異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十四話 獅子の蔓(ライヴァイン)

 無造作にライゾムが足を踏み出す。一瞬遅れてガイガーが。

 敵も味方も動かない。ただ二人だけが互いに歩み寄る。

 ガイガーとライゾムの姿がぶれた、と見えた次の瞬間、激しい金属音と火花が散る。

 それが開始の合図だったかのように、全員が一斉に動いた。

 

「サンダースウォード!」

「ファイアーボール!」

「ストーンブリット!」

「ソード・ダンサーズ!」

 

 中央ではガイガーとライゾムの、余人の立ち入る隙のない剣戟と火花の嵐。

 カオルの雷撃や、術師の火球、石弾、飛来する剣の雨。

 それらをくぐり抜け、あるいは軽傷を負いながらも前衛達が剣を交える。

 あっという間に広大なホールは乱戦のるつぼと化した。

 

「たっ!はっ!やっ!」

「このっ・・・」

「ファイアーボール! スパイダーウェブ!」

「高速発動だと!?」

 

 ガイガーとライゾムを別にしても、この場にいるのはいずれ劣らぬ腕利きばかり。

 だがその中でもサンダースウォードを振るうカオルと、高速発動によって実質二倍の速度で詠唱を行えるペトロワが一頭地を抜く。

 まだ倒されたものはいないものの、明らかに押されている流れがライゾムには見えた。

 ガイガーから視線は外さぬまま、僅かに舌打ちする。

 

「リーヴィル! 『それ』を使え!」

「わかりました!」

 

 戦闘には加わらず、後ろで様子を見ていたリーヴィルが禍々しい笑みを浮かべた。

 

「メル・マーク・バレロ! やれ!」

 

 取り出した護符に呪文を唱えた瞬間、巨大なライオンとツタの混合物が身じろぎした。

 

「!」

 

 直径1mを越える緑色のツタがシルヴィア達に襲いかかる。

 ただしガイガーを除いて。

 姿がぶれるほどの高速で位置を入れ替えつつ、無数の剣戟を互いに繰り出す。

 そうした超人たちの間に割って入れるほどの力はないと、巨獣でさえ認識している。

 

 だがその域に達していない他の者達にとって、それは災害にも等しい。

 70mの高さから加速をつけて振り下ろされる丸太のようなツタ。

 古代のアーティファクトを身につけたカオルはまだしも、それ以外は重装のアルテですら、まともに食らえばひとたまりもないだろう。

 

「くぉのぁ!」

 

 もっともそのアルテは振り下ろされるツタを打ち返し、あるいは垂直に立てたメイスの先端をツタに突き刺してへし折っている。ハヤトが見ていたら「ジョンストーン家の守護神・慈悲の女神像攻撃!」とでも言ったかもしれない。閑話休題(それはさておき)

 

 そうも行かない他の者は何とか回避し、ペトロワは個人用の防護結界で凌ぐ。

 とは言え『騎獣を招来するもの(コールライド)』側もここぞとばかりに攻めこむとはいかない。

 下手に突っ込めばもろともに潰される。

 いびつな拮抗状態。

 

「・・・?」

 

 シルヴィアが眉根を寄せた。

 一座の中で、ガイガーと彼女だけが攻撃されていない。

 明らかに触手が彼女を避けている。

 

「・・・」

「!?」

 

 その中でシルヴィアとリーヴィルの目が合った。

 深くなる禍々しい笑み。

 

「良かったなあ、シルヴィアお姉ちゃん。

 リーヴィルの小僧は今でもお前さんが大好きだとよ」

 

 一瞬時が止まった。

 繰り出される剣を、かろうじてシルヴィアがはじく。

 幸いだったのは、シルヴィアの相手もリーヴィルの言葉を理解してしまったということか。

 

「テメエ・・・まさか」

「そうとも。この怪物を動かしてるのはチビのリーヴィルだ!

 喜んでやってくれよ、あいつが欲しがってた力を俺が与えてやったんだぜ!」

「!?」

 

 剣戟の音と詠唱の声が止まる。

 愕然と振り返るライゾム。ガイガーも剣を止めた。

 

「り、リーヴィル・・・お前は・・・あの子供をこの魔獣と合体させたのか!?」

「術師どもが人間と融合すればうまく操れると言ってましたので。

 実際中々のコントロールでしょう?」

「・・・」

 

 ライゾムの表情を見た部下たちが、恐れの表情で一歩下がる。リーヴィルもだ。

 鬼も逃げ出す憤怒の表情で、だがライゾムは静かに言葉を放った。

 

「・・・リーヴィル。お前を破門する。わしに斬られる前にどこへなりと消えろ」

 

 額に汗を浮かべていたリーヴィルがこちらも憤怒に顔を歪める。

 

「ふざけんな!

 アンタの命令に従ったまでだろう!

 ああもういい、アンタのクソアマちゃんぶりには辟易してたんだ!

 リーヴィル! こいつらを全員ブッ殺せ! 今日から俺が組織の・・・」

 

 その瞬間、リーヴィルの体が腰から上下に裁断された。

 愕然とするその視線の先には、剣を振りきったライゾム。

 

「『飛ぶ斬撃』・・・!」

 

 誰かが呆然と呟く。

 それと同時に響く獅子の咆哮。

 

『GWOOOOOOOOOOOOOOOO!』

 

 何十本ものツタが振り下ろされ、その一つが上下に断たれたリーヴィルを直撃した。

 暴れる「リーヴィル」ことライヴァインから、敵味方問わず離脱。

 移動は余り得意ではないのか、広間の隅に移動したちっぽけな人間たちを、もがきながら威嚇する。

 ライゾムがガイガーたちに向かって深く頭を下げた。

 

「すまぬ。このような事を頼める筋合いではないが・・・何とかあの中の子を救う手助けをしては頂けないだろうか・・・!」

「・・・はっ」

 

 そのライゾムをシルヴィアが鼻で笑う。

 

「むしろアンタらがアタシらの手助けをしな。

 あいつはアタシがいっぺん面倒を見たガキだ。最後まで面倒見るのがスジってもんだろ。

 あんたら、いいね?」

 

 一座の面々が笑みを浮かべる。

 

「かたじけない」

 

 それを確認して、ライゾムはもう一度頭を下げた。

 

「先生! ボクのサンダースウォードは合成獣(キメラ)の術式を解呪して、元の生物にバラバラにしてしまう効果があります! 接着剤を溶かすみたいに!」

 

 かつての教え子の言葉にライゾムが頷く。

 

「よし、ならば我々は露払いだ。カオル、十分にチャージして撃ち放て。ガイガー殿、頼めるか」

「無論」

 

 ガイガーが頷き、二人の超人が並び立った。

 

 

 

 獅子の咆哮が轟く。

 丸太のようなツタが空間を切り裂く。

 先ほどよりも更に早く、更に荒々しく振るわれるそれは、家や並の城壁位なら容易く木っ端微塵にできるほどの威力。

 だがガイガーとライゾム、二人の超人はそれに真っ向から挑む。

 恐らくは音速を超えるツタをやすやすと避け、1mを越える太さのそれを無造作に切り裂く。

 見る見る間に増えていく、伐採されたツタの残骸。

 無数とも思えるツタが減ったようには見えないが、それでも他の面々が脇と上で囮になって、二人への圧力を減じている。

 

「オラァ、この悪ガキぃ! 引っ張り出して尻が真っ赤になるまでぶったたいてやるよぉ!」

「ははっ! 姐さん、お手柔らかにな!」

「クケェーッ!」

 

 空中を飛び回るのは、ペトロワに飛行の呪文をかけて貰ったシルヴィアと、風を操る五番セカンド、鳥人と化した六番センター。

 一撃とは行かないもののシルヴィアがツタを斬りつけ、セカンドが蹴り飛ばし、鳥人が爪で切り裂く。そして。

 

「これがおいらの魔球、ファッ●ボールだよぉ!」

 

 下品な事を言いながら、直径50センチ余りの戦輪(チャクラム)を縦横無尽に操るのはピッチャーをやっていたシカリ。

 一撃で切り裂くほどの威力はないが、正確に、連続して同じところを攻撃する事によって既に一本を切り落としている。

 無論地上でもその他の面々が囮となって、ツタを引き付けていた。

 その中でも獅子奮迅の働きをしているのがアルテで、武器がメイスだけに切断とは行かないが、ツタを半ば砕いて動きを止めていた。

 そして。

 

「みんな、退避して!」

 

 カオルの声に、全員がほぼ一瞬で魔獣の目の前からいなくなる。

 ほとんど同時にカオルの制御できる限界の雷撃が放たれ、その場にいる全員の目をくらませた。




>ジョンストーン家の守護神・慈悲の女神像攻撃!
ジョジョの奇妙な冒険でジョナサンが最初にディオと戦った時の決まり手。
四階の高さから落下して、ディオの体を慈愛の女神像(正確には中の鉄芯)に突き刺すことで脱出を封じ、火で焼いた。

>ファッ●ボール
魔球ファックボール。
中指立てた握りでボールを投げるという頭の悪い必殺技w
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