異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第四十話 怪獣王の晩餐

 地平線の彼方で光がきらめき、炎が上がる。

 時折大きな光がひらめくが、ツタの山が小さくなったようには思えない。

 

「急ごう。シルヴィア、ラファエル。おばあちゃんの左右に並んで。鳴き声と音楽を。

 カオルはゴッドジラって知ってるのよね? 幻影を作って。できるだけ大きく」

「わ、わかった」

「リタとチュパくんはわたしとお婆ちゃんと手を繋いで、ゴッドジラの声を聞いて。何となくでいいから私に伝えて欲しいの。聞いたことをそのまま心の声で」

「う、うん」

「わかったけど・・・でもこれなんか意味があるのかい?」

 

 言われた通りにペトロワの横に立つものの、困惑を隠し切れないシルヴィア。

 

「簡単に言えば雰囲気作りじゃな。

 魔術も意外とデリケートなものでの、状況を再現したり、好むお香を焚いてやったり、形状の似た何かを用意してやったり、言わば『雰囲気』づくりで成功率が結構上下するんじゃ」

「なるほど。劇の成功は脚本や役者の演技のみならず、大道具や伴奏の良し悪しにも依存しているとそう言う事ですな」

 

 演劇関係者らしいラファエルのセリフにペトロワが頷く。

 その後ろで幻夢剣を手に集中するカオル。やがて空中に揺らぎが生まれ、それは100mを越す巨大な怪獣の像を結ぶ。

 カオルの知る最新最強の怪獣、真・業怒児雷(ゴッドジラ)

 シルヴィアの咆哮とラファエルの演奏がそれに重なる。

 

「さて、準備は出来たぞ。これから何をやってくれるんじゃ」

 

 ペトロワがニヤリと笑う。

 

「もちろん」

 

 こちらは真剣な顔でペトロワの手を取るアルテ。

 

「ハヤトを助けるのよ」

 

 目を閉じ、集中する。

 

接続(リンク)来た・・・■■■■■■(来たれよ異界の獣)■■■■(汝が如く)■■■■■■■(この世にあらざる獣を)■■■■■■■■(そのくびきから解き放て)

「何と! 真の言葉(トゥルースピーク)か!」

 

 ぴくり、と幻影のゴッドジラが動いた。

 

「ボクは動かしてない・・・アルテ?」

「ラファエル、音楽強くして。シルヴィア、吠え声を幻影(あれ)の動きに合わせて」

「わかったのですぞ」

「わ、わかった」

■■■(来たれ) ■■■(来たれ) ■■■(来たれ) ■■■(来たれ)

 

 幻影のゴッドジラの動きが変わった。

 ゆらゆらと動く幻刻の如きそれから、命の宿ったそれに。

 

■■■(来たれ) ■■■(来たれ) ■■■(来たれ) ■■■(来たれ)

 

 ゴッドジラの目に光が灯った。

 命の宿った肉体に、魂が宿る。

 

■■■(来たれ)!」

 

『~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!』

 

 シルヴィアの鳴き真似ではない、本物のゴッドジラの咆哮が響いた。

 

 

 

『超電導! ヨーヨーッ!』

 

 「超電磁メカコンヴィクターV」の必殺武器の一つ、超電導ヨーヨー。

 名前の通りの刃がついたヨーヨーだが、超電磁力のヒモを振り回してところ構わず切り裂けるので、四方八方からツタが飛んでくるこの状況では使える武器だ。

 

 とは言え、切り離したはしから再生するんじゃ、マジでじり貧だ。

 あれからもう一度金のチリを吹き飛ばして大火力を叩き付けてみたり、急所を別の技でブチ抜いてみたりした。が・・・ダメっ・・・!

 どちらもあっさり再生しやがった! コクピットやメインエンジン吹っ飛ばしてダメならどーすりゃいいんじゃい!

 って、ブチ切れた触手が再生して小さなリオランテになってる!?

 こんなん全部焼き払うしかないが、金のチリのせいでそれもできない。

 こんな時は・・・助けて師匠えもん!

 

(呼んだか小僧)

 

 うわマジで返事が来た。

 持つべきものは頼れる師匠だなあ!

 

(そう思うなら普段から敬え。まあそれは後じゃ。簡単に言えば、そいつは異世界と繋がって無限のエネルギーを得ておる。我慢比べで勝ち目はない)

 

 マジか。

 それまんま「強装計画(プロジェクト)ゼロガイマー」の日輪のゼロガイマーやんけ。

 木のザンスターは一話でゼロガイマーにやられるかませロボ!

 さんざんフラグを立てた上に必殺のドラゴン・デッド・トルネードも全く効かず、メイオウスマッシャー食らって原子分解された第一の犠牲者!

 そりゃー相性が悪いってもんだ!

 

(言ってる意味はわからんが落ち着け)

 

 はいはい落ち着いてますよ。

 前後左右上下から飛んでくるツタを伐採しながらにしてはね!

 これがほんとの飛び六方かHAHAHAHA!

 

(馬鹿な事言っとる場合か! ともかく今から助っ人がそちらに行く! そうすれば無限の魔力は途切れるはずじゃから耐えろ!)

 

 さすが師匠! 頼りになる! そこにシビれる! 憧れるっ!

 む、ツタの合間から何か近づいてるのが見える。

 あれが師匠の用意してくれた助っ人・・・

 助っ人・・・・・・・・・・

 

 え、マジ?

 

 

 

 アルテが歩く。

 それと全く同じ動きで歩く巨大な怪獣王。

 だがゆっくり歩いているのにその姿はいつの間にか彼方へと去っている。

 アルテもまた。

 

「あ、あれはどういう・・・?」

「空間をいじっているようじゃが・・・はっきりしたことは言えん」

「マジですかですぞ」

「アルテちゃんって一体・・・?」

 

 呆然と見送る一座と一同の前で、アルテの背中は地平線の向こうに消えていった。

 

 

 

 ぱぱぱぱ ぱーぱーぱーぱぱ ぱーぱぱぱーぱぱ ぱーぱーぱーぱぱ~♪ 

    (https://www.youtube.com/watch?v=sjN7RNOv6hw)

 

 怪獣大闘争のマーチ。機動戦闘しながらも、その音楽ははっきり聞こえてきた。

 襲い来るツタの合間を縫って山脈のふもと、地上にはっきりと確認できるのは怪獣王ゴッドジラ。

 そしてその周囲を固める、無数の自衛隊10式戦車。

 通常互いに向けられるべきその牙と砲口は、今は一直線にリオランテの方を向いている。

 

『~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!』

 

 咆哮が轟いた。

 砲口が火を吹いた。

 

『GWOOOOOOOOOOOOOOOO!?』

 

 全弾命中。リオランテの苦痛の咆哮が響く。

 !? 被弾した部分が再生しない! 師匠の言ってた無限魔力封じか!

 

 そして怪獣王が口から赤い火炎を吐きつける。

 この放射パターンは・・・!

 

 赤い、通常の火炎放射だったものが青いガスの炎のようになり、同時に口が獲物を飲み込む蛇のように大きく裂ける。

 次の瞬間、火炎は青白い光線となって、熱したナイフがバターを切り裂くように、ツタを次々と切り裂いていく。無論再生もしない。

 放射光線キターっ!

 

『WAOOOOOOOOOOOOOOOOOO!』

 

 獅子の咆哮。リオランテのツタが爆発的に伸び、ゴッドジラと戦車隊を上空から襲う!

 さすがの国会議員総落選ビームも全てのツタを一息に焼ききるわけにはいかず、防御が間に合わない・・・などと言うことは全くない!

 

(何故そこまで断言・・・お、おおおおおお!?)

 

 常に悠然とする師匠の、珍しい驚愕の声。

 ゴッドジラの背中から、無数の青白い光線が発射されてツタを切り裂いたのだ。

 背中のヒレから発射されるそれは、口から放つ放射能光線と全く同じもの。

 真・業怒児雷の監督が「史上最高の映画」と評する天承巨神イセオンの武器を模したと思われるそれは全方位ビーム!

 高層ビルを切り刻み、無数のドローンを残骸に変え、国会周辺をまるごと廃墟に変えたそれは、上空から襲い来る無数のツタを全て切り裂き、消滅させる――!

 

 リオランテのツタを全て切り払うと、ゴッドジラは力尽きたように頭を下げる。

 いつの間にか戦車隊の砲撃もやんでいた。

 放射能光線の名残のような赤い火炎を吐き出し終わると、かがんで目を閉じる。

 最後の一瞬、その目がこちらを見たような気がした。

 ありがとうよ、怪獣王。

 あんた、最高だったぜ。

 

 一瞬笑うように目をすがめ、怪獣王と戦車隊は姿を消した。




>飛び六方
ONE PIECEのカイドウの幹部ではなく、歌舞伎で勧進帳の弁慶がやる、片足で立ってちょんちょんちょん、と跳ねるあの動きのこと。
あの身振り手振りが前後左右上下を指すので六方(=六方向)と言うそうです。

>真業怒児雷
シン・ゴジラ。庵野秀明監督。
自衛隊の戦車が十式なのもそこから。
なおカオルくんとハヤトはシンゴジや怪獣惑星は知ってますが、キング・オブ・モンスターズや-1.0、アニゴジ二作目以降は知りません。

>国会議員総落選ビーム
内閣総辞職ビーム。
マジで内閣を総辞職(殉職)させたw

>イセオン
新入社員にイデオンの映画見せる位好きだそうです。
まあ実際あの映画は凄い。富野さんの最高傑作だと思う。
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