異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
あの鬱陶しい勇者が目の前で胸を貫かれて倒れた。
咄嗟に剣を抜こうとしたユリシーズも、デッカードに首筋を切られて倒れる。
(ばかめ、貴様が叛意を持っている事などとうの昔にお見通しよ)
こちらを睨みつけて倒れる騎士をせせら笑う。
いい気分だった。
昔から軽んじられてきた。
偉大な父、優秀な弟に比べ鈍い兄と陰口を叩かれてきた。
子供の頃はろくに言葉も話せず、知恵遅れと侮られ、廃嫡の話すらあった。
だが父は死に、弟も排除した。
世間や宮廷ではとかくの噂があったが、少なくとも父は自分の手で排除したわけではない。
迷いながらも、父は彼を廃嫡しなかった。だから最後まで父として、先王としての礼儀は尽くした。
無論弟は別だ。兄を侮り、排除しようとしていた小賢しい男。
そんなクズにかける情けは微塵もない。
弟の派閥については考える余地もあった。
弟の守役とその一族は処分せねばならなかったが、有能であり自分に対しても礼を失しなかったから当主蟄居で済ませた。
楽しかったのは弟の派閥のその他の有象無象だった。
自分の悪口を弟の耳に入れることが忠義だと信じているような連中、自分のことを頭から見下しているような連中。
それらを言葉で問い詰め、拷問し、時には家族が拷問されている様を見せ、家族の命を助けるためならばと屈辱的な命令にも従わせた上で、約束を破ってから殺す。
自分の陰口を言っていたその口でおべっかを並べ立て、冷や汗を流しながら愛想笑いを浮かべる姿を覚えている。
今まであれほどうとましく思っていたものが、自分が生殺与奪の権を握るだけで、こうも心地よいものに変わるとは。
爪の間に竹串を突き込まれ、あるいは焼きごてを当てられて絶叫する姿を覚えている。
これはもっと心地よかったが、いかんせん単調ですぐ飽きた。ので、趣向を変えた。
妻や娘が同様の拷問を受けるところを見せた。涙を流しながら言葉の限りに自分を罵り、呪い、恨みを叩き付けてくる。
火照った顔に雨粒が当たるような快感だった。
何故って、もう奴らは自分を傷つけることは出来ない。生き残ることさえ、自分の慈悲にすがるしかない。
そんな哀れな小動物が自分をいくらののしったところで、何故怒る必要があるのか?
最高だったのは「勝てばお前の家族は生かしておいてやる」と二人一組で殺しあわせたときだった。
かつての友人同士、仲間同士が必死で殺しあう姿には笑いが止まらなかった。
楽しい、と言うのはこう言う事を言うのだと生まれて初めて理解した。
涙を流すほどに笑った後、負けた奴らの家族を殺した。
そして勝った奴らの家族の両手両足を落とした。
「殺していないのだ。嘘は言っていないぞ?」
ショック死したのも何人かはいたが、それは耐えられない方が悪い。無罪放免とは言っていないのだから。
怒りと絶望に吼える愚か者ども、不忠者どもの姿に涙を流すほど笑って、そこでおしまいにしてやることにした。きれいさっぱり。
いい気分だった。
弟にくみしていた連中の処断はそれで終わったが、何分にも自分は王だ、そればかりやっているわけにもいかない。
当座の課題は国王の権力を強めることと、国力を増すこと。
幸いにして彼の守役にして後見人は国でも有数の大貴族で、妻の実家も有力な貴族家。
妻も子を妊娠し、しかも
未来は順風満帆だった。
妻が死んだ。
生まれるはずだった息子と一緒に。
時を同じくして後見人と、妻の父も死んだ。
にわかに宮廷が騒ぎ立て始める。
死んだ王妃の後添いに我が家の娘を。いや是非我が家の娘を。
それと同時に息を潜めていた反国王派がうごめき始める。
今や直系は自分一人で首をすげ替えるのは難しいが、動きを掣肘することは出来る。
政策に異を唱えなければ。自分たちがいなければ何も出来ないと言う事を教えてやらねばならない。
あっという間に宮廷は政争の場と化し、政治は滞るようになった。
胸の内に起こるのは疑念。
証拠はない。証拠はないが妻が死んだのも、息子が死んだのも、父のように慕っていた後見人が死んだのも、義父が死んだのも、やつら反国王派の仕業ではないか?
疑念はやがて確信に変わり、怒りに変わる。
新しい妻を娶った。これも大貴族の娘。
年が離れてはいるが、後ろ盾を得るための必要な行為。
そしてその大貴族というのが国の東の海沿いに領地を持っており、昔からの決まり事で漁場の半分を縄張りとする
(これだ)
一人ほくそ笑んだその数日後。
「
「!?」
目を白黒させる反国王派の貴族達の愉快だったこと!
無論、奴らには率先して矢面に立って貰う。
それを可能とするくらいの根回しは既にしてあった。
何しろ国内有数の大貴族が大喜びで影響力を行使したのだ、息を吹き返したとは言え反国王派に止める術はない。
それから二年。
「戦況は動かんな」
「思ったよりも
新しい義父の言葉に呆れた。
こいつ、本当に海の上で
それも諸侯から拠出させた程度の兵力でだ。
どのみち反国王派の諸侯は矢面に立たせて随分と兵力を削り取った。
軍費の拠出や長期間の出征で、財力も随分と消耗させた。
(そろそろオアンネスとの戦争もやめどきか・・・)
問題は半ば意地になっているこの頭の悪い男の説得だけだ。
「ドウヤラお困りのようですワネッ! お力になれると思いますがどうでショウ?」
ボハボハボハ、というカバのような笑い声。
一見人間とはとても思えないような脂肪の塊。
自分で歩けない程太った、空飛ぶ円盤に乗って移動する怪魔導師に会ったのはそんな時だった。
「勇者を、オリジナル冒険者族を召喚できるだと・・・?」
「エエ。もちろんそれなりにおカネはかかりますケド・・・どうカシラ?」
もちろん、答えは決まっていた。
回想に沈んでいた意識が現実に戻ってくる。
倒れた勇者と裏切者の騎士。もう一人の勇者は硬直して動けないでいる。
《魔剣の加護》持ちはうまくおだてて使えるかと思ったが、使えないなら使えないで魔剣さえあればいい。
魚どもとの戦争には役に立たなかったくせに、自分を殺そうとしたときだけ力を発揮した勇者などはさっさと殺してしまえばいい。
ああ、いい気分だ。
そして王は満面の笑みを浮かべた。
たたかえ! ドクターヘルは桜多吾作のマジンガーZコミカライズの一編。
若い頃の兜十蔵との出会いや甘酸っぱい青春の思い出、ナチスへの協力やあしゅら・ブロッケンの製作などを余すことなく描いた感動の一代記です(嘘は言ってない)