異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十九話 怪獣戦騎ムリョウ

 アラチア山脈の主峰・チェルミー山。

 落ちてきた流星がその白い峰をクレーターに変え、ついで吹き出した黄金の雲が周辺一帯を覆ったさまは遠くからでも見えた。

 王都の北側に位置するいくつかの村では既にパニックが起きている。

 

「悪魔の仕業だ!」

「いや真龍だ! 真なる龍が目覚めたんだ!」

「ら、ライゾム様が何とかしてくれる! 大丈夫だ!」

「おい見ろ!」

 

 遥か彼方、黄金の雲が渦を巻き、黄金の四つの塔が天を貫いた。

 

 

 

『おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』

 

 四つの竜巻に全魔力を注ぎ、金のチリを吸い上げる。

 竜巻をどうにかしようとしたのだろうか、ツタが何本もちぎれて上空に消えていく。

 俺の体に絡まってくるそれもあるが、俺は無視して竜巻の制御に集中。

 視界を占める黄金の霧が少しずつ薄くなり、最後にはあっという間に消えた。

 

『マシンフォース! 豪子力バリアー!』

 

 竜巻から切り替えてマシンフォースを発動。全身にバリアを帯びて体に絡みついたツタをはじき飛ばす。

 エネルギー攻撃を吸収する黄金のチリがない今、この程度なら・・・なぬっ!

 大半消失していたリオランテのツタがほとんど再生している!? キモイ顔もだ!

 というかむしろ一回り大きくなってないか?

 これは・・・持久戦じゃやばいかもしらん。

 

『GWOOOOOOOOOOOOOOO!』

 

 もはや人間らしい会話はせず、獅子の咆哮を上げるリーヴィルの頭。

 体を持ち上げ、無数のツタで俺を狙う。

 

『透視光線! エスパーアイ!』

 

 ムラマサを取り出し、タリエシンの宝珠で体を透視する。

 ええい、襲ってくるツタ、邪魔だ!

 

 しばらくかかったが透視は成功した。

 リーヴィル顔面の付け根、ツタが生えている中心あたりに強い魔力の反応。

 あ、そうか。ライヴァインの方で小さいリーヴィルがいたのもその辺りだったな。

 あの時はガキンチョの方を助ける必要があったからみんな苦労しただろうが、もう人間やめてるだろう元ヤクザ相手に容赦はしない。

 

 ・・・ちっ、またあの金色のチリを吹き出し始めてる。

 エネルギー攻撃は使えないな。物理で一点集中でブチ抜く技・・・右手のムラマサにふと目が落ちる。

 正確にはその鍔元にはまった琥珀色の宝珠に。

 よし、これだ!

 

『スクランダー・カァット!』

 

 マッハ5の推力全開で垂直上昇。

 紅の翼で切り裂かれた無数のツタがボタボタと落下する。

 

 太陽。

 ツタの樹海を抜けて遮るもののない大空に。

 眼下には俺を追いかけてきた、塔のように連なるツタの塊。

 

『ゴッドホーク・チェェェェェンジッ!』

 

 呼び出すのはオカルトロボ「ブレイバー雷電」。

 体が変形し、鳥のような姿になる。

 反転、急降下。

 ツタで見えないが、頭部のありそうな場所に、斜め上から急降下。

 その様はまさしく獲物を狙う猛禽だ。

 

『透視光線! エスパーアイ!』

 

 琥珀の輝きを放つ鳥の目が魔力の輝きを放つ。

 急所を再確認! 照準セット!

 ツタが俺を追ってくるが、遅い! 最大速度! 一点集中で貫くその技の名は!

 

『ゴッドホーク・アタァァァァァッッックッ!』

 

 光の矢と化した猛禽が、巨大リーヴィルの顔面とその付け根の急所を貫いた。

 

 

 

『急速上昇ッ!』

 

 勢いよく急所を貫き、地表にぶつかる直前に機体を起こす。

 200mほど急上昇したところで変形を解いて人間形態に戻る。

 どうだっ!

 

 振り向くと、巨大なツタの塔が崩れ落ちるところだった。

 やったぜ。

 

 地響きと土煙を立てて、高さ1kmに達していたツタタワーがへたり込む。

 倒したってことでいいな、これは。

 ただ、ぐんにゃりしたツタが数百メートルの山を作ってる。

 異界から召喚されたもんだし、焼いておいた方がいいのかこれ・・・

 

 その瞬間、前触れもなくツタが飛んできた。

 全力回避ぃぃぃ!

 

 ジグザグ飛行、垂直上昇、急降下、反転。

 ありとあらゆる飛行テクニックを駆使して回避離脱。

 おいこれさっきに比べても勢い凄いぞ!?

 

『GWAAAAAAAAAAAAAAA!』

 

 どうにか離脱して上空2000m。

 俺を見上げて、半分ライオンみたいになったリーヴィルの頭が俺に吼えていた。

 

 

 

「クケェーッ!」

 

 上空から状況を偵察していた鳥人が戻ってくる。

 

「どうだ、ザラク」

「良くないあんばいです、オヤジさん」

 

 人間に戻った男がかくかくしかじかと状況を説明する。

 

「貫いても再生する・・・か。とんでもないな」

「金色の霧に隠れてしまいましたが、俺が飛び上がった時にはかなりボロボロになっていたのが、さっき金色の霧が晴れた時には元より大きくなっていました」

「再生能力ね。それとも増殖かしら。ともかく、事実上無限のエネルギーが供給されている以上、あれを止める術はないわ。ちぎれた破片から新しい個体が生まれる可能性すらある。急がないと、本当にこの次元が食い尽くされちゃうかも」

 

 ライゾムが顔を歪めた。

 

「だから古代の魔術師たちはあれを封印していたのか。そして我々はそれを実験材料として使ってしまった・・・」

「先生、後悔は後でもできます。今はできる事をしましょう」

「お嬢ちゃんの言う通りですよ、オヤジさん。いつも自分で言ってるじゃないですか」

「そうか・・・そうだな」

 

 苦笑しながらカオルの頭を撫でる。

 

「せ、先生?」

「負うた子に教えられるとはこの事だ。わしも歳を取るわけだよ・・・とは言え、あれを片付けてからでないと死ぬに死ねんな」

 

 ライゾムの言葉に一同が頷く。

 

「まあそう言うこったね。それでアルテ。後は何を用意すればいいんだい?

 この際だ、何でも放出してやるよ」

「取りあえず魔力結晶ありったけ」

「ぐっ!?」

 

 強烈な一言にシルヴィアがひるむ。

 

「ぜ、全部って・・・」

 

 魔力結晶は魔力の肩代わりをしてくれ、下手な宝石よりよほど価値がある。

 その全部というのは、今一座の持っている財産の半分以上だ。

 ちなみに、ライゾムの組織にも当然大量の備蓄はあるが・・・今は全て瓦礫の下だ。

 さっきの研究所にとって返した連中もいるが、間に合うかどうかは心許ない。

 

「何でもって言ったでしょ。多分全部は使わないと思うから出して。

 それとラデルアの手前であのセンシャ見た時、龍の咆哮を聞いたでしょ。

 あれシルヴィアなら再現できない?」

 

 シルヴィアの《加護》は《声の加護》だ。鍛え方次第ではあるが、彼女ならば大抵の音や声は再現できる。

 

「こうかい?」

「ゴッドジラ!?」

 

 歌姫の喉から出て来たとは思えない怪獣の咆哮。

 ライゾム・・・オリジナル冒険者川分市郎が目を丸くする。

 

「あ、わかるんだ」

「それはまあ有名だからな・・・」

「それでラファエル、あの時かかっていた曲は再現できる?」

「こうですかですぞ?」

 

 すかさずバイオリンを弾き始めるラファエル。

 

「そうそう、そんな感じだったわね」

「怪獣大闘争のマーチか! どういうことだ?」

「というか先生、音楽だけで一発で分かるんですね・・・」

 

 くすりと笑いつつ、アルテが説明を重ねる。

 

「魔術的な再現ですね。儀式の・・・」

「召喚を成功しやすくするために、環境を整えようということじゃの。

 ほれ、準備は終わったぞ」

 

 横から割って入るペトロワの声。

 人の壁が割れて老魔女が姿を現した。

 

「ほら、シルヴィア。魔力結晶急いで持ってきて」

「わ、わかったよ」

 

 走り出すシルヴィアを横目にアーベルが首をひねる。

 

「なあアルテ。よくわかんねえんだけどよ・・・何を始めるんだ?」

「ゴッドジラの召喚よ」

 

 アーベルも見た事のない表情で、アルテがにっこり微笑んだ。




タイトルは学園戦記ムリョウより。
ムリョウは無量、仏教では無限という意味です。
あとおわかりの方もおられるでしょうが、川分先生は結構な隠れおたくです。

>ゴッドホークチェンジ
勇者ライディーンのゴッドバードチェンジ。
鳥になって吶喊するヒサツ・ワザ。
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