異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第四話 演芸戦争・第一幕

「そう言うわけで世話になるぜ、座長さん。むさ苦しい連中ばかりだが、まあ勘弁してくれ」

 

 当日朝、そう言って頭を下げてきたのはひげ面力士体型のおっちゃん。兵士長だそうだ。

 部下共々粗末な私服で、ウチの下働きとかお客さんに紛れて領主様を護衛するとのこと。こっちに配慮してくれるのは素直にありがたい。

 

「まあ今の領主様は結構お忍びのお出かけが好きでな。いつの間にか慣れちまった。

 タダ見ができるって喜ぶ奴も多いんだぜ」

 

 うんまあそれはわかるわ。

 余録だよね。

 

「なんで護衛任務は結構人気なんだぜ。兵士長同士、サイコロで奪い合いになるくらいでな」

 

 いい加減やなあ・・・

 

「まあ下っ端兵士なんてそんなもんさ。でかい国の精鋭部隊ならともかくな」

 

 にしし、とアーベルさんが笑った。

 

「姉ちゃんも手品が大評判らしいじゃねえか、期待してるぜ。

 それで公演がはねたらどうだい、俺と一晩」

 

 全力でノウ! ハスキー一座は清く正しい芸人一座です!

 大体外見は女でも、中身は男なんやで! と言ってやりたいところだが、この世界「別にいいよ、男でも」とか「むしろ男がいい」って連中もそこそこいるので下手な事は言えん。

 女装して演じるのは結構久しぶりだが、あからさまに男の視線が違うんだよなあ・・・そういう意味ではシルヴィアさんの目論見は大成功である、ちくしょうめ。そう言う趣味ないから! ノーマルだから俺!

 

 

 

 さて、領主様が来ているとは言え、俺達としてはいつも通りにやるだけである。

 最初の方は手すきの俺とガイガーさんで木戸番・・・つまりお客さんの受付をしているが、中から口上や歓声が漏れ聞こえてきて、受けているのが分かる。

 一時間ほどしてやって来たアルテ及びリタ、カオルくんと交代。

 お客さんとか領主様とかどんな感じ?

 

「お客さんはいつも通り。領主様も結構良い感じみたいね。

 わたしの力持ち芸にも、リタの動物芸にも拍手してくれてたし」

 

 結構いいお客さんみたいやな。

 よーし、それなら俺の手品で度肝を抜いて、心底楽しませてやろうじゃないか。

 ちなみにリタの動物芸はこの大きさのテントだと小さいので、師匠が後ろに拡大幻像をリアルタイムでアップしている。魔法すげえ。

 

「その意気、その意気」

「お父さんもお兄ちゃんも頑張ってねー」

「おう、がんばるぞー」

「・・・」

 

 リタの声援に手を振る俺、頷くガイガーさん。

 ちなみに出番の都合から言うとカオルくんやアルテ、リタも俺と一緒に受付できなくもないのだが、ガイガーさんの強い要望でこう言う組み合わせになっている。

 ・・・俺、そのうちばっさり切られたりはしないよな・・・?

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 兵士長さんが大口を開けて絶句している。

 観客席の人達も、領主もだ。

 この瞬間に暗殺企んだら100%成功しそう。

 

 何かというと、ガイガーさんのコマの刃渡りである。

 剣の刃の上をコマが走るだけでも信じがたいのに、切っ先でコマが回るってどう考えてもおかしいだろおい。魔法かよ。

 兵士長さんもこんな役職についてるだけあってそこそこ腕利きなのだが、だからこそ凄さがわかっちゃうんだろうなあ。

 

「・・・なあ、ホッチョ・ペッパー氏。あれ、魔法じゃないよな?」

 

 信じがたいでしょうが一から十まで技術です。魔法(マジック)じゃなくて絶技(アート)です。

 

「世の中には凄いのがいるもんだ」

 

 兵士長さんがしみじみと溜息をついた。

 その後ラファエルさんの笑芸で観客席(及び楽屋裏の兵士達)を爆笑の渦に叩き込み、シルヴィアさんの美声がそれをまた静かにする。

 そして満を持しての俺の出番である。

 

「アルテちゃんおっぱーい!」

「キャーッ! カオル様ーッ!」

「ホッ、ホッ、ホッチョちゃーん!」

「ほっちゃんホアーッ!」

 

 野郎ども(一部女郎ども)のだみ声にももう慣れたもんだ。

 カオルくんはまだしも、アルテもそこらへんはさすがに場慣れしてる。

 

「オオオオオオオオオオオ!?」

 

 まずは小手調べのトランプお手玉だ。

 一年前《加護》に目覚めたばかりの俺とは違う。

 当時は単に二つ三つばかりのトランプのラインを作るのが精一杯だったが、今やトランプを舞台一杯に、どころか客席の上にまで乱舞させている。

 ・・・トランプ一組しか使ってないんだけど、どう見ても100枚や200枚じゃ利かない枚数が舞っているよなあ。増えた分はどこから来てるんだろう・・・まあ超奇術だし考えない方がいいか。

 

 無論、その他の手品も大幅パワーアップしている。

 ステッキの先から花が出る奇術はお客さん全員の服や垂れ幕一面に花が咲くように。

 ちなみに咲いた花は術を解除すると消えてしまうのでおみやげにはできない。残念。

 

 ハトを出す奴とか、紙の蝶が宙を舞う奴とかも相応にスケールアップしている。

 縛られて巨大な水槽に放り込まれ脱出する奴とかはまあ余り変わらないが。

 

「はい、こちらから・・・こうっ!」

「おおおおおお!」

 

 そして、この町に来てから始めたのが瞬間転移マジックである。

 アントンさんのあれを参考・・・ぶっちゃけパクった。

 何と言ってもセイウンザーは普通にテレポートできるのだ。

 扉とか舞台の穴とか、そう言う仕掛け無しに舞台の端から端まで、もしくは舞台の上からテントの入口までなど、お茶の子さいさいだ。

 ただ、「瞬間転移の術の使い手と思われたら要らん干渉を受けるぞ」という師匠のありがたいお言葉があったので、煙を立ててその隙に転移するとか、ついたてを二つおいてその間を転移するとか小技を利かせてある。

 まるっきりアントンさんのパクリではあるが恥ずかしくはない。技に著作権はないのだ!

 オリジナリティを重視する芸人もいるようだが、俺の答えは違う。サイモック四千年をパクリまくるっ!

 

「はいご注目ー!」

「おおおおおおおおおお」

 

 煙と共に消滅してテントの入口に転移した俺に、師匠の幻影エフェクトが当てられる。

 しかも出現したのは空中だ。

 そのまま観客の頭の上をふわっと移動して舞台に戻る。

 今日最大の喝采が起きた。

 

 その後の人体分断マジックでもそれに負けず劣らずの大きな喝采。

 いや、悲鳴混じりのと言った方が正確か。

 というのも、最近はこれも少しアレンジを加えて、バラバラにしたアルテとカオルくんの体のパーツを、師匠の念動で飛び回らせているからだ。

 ただバラバラにして戻すよりはショッキングではないですかですぞ?という約一名の意見を取り入れた結果である。「空を飛ぶのは人間の根源恐怖招来体を呼び起こすのですぞ」とのことだが、多分それはラファエルさんだけだと思います。

 

 その後の劇も、幻夢剣と師匠の幻術と俺のロボット幻影を併用した派手派手の演出で大受けし、午前の公演は大喝采のうちに幕を閉じる。領主さんも興奮して拍手してくれてたし、まずは大勝利と言っていい結果に俺は満足したのであった。




>技に著作権はない!
島本和彦「燃えるV」より。

>サイモック四千年をパクリまくるっ!
刃牙シリーズより。
近代空手のメンツなんてものにこだわってないで、いいものはパクリまくるぜ!の精神。

>根源恐怖招来体
ウルトラマンガイアの根源破滅招来体。特に意味はないw
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