異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第四十一話 黄金の拳

『透視光線・エスパーアイ!』

 

 再度ムラマサを取り出して透視光線を使う。

 はっきりとは分からないが、魔獣の全身を覆っていた魔力が変質しており、喉元?の魔力の塊も明らかに変質している。

 怪獣王と自衛隊戦車の攻撃は、確実に相手にダメージを与えていたらしい。

 

『GWOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!』

 

 !?

 更に人間離れしたリーヴィルの顔が吼えた。

 ツタが一斉に再生し、リオランテの巨体が復活する。

 ちぎれたツタから生まれた子リオランテも一斉に動き始める。

 ちっ、金のチリも吹き出しやがった。

 だがもう奴に無限の魔力はない。

 今いるのを倒せばおしまいだ。

 

 それにはエネルギー兵器に頼ることなく、純粋な物理打撃であいつらを一斉に撃破しないといけない。

 ラオライガーのゴルギアスハンマーを始め、それを可能とする必殺技はいくつかあるが、どれも難度が高すぎて今の俺では再現できない。

 そもそもこの姿はあくまでデモゴディΣ。

 人間の姿ではかろうじて使えても、再現難度の高い技をサブスロットで使うには、何か一押しが必要だ。

 たとえばドワーフの洞窟で、《歌の加護》を持つシルヴィアさんを同乗させることでブレイバー雷電の必殺奥義・ゴッドロアーを発動できたように。

 

 つまり今の俺はデモゴディの技か、何かのコンボを決めないとこいつらに勝てない。

 だがある。

 コンボを決めるまでもなく、こいつらを一度に撃滅できる必殺の技がデモゴディにはある。

 今まで試して成功したことはないが、今俺は最高にノっている。体内の魔力が最高潮だ。

 当然だろう。怪獣王と防衛軍の共闘なんてものを見せられ、あまつさえそれに助けられてノらないわけがない――!

 

『ゴッド・ドラグランダーッ!』

 

 鋼鉄の咆哮が轟く。

 それと共にデモゴディの背中の翼がより鋭角化し、太いダクト状のものが三つ生えてくる。

 そして。

 

『ロケットパンチ! 1000連発っ!』

 

 咆哮と共に、天空から無数の鋼の拳が現れる。

 ロケットパンチ1000連発。

 Gガンボイのトンデモ演出監督、今出川康宏によるデモゴディリメイク『シン・デモゴディΣ』の最終決戦兵器。

 真・業怒児雷とシン・デモゴディの真そろい踏み!

 

「Bi!」

「Gyab!」

 

 降り注ぐ鋼鉄の豪雨。

 無数の子リオランテが、無数のロケットパンチに叩き潰されて悲鳴を上げる。

 叩き潰された子リオランテは最早動かず、再生もしない。

 

『ギZaマァ! ワDaSHIヲ! ワダZiノ子ヲォォ!』

 

 吼えるな。

 お前には取って置きをくれてやる。

 見よ! 天を貫き地を穿つ! 全てを砕くこの拳!

 

 デモゴディの胸が開き、頭部が格納される。

 両腕が展開し、背部の三本のダクトが延びて五本の「指」となる。

 翼がデモゴディの肉体を覆い、「腕」となる。

 巨大な「ロケットパンチ」と化したデモゴディが上昇し、黄金に輝く。

 その様は中天に輝く日輪の如く。

 そして昇った太陽はやがて落ちる。

 

『ギ、ゴガァァァァァ!?』

 

 黄金の輝きに目がくらんだか、リオランテが悲鳴を上げる。

 太陽のように輝いて頂天に昇った黄金の拳。その高度は五万メートル。

 太陽はゆっくりと落ちて大きく赤くなるが、彼方の輝きは黄金の色をとどめたまま、流星の如く地に落ちる。

 その名は――

 

『ビッグバン・ロケットパンチッ!』

 

 黄金の巨拳が大怪獣の顔面を直上から貫く。

 

「言ったろ。今日は最高にノってるんだ」

 

 巨大な爆発がその姿を覆い隠した。

 

 

 

 爆発の煙が晴れたころ、俺は人間の姿に戻っていた。

 今回はやばかった。

 今までで一番やばかったかもしれん。

 

 クレーターの中に動くものは・・・なさそうだ。

 まあ無限の魔力だか何だかを断ったんだ、ここから再生するってことはないだろ。

 あの怪獣王たちも・・・あれ? ちょっと待て、アルテかあれ!?

 

 

 

 アルテを拾って野営地に飛んでいく間に、師匠との念話通信が復活した。

 巨大な魔力の嵐とか、強い精神体が崩壊した時の余波とか、そう言うのがあると通じなくなるらしい。

 無線と大して変わらんのやな、そのへん。

 

(それでアルテはどうじゃ)

(かなり疲れてる・・・これ魔力を消費してるのかな? でもアルテが何で?)

(実のところ、リオランテの無限の魔力を断ったのはこやつじゃからな。

 それは消耗もするじゃろうて)

 

 え、どういうこと? まさか《怪力の加護》で太いケーブルをえいやって引きちぎった?

 

(それがな・・・)

 

 推測混じりで師匠が説明してくれたところによると、ラデルア周辺には俺達の世界に通じる扉みたいなものがあったのだという。

 チュパくんがやってきたところと違って、そこを通って帰ることは出来ないそうだが。

 だから川分さんは五十年前そこに降り立ったし、アーティファクトで召喚の実験をしたら俺達の見た戦車隊やゴッドジラが出てきた。

 

 そしてラデルアの門と同期したアーティファクトを使って向こうとのリンクを作り、師匠がそれを維持したままヌスタァダムに帰還して、幻影のゴッドジラや鳴き真似を加えて例のゴッドジラと戦車隊を召喚。

 リオランテが体内に持っていた別次元との繋がりを、同じく別次元との繋がりを持つゴッドジラと防衛軍の攻撃によって相殺したと。

 なんでアルテがそんなことできるのかはともかく、随分と助けられたな、今回は。

 

(そうじゃな。せいぜい優しくしてやれ)

 

 うへーい。

 

 

 

「はい、あーん」

「あーん」

 

 俺の差し出したスプーンにぱくりと食いつくアルテ。実に幸せそうである。

 今、俺は横になったアルテに雑炊(俺とリタの合作)を食べさせてやっていた。

 いつもは食べさせて貰う方だが、まあたまにはいいだろう。

 今回は本当に助けられたしな。

 

「えへへー」

「むう」

「むー」

「こうなったらアタシはハヤトに口移しで・・・いたっ!」

 

 照れ笑いするアルテ、むくれるカオルくんとリタ、アホな事を口走って師匠に折檻されるシルヴィアさん。

 なおチュパくんは、門の開くタイミングがどうとかで、慌ただしく帰って行った。

 しばらくリタには優しくしてあげないとな。

 

 クソガキリーヴィルは師匠の治療を受けて回復した。

 川分さんのとこの人がラデルアまで送ってくれるとのこと。

 ゴクアクドリームを見せつけられ、キメラの材料にされた上で「俺は成り上がってやるんだ!」ってまだ言えるのはすごいっちゃすごい。是非とも真っ当な道でビッグになってくれ。

 

 川分さん・・・ライゾムは正式に隠居し、跡目を部下の人に譲った。

 大半使ってしまった魔力結晶をポンと補填してくれたのは実にありがたい。

 何か言われたカオルくんが真っ赤になっていたが・・・何を言ったんだろう?

 そんなことを考えていたら、アルテにほっぺたをプニプニとつつかれた。

 

「むー。また別の女の子の事考えてる。今は私に御飯食べさせてくれてるんだから、私のことだけ考えてよね」

 

 へいへい、今のわたくしはアルテ様の下僕ですからして、何でもお命じ下さい。

 しかし、本当に何であんな事ができたんだ?

 

「わからない。色々な事言ったのは覚えてるけど、何でそんなこと言えたのかは全然わからないし思い出せないのよね」

 

 憑依されたとかではないんだよな。

 

「お婆ちゃんがそう言ってるんだからそうなんじゃないかなあ・・・」

 

 うーん、まあ分からないのは不安だが、そう言う事もあるんだろう。

 

「気にならないの? わたしがわたしじゃなくなるかもしれないとか」

 

 色々知識があっても、俺を助けようとしてくれたんだろう?

 だったらアルテであることに変わりはないよ。

 

「ハヤト・・・」

 

 でもまあ賢いアルテより、ちょっとおばかな今のアルテの方がいいっちゃいいかな。

 

「馬鹿ッ!」

 

 ぐぶっ!?

 アルテさん、みぞおちは反則・・・

 

「ばかだなあ」

「もう、お兄ちゃんは・・・」

「馬鹿だねえ。ほんっと、馬鹿だねえ・・・」

「自業自得じゃ」

 

 そして響く鍔鳴りの音。

 ここ怒られる場面ですかガイガーさん!

 

「ストロングなんだ♪ ビッグなんだ♪ ぼくらの デモゴディなんだ~♪」

 

 食事しながら見ていたデモゴディのEDを聞きつつ、俺らのいつもの日常は過ぎていった。




はい第八巻、一巻の終了にございます。
今回はオムニバス形式で、第一章がシルヴィア、第二章がリタ、第三章がカオルくん、第四章がアルテそれぞれヒロインという構成を目指しましたが、それを全体でまとめるとなると中々とっ散らかりました(反省)。
構成力ってどうやったら鍛えられるんだろう・・・

なおアルテのあれこれについては当分ひ・み・つ(キモイ

>ゴルギアスハンマー
ゴルディオンハンマー。
数キロ範囲の物質とエネルギーを一撃で消滅させられる、問答無用のメガトンツール。

>今出川康宏
今川泰弘。味ッ子とGロボとGガンで一時代を築いたアニメ監督。
ダンバインの「ハイパージェリル」の人でもある。
何気にガンダムとマジンガーとゲッターと鉄人28号を全て監督したロボットアニメのグランドスラム制覇者。

>ロケットパンチ1000連発
ロケットパンチ100連発。能ある鷹はロケットパンチを隠す。
大体名前通りの技だが、どう見ても100発じゃ足りない。
なお原作では無数のロケットパンチが合体して巨大ロケットパンチとなるが、その後のビッグバンパンチとかぶるので省略。

>ビッグバンパンチ
作中通りのトンデモ必殺技。
マジンガーの必殺技では一番好き。
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