異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十一話 嵐起こるスタジアム

 翌々日。

 「腕の立つものを連れてこい」と言われたらしく、俺達全員シルヴィアさんの後にゾロゾロくっついて元締めのところに向かった。

 野営地には師匠が結界を張って、リタや幻影変装したチュパくんも一緒である。

 

 元締めのところに行くと、庭で待たされた。他にも同業者が数十人いて、大体用心棒らしいのを連れている。女子供連れの俺達は「何しに来たんだこいつら」という視線を向けられた。

 リタとチュパくんはもちろんだが、この世界でも戦える女性というのはそう多くはないし、カオルくんはともかくシルヴィアさんやアルテはぱっと見ただの女芸人にしか見えまい。

 実際には怒らせたら一座の中でも一、二を争うヤバい連中なのだが・・・

 

「しょっちゅう怒らせてるのは大体ハヤトくんが悪くない?」

「お兄ちゃんはちょっと不注意だと思う・・・」

「取りあえず顔に出るのをなんとかせい」

 

 へいへい、どうせ俺が悪いですよ。

 電信柱が高いのも郵便ポストが赤いのもみんな私が悪いのよってな。

 

「その通りじゃないか」

「まあ大体ハヤトが悪いよね」

「自覚が足りねぇな」

「まあ素直に自分の欠点を認めるのはえらいのですぞ」

「自覚しても改善できなければ意味がないのでは?」

 

 うるせえよ! 謙遜で言ったんだ!

 後改善できないのはアンタも同じでしょオブライアンさん!

 ぜーはーぜーはー。

 

 ともかくそんな馬鹿な事を言ってたら、いつの間にか元締めが来てた。

 何か疲れた顔してるな。

 

「あー、良く集まってくれた皆の衆」

 

 よくぞ生き残った我が精鋭達よ!

 などと頭の中で茶化してた俺だが、その後の展開で目をひん剥くことになる。

 

「おい、一体どうなってんだ!」

「一週間も待たされて、こっちは干上がっちまうぞ!」

「この町は旅芸人に来て欲しくないのかよ!」

 

 現れた元締めに対して、早速集中砲火が炸裂する。

 「左官殺すにゃ刃物は要らぬ、雨の十日も降ればよい」なんて言うが、芸人も割とその日暮らしの商売だ。二日三日でもキツイのに一週間となったら死活問題だろう。

 

「うるせえな! 俺だって好きでやってるわけじゃねえよ!

 お前らのショバ代入ってこないのは結構キツいんだぞ!」

「だったらどうにかしろよ!」

「ワケを言え、ワケを!」

 

 逆ギレ気味に怒鳴る元締めだが、旅芸人たちの方も負けてはいない。

 そう言う世界渡ってきてるだけあって、どっちも結構な迫力だわ。

 この世界に来たばかりの俺なら小便チビってたかも。

 

「実はな・・・火除け地の権利をかけて野球をしろと言われてるんだ」

 

 はい?

 

「やきう?」

「野球ってあのあれか、ベースボールか?」

 

 火除け地というのは火事が起きた時の避難場所だが、普段は使ってない空き地なので「必要ならすぐに片付けられるから問題ないよね!」って建前で俺達芸人の興行場所になってることが多い。

 ちなみにこの世界野球がそれなりに普及している。俺の先輩たちは(ry

 

「言ってる意味がわからんだろうが俺もわからん。

 ともかく王都の組織から『火除け地の権利をかけて俺達と勝負しろ、戦力が足りないようなら旅芸人を参加させてもいい。ただし参加して負けたら火除け地の他に旅芸人やお前の組織の人員は引っこ抜かせて貰う』と言われてな・・・」

「アンタそれでもヤクザか!」

「みっともねえな! そこまで無茶言われたらカチコミしろよ! メンツ商売だろうがおたくら!」

 

 旅芸人たちが一斉に反発するが、今度は元締めも黙らない。

 というかまさかこれって・・・

 

「うるせえな! 黒等級相手に面子もクソもあるか! 相手は『ゲッティスの閃光』だぞ!? 俺達ゃサムライでも騎士様でもねぇんだよ! 死ぬくらいなら逃げるわ!」

 

 「黒等級」と誰かの二つ名らしい単語に黙り込む旅芸人たち。

 ああああああ、やっぱりぃぃぃぃ!

 

 

 

 ・・・と言うところで話は現在に戻る。

 覚悟を決めて案内された先には野球のグラウンドと、いい笑顔を浮かべた川分さん、そして揃いのユニフォームに身を包んだムキムキのマッチョマン達がいた。

 ちなみに他の旅芸人たちは逃げた。今頃大急ぎで旅支度を整えているはずだ。

 そらまー、ガイガーさんみたいなの相手にしなきゃならないとなったら逃げるだろう。

 誰だってそーする。俺だってそーする。

 

「良く来たなカスタさん。彼らがおたくの代表か?」

「ああ」

 

 苦虫をダース単位で噛みつぶしたような顔の元締め。

 彼のところの若い衆も一緒に来ているのだが、青等級が数人いるくらいで、戦力としてはほとんど当てになりそうにない。

 川分さんのチーム、緑等級がゴロゴロしている上に青等級でも上位の人達ばかりっぽいしなあ・・・。

 

「ではあらためて。良く来たな、待っていたぞカオル。正々堂々と決着をつけようじゃないか」

 

 ・・・まさかとは思うけど、カオルくんを仲間に引き入れるためにこの茶番を仕組んだとかじゃありませんよね?

 

「できれば君も引き入れたいと思っているよ、ハヤトくん」

 

 そりゃどうも。

 

「むしろ君が来てくれればカオルもついてきてくれそうだし」

「そそそそそ、そういうのじゃありませんから、先生っ!」

 

 はははと笑う川分さん。だーかーらー。

 

「火除け地の使用権と仲間の身柄じゃ話にならないね。帰っていいかい?」

「君たちが勝てば縄張りだけじゃなく、そちらのチュパくんにもう手を出さないと約束しよう」

「!」

 

 全員顔色が変わった。

 用心深げに、シルヴィアさんが言葉を重ねる。

 

「・・・そいつを信じるに足る根拠は?」

法神(ヤガン)の司祭にご足労願っている。負けてその様な事をするものがいたら、私自身が斬り捨てるように契約を結ぼう」

 

 うわー。本気だ。

 法神(ヤガン)は名前の通りの神様で、契約を司る神でもある。

 契約を結ぶ時に司祭に儀式を行って貰うと、その契約は絶対に破れなくなる。

 ギアスとかそう言う奴に近くて、破ったら死ぬんだそうだ。

 

「・・・」

 

 カオルくんの方を向くと、無言で頷く。

 

「いいだろう。やってやろうじゃないか」

 

 シルヴィアさんの言葉に、全員が頷いた。

 

 

 

「ちょっと!? あんたらのナワバリをかけた戦いだろう!?

 代表出さないでどうすんのさ!」

「け、けどあいつら相手にうちの若いモンじゃ・・・」

「緑等級の、ご自慢の用心棒がいただろ!」

「相手の名前聞いた瞬間に杯返して逃げ出したよ!」

「うわぁ」

 

 余りの事に絶句するシルヴィアさん。俺らも同様。

 後で聞くと、どうも元々首都から流れてきた人らしく、首都でライゾム・・・川分さん率いる組織に手ひどくやられたとか。

 うんまあそりゃ逃げるわな。

 

「せめて一人二人は出しなよ! こっちだけで9人は無理だって!」

 

 こっちが出せる戦力は俺、アルテ、カオルくん、ガイガーさん、シルヴィアさん、アーベルさん、ラファエルさん。ちょっと無理してオブライアンさん。

 

「こっちを見るでないぞ」

 

 まあ師匠は完全に無理だろ。リタやチュパくんは論外だ。となると・・・

 

「アンタの組で残った中で一番強い奴を出しなよ。せめてそれ位はしてもらうよ」

「残った中で一番か・・・」

 

 シルヴィアさんに詰められて、足元を見る元締め氏。

 

「ちょっと、まさか」

「わし、ってことになるかなあ・・・」 

 

 体格はいいが、でっぷり太った60絡みの元締めが肩をすくめた。




> よくぞ生き残った我が精鋭達よ!
「風雲たけし城」の攻略隊長・谷隼人の名セリフ。
アトラクションが終わるごとに言う。

>法神
もと魔法学院の風紀委員担当だったりしますw
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