異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「きゅう」
死球を受けて大の字に転がるカスタさん。
デッドボール! テイクワンベース!
男を見せたぜカスタさん! あなたの死は無駄にはしないぞ!
「いや生きてるからね!? 勝手に殺しちゃだめだよ!」
あなたの事は忘れない。
カスタさんは生きている、俺達の心の中に・・・
「だからー!」
カオルくんとコントしてる間に、師匠の呪文で回復したカスタさんが一塁に進塁する。
シカリと他のメンバーの間でちょっと言い争いが起きているが、くくく、貴様らはもはや我らの術中よ・・・。
まあ実のところ大した事をしたわけではない。
シカリの酒瓶の中の酒に、師匠が《
別に毒入れた訳じゃないもんね! 試合中に酒飲んでる奴が悪いんだもんね!
シルヴィアさんなどには悪魔呼ばわりされたが、俺は悪くない。
そうだろう?
「悪い顔してる・・・」
「よくもまあこんなあくどいことを考えつくもんじゃ」
「どっからどう考えてもお前が悪いが、まあ相手もえげつないからトントンってとこかね」
「何かの拍子で悪の道に踏み込んだら後が怖いのですぞ」
「きゅー」
しょーがねーだろ! ガイガーさんでもなきゃあんなの攻略できねーよ!
球技で念動力使われたら、まともにやったら勝てんわ!
なのでまともじゃない戦術を使います。
カオルくん、わかってるね?
「わ、わかってるけど・・・ホントにやるの?」
顔が引きつってるカオルくん。
やるんだよ! チュパくんのためだぞ!
「わ、わかってるけど・・・わかったよ! もう、本当に強引なんだから・・・」
少し顔を赤らめるカオルくん。
こんな時でなんだがちょっとかわいい・・・ぐふっ!
「何鼻の下伸ばしてんのよ!」
肘はひどいよアルテさん・・・
「自業自得だろ」
あ、シルヴィアさんとアーベルさんもよろしくお願いします。
どっちか一人でいいので、何とか塁に出て下さい。
「りょーかい」
「まあ、やってみるさ」
軽く請け負う二人だが、今はその軽さも頼もしい。
その後打順が一番に戻り、アーベルさんがなんとセーフティバントで出塁。カスタさんも二塁に。
次の打席、シルヴィアさんが大根斬り打法で見事にボールの真芯を捕らえ、ホームベースに跳ね返って空高く白球が舞う。フェアだ!
ボールが落ちてくるまでの間に(カスタさんはちょっと危なかったが)三人がそれぞれベースに走り込む。
ここで満を持して、三番カオルくんの登場だーっ!
「キャー! カオル様ーっ!」
「ステキーッ!」
「ファイアーボールズー!」
「どんどんっ!」
一斉に上がる黄色い声。
カオルくんじゃなければジェラシーで狂いそうになっていただろうな!
俺は手品に感謝している。芸人にならなければ嫉妬仮面になっていただろうから・・・
「え・・・」
「あれ?」
だが、その黄色い歓声もカオルくんがバッターボックスに入ると戸惑いの声に変わる。
向こうのベンチでは「こいつマジか」って感じで目をひんむいてる奴もいる。
まあそれも当然だろう。
何せカオルくんの持っているのは黄金の象嵌が施された黒い剣。
彼女の愛剣にして伝説の黒騎士姫の魔剣、サンダースウォードである。
「・・・あの、それは?」
狂人を見る目の審判氏。
「バットです」
「いや、しかし・・・」
「・・・バットです!」
カオルくんの顔がちょっと赤い。
審判が困った顔をして相手ベンチを見る。
視線を向けられて肩をすくめる川分さん。
「・・・プレイ!」
溜息をつくと、審判さんはゲームを再開した。
「タイム!」
ととっ?!
ピッチャーシカリ振りかぶって・・・のタイミングで川分さんがタイムをかけた。
シカリがベンチに連れて行かれて、何か術をかけられてる。
しばらくして戻ってきたひょろりヤクザの、顔の赤みが大幅に薄れていた。
「《
さっきあちらの若いのが走り出していったから何かと思ったが、
あー、気付かなかったわ。
さすが川分さん、敵ながらこう言うところもそつない。
「や~れやれ、しばらく禁酒言い渡されちまったよぉ。
けど、もう俺の投球に隙はないぜぇ~。
何のつもりか知らないけど、そんなものを持ち出して来てもかすりもしないよぉ~」
自信満々に肩をグルグル回すシカリ。
だがもう遅いのだぜ。
今バッターボックスに立っているのは、お前の天敵だ。
シカリ、自信満々に振りかぶって・・・
「ちょいなっ」
!?
「っ」
カオルくんが上体をそらす。
その顔スレスレをホップした白球が通り過ぎ、身を翻してキャッチャーミットに収まった。
この野郎・・・狙いやがったな。
「ピッチャー! 次にやったらビーンボールを取るぞ!」
「へへぇ、すいませんねえ。まだ酒が抜けきってないらしいや」
厳しい声で指を突きつける審判。
シカリはのらりくらりとそれをかわす。
「ふうん」
あ。カオルくんの目の色が変わった。
怒らせると怖いぞ、彼女・・・
ボールがピッチャーに戻る。
再びサンダースウォードを構えるカオルくん。
ばちり、と稲妻が走った。
「!?」
稲妻はあっという間に刀身全てを覆い尽くし、周囲の空気を帯電させる。
「・・・」
シカリはゴクリとつばを飲み、それでも振りかぶった。
足を上げるその動きにはさすがと言うべきか、動揺はない。
「娘さん、そう言うこけおどしはよくないねえ。
おじさんには通用しない・・・よっ!」
投げた。
白球が疾る。
見えざる手に操られた魔球を待ち構えるは雷神剣。
「どれだけ雷が強くたって、俺の《見えざる手》は切れないよぉ!」
その通り。普通の稲妻ならな。
だがこれは破魔を司る雷神の力宿りしサンダースウォード。
同じ神の力でもなければ、《加護》だろうと古代の術式だろうと、あらゆる神秘を打ち砕く!
「ぬぁにいっ!?」
雷撃が閃き、白球に絡みつく。それと共に驚愕の声。
ボールを掴んでいた自身の《加護》が打ち消されたのを感じたのだろう。
恐るべき念動魔球も奴の《加護》がなければ、多少早いだけの棒球。
次の瞬間、鋭い金属音を響かせて、サンダースウォードが思い切り白球を叩いていた。
>俺は手品に出会ったことに感謝している~
「オレは音楽に感謝している ミュージシャンにならなければ猟奇的殺人者になっていたから」
「デトロイト・メタル・シティ」のヨハネクラウザーII世の名セリフ。
デスメタルバンドのマイクパフォーマンスなのだが、豹変した後のクラウザーさんより、素の根岸くんのほうのヤバさが分かってくるにつれ、「これ単なる事実じゃね?」となってくる奥の深い一言。
>嫉妬仮面
ガンガン初期の名作?「突撃パッパラ隊」の名キャラしっとマスク。
まあ大体名前通りの存在。