異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十話 鉄の玉を握りつぶせるなら石炭を握りつぶしてダイヤに出来る

 リタと師匠が聞きつけた巨大な「なにか」。

 今日の興行が終わった後、それを探す為に師匠はアーベルさんと俺を連れて出かけた。

 

 まずは「騎獣を招来するもの(コールライド)」に見つからないよう透明化して、城壁の周辺をぐるりと回る。

 この王都、大きな川の河口にあり周辺は一面の農地。

 見通しが良くて、どこに何があるかはパッとわかる。

 

「大体の場所は分かってるのかい、ばあさん」

「声が大きすぎてかなり近いと言うことくらいかのお。城壁の周辺をぐるりと回っているのは、方角だけでもつかめないかと思っての事じゃ」

 

 なるほど。

 存外「騎獣を招来するもの(コールライド)」のアジトの地下遺跡にいるとか?

 

「なくはないのう。どちらにしろ面倒な話じゃて」

 

 二時間ほどかけて城壁をぐるりと一周する。残念ながら収穫はなく、俺達は野営地に戻った。

 

 

 

 夕暮れ。

 この王都でも俺達が芸を演じる場所として許されているのはやはり火除け地であり、帰途につくお客さんと夜の町に繰り出す同業者でごった返している。

 その雑踏の中、あちこちのテントからいい匂いがしてくる。

 同業者たちもみんなメシ時だ。

 だがウチのアルテほどの料理上手はそうはおるまい。

 それ、もうすぐアルテの料理のいい匂いが・・・。

 ・・・。

 あれ、してこないな?

 

 

 

「ああ、ばあさん帰ったかい。ちょっと急ぎで頼むよ」

「? いったい何があったんじゃ」

 

 まさかアルテが怪我でもしたのか!?

 あいつの料理の匂いがしないのはそういうことか!

 

「落ち着きなよ、馬鹿」

 

 あいたっ。

 

「帰ってきて最初に出てくるのがそれ? 時々思うけど、ハヤトくんって結構食い意地張ってるよね」

「ですぞですぞ。うまいものに関してはドワーフ並みに見境がないのですぞ」

 

 ええいうるさい。

 日本人ならこれくらい普通なんだよ!

 

「そうなの?」

「きゅー?」

「まあここ数百年のオリジナル冒険者族は割とそう言う傾向があるらしいのう・・・それはともかく何があったんじゃ」

「それがね・・・」

 

 案内された焚き火の前にあったのは、料理の残骸がこびりついたフライパン。

 ただし、その鉄の柄は無惨にねじれ引き裂かれている。

 

「あ、おばあちゃん。あはは、そのね・・・」

「この怪力娘が柄を握りつぶしやがったのさ」

「ちょっと! シルヴィア!」

 

 ギャアギャア騒ぐアルテを無視して、思わずフライパンをガン見する俺達。

 

「・・・マジだな。アルテの手の形にねじ切られてやがる」

「何をやらかしたんじゃお前。小僧が浮気する現場でも想像しておったか」

「違うわよ!」

 

 というか、なんでそこで俺の名前が出てくるんですかねえ!?

 俺は清く正しく美しい健康優良少年ですよ!

 

「「「「「・・・ハッ」」」」」

 

 半数以上の人に鼻で笑われた!?

 アルテやカオルくんも冷たい目してる! ここは熱心に反論してくれるところでしょ!

 

「そんな事言ってもねえ」

「事実でしょ」

「きゅー」

「チュパくん、だめだよそんなこと!」

 

 ちゅ、チュパくんにまで肩をすくめられた・・・ハヤトちゃん大ショック。

 

「まあ小僧の妄言は置いとくとして、何やったんじゃおまえ(アルテ)

「本当に何もしていないんだって! いつも通りに鍋振ってたら、いきなり柄が折れて中身こぼれて、手元を見たらこんな感じで・・・昨日からちょっと頭が痛いけどそのせいかなあ」

「うむむ。まあ取りあえず修理はしてやるが・・・」

「晩飯どうしようかねえ・・・?」

 

 あー、フライパン振るだけなら俺がやりましょうか?

 それなりに経験はあるし、味付けだけアルテがやってくれれば。

 

「その手があったか。でも大丈夫?」

 

 カオルくんがやるよりはイケると思うで。

 

「わ、悪かったね! 大体そう言う事言う!?」

 

 さっきの冷たい目のお返しじゃい!

 

「ええい、騒ぐなガキども。今修理するからさっさと飯を作らんかい。

 小僧は手を洗ってこい。カオルはアルテの手伝いをせい」

「は、はい」

 

 うーっす。

 

 

 

 食事中。

 さすがにアルテが味付けしただけあって、いつもの通りのうまいメシである。

 が、カオルくんはまだツンツンしてる。

 

「それはまあアルテが味付けしたんだからね。炒めるくらい誰がやっても同じでしょ」

「カオルはフライパン振るのも何か雑なのよねえ。無意識に手抜きしてるのか何なのか。

 だから火が入らなかったり逆に焦がしたりするのよ」

「ぐっ!?」

 

 おおっと、ここでアルテからのカウンター! カオルくん崩れ落ちたーっ!

 しかしあれだけ華麗に剣を操るのに料理だけアレなのはほんと何なんだろうね。

 やっぱり×(ペケ)技能なのか。

 そんなことを考えていたら、カオルくんが恨めしそうな目で俺を睨んでいた。

 ちゃうねん。

 

「しかし何でこんな事に」

「まあ考えられるのはアルテの《加護》が力を増しているということかの。

 今までの加減で柄を握ったら、思ったより遥かに強い力で握ってしまったんじゃ」

「うわぁ・・・ただでさえ怪力女扱いなのに、これじゃお嫁の貰い手がなくなっちゃう・・・」

 

 そこでちらっとこちらを見るアルテさん。

 あざといさすがアルテさんあざとい。

 

「何よ! 結構本気で落ち込んでるんだから慰めてくれたっていいじゃない! 俺が嫁に貰ってやるとか!」

「アルテも結構人のこと言えないレベルであざといよね」

「あ、アルテちゃんが結構落ち込んでるのはホントだから・・・」

「恋の駆け引きなんだ、それくらい別にいいじゃないか。そう言うわけでハヤト、今夜一緒にどうだい? お姉さんが気持ちいいコトして上げるよ」

 

 上から逆ギレした怪力娘、冷めた目のカオルくん、何とかフォローして上げようとする心優しいリタ、耳年増のおぼこお姉さんの妄言である。

 

「怪力娘で悪かったわねえ!?」

「誰がおぼこ娘だって!」

「待て!」

 

 拳とジョッキが飛んでくる寸前、師匠の鋭い声がそれを制止した。

 同時にガイガーさんとアーベルさんが武器を掴んで立ち上がる。

 

「野営地の中に誰か入ってきたぞ」

「!」

 

 アルテとカオルくん、リタ、チュパくん、オブライアンさんをテントの中に残して素早く外に展開する一行。

 ライゾムの刺客かスパイと思いきや、闇の中から現れたのは泥だらけのおじさん。

 

「あ、あの、ここがハスキー一座ですか・・・私の話を・・・聞いて頂きたい・・・」

 

 そう言うとおじさんはバタリと倒れた。




タイトルはウマ娘のジェンティルドンナから。
一時期話題になりましたが、鉄の玉を握って小さくできるなら、最低でもスーパーマン並みの腕力はあると思いますw
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