十八話 過去からの刺客

 その夜。

 

「もし、よろしいですか。そちらの火に当たっても構わないでしょうか」

 

 野営準備も終わり、そろそろ夕ご飯ができようかというころ、暗闇の中から声がかかった。

 多分旅人が俺達と一緒の火に当たろうと来たのだろう。

 

 実を言うとこう言う事は珍しくない。

 何せモンスターだの山賊だのが徘徊してる世界だ。もちろん普通の獣も出る。

 見ず知らずでも夜は一緒にいた方が安全なのだ。

 

 もちろんそれにつけ込んだ山賊とか泥棒のたぐいもいるので油断はしない。

 しないがまあうちの一座なら、大概の山賊や泥棒は怪しい動きをした瞬間に叩きのめされておしまいだ。

 

「ああいいよ! 武器は預からせて貰うけどね!」

 

 なのでシルヴィアさんも、気軽に応対する。

 チュパくんには師匠が魔法をかけて姿を見えなくした。

 

「感謝しますぞ」

 

 !?

 思わず体が戦闘態勢を取る。

 隣に座っていたガイガーさんも、いつの間にか立ち上がって剣に手をかけていた。

 

「オブ、リタたちを下がらせろ」

「!? わ、わかりました」

「お父さん?」

 

 滅多に聞けないガイガーさんの厳しい声。

 戸惑いながらもリタと透明化したチュパくんの手を引くオブライアンさんは対応力が結構高い。

 

「ハヤト、どういう事!?」

「ガイガー?」

 

 俺達二人の様子に、他の面々も色めき立つ。

 師匠は顔色を変えて杖を構え、他の面子は戸惑いながらも武器を用意する。

 素で人の気配を察する事のできるガイガーさんと、ミストヴォルグのセンサーを発動していた俺だけがいち早く気付いたこと。

 闇の中から炎の明かりの中に踏み出してくる人影は、昼間ガイガーさんと互角の戦いを演じた灰衣の老剣士その人だった。

 

 

 

「ほれ」

「えっ」

 

 ぽいっ、という感じで老剣士が剣を放り投げる。

 相手の胴を串刺しにする勢い、とかではなく、ごくごく普通に。

 戸惑いながらもそれをシルヴィアさんがキャッチ。

 

「何を驚いておられますか。武器を預けろと言ったのはそちらではないですか」

「そ、そりゃそうだけど・・・」

 

 ははは、と笑って更に近づいてくる老剣士。長い白髪と白髭を垂らした仙人みたいな人だが、話し方はけっこう若々しい・・・ん? 何かどこかで見たような・・・

 ともかくガイガーさんを見上げると、警戒は維持しているが臨戦態勢は解いている。

 一応話を聞いてみようと言うことか。

 シルヴィアさんは?

 

「・・・まあいいだろ。話を聞こうじゃないか。ついでにメシでもどうだい」

「痛み入ります」

 

 老剣士がぺこりと頭を下げた。

 

 

 

「まずは土産にこれを」

 

 差し出したのは丸っこい陶器のボトル。

 

「きつめの火酒ですが、お口に合えば」

「おお! わかってんじゃないのあんた!」

「こりゃっ」

 

 目の色を変えたシルヴィアさんを、師匠が杖でコツンと叩く。

 ホント酒には弱いんだからなあ・・・

 

 ちなみによその火に当たる時、食事も御馳走して貰う場合があるが、そう言う時は獲った野鳥とか干し肉とか菓子とか、とにかく何か手土産に差し出すのが礼儀らしい。

 所作もそうだが実際礼儀正しいっぽいひとである。顔立ちは日本人っぽいし、ひょっとして冒険者族の人かな?

 

「ん・・・?」

 

 どしたの、カオルくん。

 

「いや、何でも・・・」

「まずは名乗っておきましょうか。私の名はライゾム。

 日本での名前は川分(かわけ)市郎(いちろう)。オリジナル冒険者族です」

「川分先生!?」

 

 カオルくんが立ち上がった。

 愕然とした顔。

 それを優しげな笑みで見上げて老剣士・・・川分さんが頷く。

 

「大きくなったな、カオル」

「・・・」

 

 カオルくんは絶句したまま、呆然とかつての恩師を見下ろしていた。

 

 

 

「あー、取りあえず座らないか、カオル。お前が立ったままでは皆さんも話しづらいだろう」

「は、はい・・・」

 

 カオルくんが腰を下ろすと、沈黙が降りた。

 焚き火にかかった夕食のシチューが煮えていく音だけが辺りに響く。

 アルテがシルヴィアさんをちらり。

 シルヴィアさんが頷く。

 

「ハヤト、カオル、準備して」

 

 お、おう。

 

「うん、わかった。先生、少し失礼します」

「ああ、私のことは気にしないでいいぞ」

 

 川分さんがにっこり頷いた。

 食器を用意して戻る俺達。

 シルヴィアさんの指示でリタとチュパくんもついでに連れてきた。

 チュパくんを見てもさほどの反応を示さず、静かに待つ川分さん。

 食事が始まった。

 

「ほう、これは美味しいな。君が作ったのかい、お嬢さん」

「は、はい・・・」

 

 実際美味しいんだろうが全然味がしねえ。

 だってガイガーさんと互角だぞ?

 生身で巨大ロボットとやり合えそうな、それこそロボットアニメで言えば独弧求敗とか迫撃のベルトルトとか、そのレベルの達人兵器が目の前でメシ食ってんだぞ!?

 これがせめて「ナンバーワンをねらえ2!」のブラスターマシーン7号なら外見はかわいい女の子(貧乳だが)だから目にも優しい・・・

 

「ハヤト」

「ハヤトくん?」

「お兄ちゃん?」

「ちょいとアンタ?」

「きゅぴぴー」

「チューチュー」

 

 そこ、一斉に睨むな!

 チュパくんやハムリスどもまで!

 ちょっと想像しただけやんか!

 

「はははは、わかりやすいね、君は。しかしそうかそうか、カオルにもそう言う人ができたか」

「そ、そういうのでは・・・!」

 

 顔を真っ赤にして反論するカオルくんだが、声に力がない。

 ・・・ん? あ、そうか! この人昔カオルくんが結婚申し込んだ剣道の・・・

 

「うわあああああああああああああああああああああああああああ!!!

 言わないで! それ以上言わないでぇぇぇぇ!?」

 

 絶叫するカオルくん。

 川分先生は一瞬きょとんとした後、膝を打って得心顔になる。

 

「ああ、そうか! あったなあ! 確か少年剣道大会の前に・・・」

「やめてぇぇぇぇ! やめて下さい先生ぃぃぃぃぃ!」

 

 カオルくんの絶叫が夜空に響き渡った。




>独弧求敗、迫撃のベルトルト
Gガンダムの東方不敗マスターアジア、および今川ジャイアントロボの衝撃のアルベルト。
ロボットアニメ界隈で、生身でロボと戦える超人というとまず真っ先に名前の上がる二人。

>「ナンバーワンをねらえ2!」のブラスターマシーン7号
「トップをねらえ2!」のバスターマシーン7号。
外見は本当にただの小娘だが、初代ガンバスターに匹敵するほどの戦闘力を誇る。
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