異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
一番ショート・アーベルさん。
二番サード・シルヴィアさん。
三番ファースト・カオルくん。
四番ピッチャー・俺。
五番センター・ガイガーさん。
六番レフト・アルテ。
七番キャッチャー・ラファエルさん。
八番セカンド・オブライアンさん。
九番ライト・カスタさん(元締め)。
これが我がアルボルチ・ファイアーボールズ(名前は今決めた)のスタメンだ。
実に適当感溢れる編成だがしょうがない。
なにせ経験者が俺とカオルくんしかいなくて、それも学校の体育の授業程度。
後は観戦経験はあるかなーってレベルなのだ。
それで素人なりにうんうん知恵を振り絞って出したのが上のラインナップである。
脚が遅くて頑丈なラファエルさんをキャッチャーに、一番頼れないカスタさんを九番ライト、強肩のアルテをレフトに、最強キャラガイガーさんをセンターに置いてカスタさんの穴をなるべくカバー。
内野は運動能力の高い人を当て、オブライアンさんの穴はカオルくんとアーベルさんにお願いする。もっともオブライアンさんも、人間より遥かに身体能力の高い魚人で、かつ青等級クラスではあるからそう馬鹿にしたものでも無いと思うのだが・・・普段がなあ。
なお俺が四番ピッチャーなのは
俺がピッチャーになるのは《加護》の都合だが、「ピッチャーなら四番だよね?」とオブライアンさんが言い出して、他の三人がそれに乗っかったのだ。
もっともこの世界では四番ピッチャーキャプテン!代打ワシ!が割と普通らしい。
高校野球かよ。いや最後のは高校野球関係ないけど。
「で、準備は済んだかね?」
「今ルールの確認してるんだ、もうちょい待ちな」
高校野球の如く円陣組んでる俺達を覗き込んでくる川分さん。
シルヴィアさんがそれをしっし、と追い払う。
「えーと、投げる球を打って? 打ったら塁に走っていく。一周したら得点ひとつ。
三回空振りしたらアウトで、アウト三つで攻守交代か」
「ストライクゾーンにボールが入ったら空振りと同じですからね」
このレベルである。大丈夫かな・・・
「それではヌスタァダム・ハンニバルズとアルボルチ・ファイアーボールズの試合を開始する。プレイボール!」
審判の声が響く。
中立って事で、儀式してくれた
「がんばれー!」
「ブッ飛ばせよカスター!」
「ファイアーボールズー!」
「どんどん!」
いつの間にか周囲に観客が集まってる。物売りやテキヤの屋台まで立っていた。
お前ら情報早いな! そしてたくましいな! 応援はありがたいが! あ、応援は師匠の仕込みか。さすがそつがない。
ちなみに向こうはお揃いのユニフォーム。こっちは普段着にゼッケンだけ。
なおヘルメットとバット、グローブは彼らに貸して貰ってる。
用意良すぎるな川分さん・・・。
ともかくあちらの先攻。
トップバッターはそこそこ体格のいい兄ちゃんだ。足も速そう。
風切り音を立ててバットを振っている。
俺は振りかぶって投げ・・・初球打った! ファースト真っ正面!
カオルくんが受け止めた姿勢のまま3mばかり押し込まれ、グランドに足の跡が残る。
マジかよ。今このバッター、バットからロケットみたいに火を吹かせてスイングを加速しやがった。
「へっ、運のいい奴だ」
せせら笑いながらバッターが自軍ベンチに帰って行く。
そーかそーか、そーゆーことするのか。
《加護》を野球に使うのは正直後ろめたさがあったが、もう気にしない。
全力でぶちかましてやろうじゃないか。
轟音と共にミットに収まる白球。
一瞬遅れて衝撃波がビリビリと響く。
地面にへたり込み、呆然とミットを見て、次に俺の顔を見る
「ナイスピーですぞ!」
球が返ってくる。
元から頑丈なドワーフの体に、ペトロワ師匠の筋力耐久力上昇、ついでにグラブにも強化呪文をかけて貰っているラファエルさん。そうでもなければ今の球は捕れない。
「77(セブンティセブン)マグナム」。
熱血スポ根ロボットアニメ『烈風!アンドロリーガー!』の主人公、ソニックエースの必殺技・・・いわゆる魔球だ。
こいつに比べればどんなハイパワーボールでもパチンコみたいなもんさ!
え、このアニメ、ロボットでバトルする作品じゃないだろうって?
いいんだよ! ガチで戦ってる話もいくつかあるし、「ウルトラロボット大戦」にも参戦して、奇械獣やら極悪獣やらを必殺魔球で倒してたし!
「よ・・・
審判の司祭さんが今更のように判定を下した。
「
「
あっという間に三球三振。
小人族は呆然と突っ立ったまま、反応もできない。
それにしても審判の司祭さん、いつの時代の用語使ってるんだ。
戦時中から来た野球少年とかいたんだろうか・・・あ、注意されて直してる。
あっというまに三者三振して一回裏。
相手のピッチャーはひょろりとしたヤクザって感じ。とは言えどこか油断ならない感じもあるし、あの川分さんが先発投手に起用してくるんだから、やはりただ者ではなかろう。
「お手柔らかに」
「ふん」
トップバッターのアーベルさんと視線を合わせてニヤリと笑い合う。
アーベルさんは偵察要員だ。
第一打席は捨ててでも、相手の手の内を探って欲しいと言い含めてある。
実際、何かあるなら出さざるを得ないのがアーベルさんというバッターだ。
小人族だけに身長は人間の半分しかない。
つまり、ストライクゾーンが極端に低くて狭いのだ。
身長170センチの俺なら、大体地上40センチから120センチと言うところだが、アーベルさんだとこれが地上20センチから60センチになる。
人間のピッチャーなら、ストライクゾーンを通すのも難しいはずだ。
「プレイ!」
用語を修正した審判さんが手を上げると、ひょろりヤクザ――シカリという名前らしい――が振りかぶり・・・ぽーん、と言う感じで投げた。
「?」
アーベルさんは不審な顔で見逃しの構え。
当然だ、あのままだとアーベルさんの頭の辺り、つまりどっからどう見ても大外れのボール球だ。振る理由が無い・・・何っ!?
「なっ!」
棒球のスローボールがいきなり加速し、ほとんど直角に落下してから水平に走り、ストライクゾーンど真ん中を通ってミットに収まる。
「え・・・」
「???」
「よっしゃー!」
「見たか-!」
呆然とする観衆。
歓声を上げる敵。
おだやかに笑みを浮かべる川分さん。
「審判殿、判定は?」
「す・・・ストライクッ!」
沈黙の中、判定の声が響いた。
>代打ワシ!
ミスタータイガース藤村富美男。巨人の川上と並び称された戦後プロ野球の名選手。
「代打ワシ!」は選手兼任監督だった時、九回裏二死満塁で自ら代打逆転サヨナラホームランした伝説から。
プロで四番ピッチャーという大谷の先輩であり、日本初のサイクルヒット達成者でもある。
>77マグナム
>『烈風!アンドロリーガー!』の主人公、ソニックエース
>こいつに比べればどんなハイパワーボールでもパチンコみたいなもんさ!
「疾風!アイアンリーガー」の主人公マグナムエースとその必殺技44(フォーティフォー)ソニック。
77マグナムと三行目のセリフは同名の拳銃を使っているコブラのパロ。
>よし一本!
英語が「敵性語」だった時代の話ですねw