異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第六話 早着替えはヒーローのたしなみ

「ちょっとしたハプニングであります。皆様の驚きを引き出すためのサプライズという奴ですな。それでは引き続き、我が一座の誇るラインダンスをお目にかけましょう」

 

 その後アントンさんが素早く別の出し物を出してその場を収めた。

 うーんそつない対処。さすがに大規模一座のトップをやってるだけはあるな。

 で、楽屋にいるのだが。

 

「どういう事なのか、説明して貰えないかな、座長」

「そ、それが、我々にもわかりかねまして・・・」

 

 アントンさんに圧迫面接(違)をやっているのは領主さん。

 まああいつが領主さん目当てなら、間違いなくぐっさりやられてた。

 《敵意感知》という呪文をかけていたから、かえって領主さんに殺意を持たない暴漢を感知できなかったという話らしいが、それにしても無視出来る話では確かにない。

 

「タウ、何か心当たりはないのか?」

「すみません、何も・・・」

「・・・」

「・・・」

 

 視線が俺達に集中する。

 何しろ、あれからずっとタウさんは俺から離れてくれないのだ。

 震えは収まったが、俺の腕に捕まって放そうとしない。

 カオルくんの視線が冷たいが、まあ放すわけにも・・・。

 

「鼻の下延びてるよ、ハヤトくん」

 

 い、いえ、断じてそんなことはですね!?

 

「まあハヤトくんの鼻の下はともかく」

 

 アントンさん! ですからそう言う事は断じて!

 

「大丈夫、わかってるよ。趣味は人それぞれだ。否定するようなものではない」

 

 ちなみに今俺は女の姿である。

 だからうんうん頷かないで!

 ともあれ領主さんは納得いかない顔ながら、特にアントンさんたちに罰を科すこともなく帰って行った。寛大な人で良かったわ。

 そして領主さんを見送った後で、アントンさんが戻ってくる。

 趣味についてはもうええんやで。

 

「いや、まじめな話だ。

 君に・・・君たちにタウのボディガードをお願いしたい」

 

 はい?(真顔)

 

「いや、確かにあの暴漢相手に、そちらの用心棒の人達は歯が立ってませんでしたが・・・それなら冒険者の護衛を雇えばいいのでは?」

「それはそうなんだが」

 

 カオルくんの反論に、ちらりとこちらを見るアントンさん。

 

「タウが随分ハヤトくんのことを信頼しているみたいだしね。

 見ず知らずの冒険者にガードして貰うよりは、君の方が安心できるだろう。

 それにあの時タウを守ってくれた手並み、王都ならまだしも・・・いや、王都でも君達以上の護衛がそうそう見つかるとは思えない」

 

 まあ自分で言うのもなんだけど、せやろな。

 巨大化抜きにしても俺やカオルくんに匹敵する戦闘力の持ち主がそうそういるとは思えない。

 まあウチの一座にはゴロゴロいますけどね! 俺以上!

 

「原因については心当たりは?」

「いやさっぱり・・・もちろんタウは美人でうちの花形だから、どこで変なのがつかないとも限らないんだけど」

 

 まあそれは分かるな。うちでさえ女性陣(女装した俺含む)に変な客がつくことあるし。

 というか、そろそろ出番なので帰らなきゃいけないんですが。

 受けるにしても一座のみんなと相談しないといけないし。

 

「ああそうだな。確かに君の手品の頃合いか。わかった、話はまた後日。

 ただ、今日のところはタウを君たちのところで預かってくれないか?

 もちろんその分の依頼料はお支払いする」

 

 カオルくんと顔を見合わせる。

 彼女が頷くのを確認して、俺も頷いた。

 

 

 

 時間が押してたので、腹にカオルくんとタウさんを入れてから光学迷彩かけたミストヴォルグで飛んで戻る。

 

「急げ! シルヴィアが引き延ばしておるが、もうギリギリじゃぞ!」

 

 わかってます!

 

「ハヤト! これ衣裳!」

 

 ありがとアルテ!

 げ、歌が終わった! ・・・着替えてる時間はないな!

 ならばここで、ここ数ヶ月特訓した新技を見せる時か!

 

装着(オルソシス)ッ!」

「きゃあっ!?」

 

 アルテの持ってきてくれた舞台衣裳が光ると同時に宙に浮く。

 それは俺の周囲を回転したかと思うと、次の瞬間俺の体にまとわりつき、次の瞬間俺はステージ衣装に完全に着替えていた。

 本来は「勇士獅子王ラオライガー」で、主人公のサイボーグが黄金のバトルスーツを瞬着するときのかけ声だが、ふふふ、特訓の甲斐あって完全にものにしたぜ!

 これでステージに間に合う!

 

「うわあ・・・」

「いや凄いけど・・・早着替えのために数ヶ月特訓したの?」

 

 うるさいなあ、ええやないか!

 瞬間装着は男の子の夢なんや!

 こうやって役にも立つし!

 

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「そうですね。好きなことを追いかけるのは良いことだと思いますよ」

 

 果てしなく微妙な表情のみんなと、くすくす笑うタウさんを後に、俺は舞台に向かった。

 まあタウさんの気分がちょっと改善したならそれはそれでよしとしておこう。

 

 

 

 今日の興行がはねた後、夕食を取りながら一座で会議。

 アントンさんはできればタウさんの出番の時だけ向こうの一座に行って、出番が終わったらタウさんをこちらで預かって欲しいみたいな事を言ってましたが、そのへんどうでしょう?

 

「確かにアンタをあっちに貼り付けっぱなしにするわけにもいかないし、妥当ではあるね」

「互いに芸人ですからな。レディ・タウを気遣ったのもあるでしょうが、ハヤトの公演を邪魔しないようにとの配慮でもあるでしょうなですぞ」

 

 それでどうします?

 

「まあそういう事なら放っちゃおけないだろ。あんたらが守ったんだからあんたらが面倒見てやんな」

 

 うーっす。

 

「はい、わかりました」

「後ハヤト」

 

 そこでスッとシルヴィアさんの目が細まった。

 あれ、なんだろう。手品に手を抜くなとかそう言うのかな。

 

「面倒見るのは良いけど、手を出すんじゃないよ。大切なお客様なんだからね」

 

 ブフォッ!?

 いやしません、しませんって!?

 

「どーだか。そう言ってあちこちで女の子引っかけてるのよねー。リタにまで手を出して」

 

 剣の鍔が鳴る。いつもより強く。アルテちゃん、年頃の娘を持つお父さん(ガイガーさん)刺激しないで!

 というかしてません! 出してません!

 ヴィエンヌであんた(アルテ)デートに連れだした以外で女の子に手を出したことは一切ありません!

 

「いつも言ってるけどそこがいっそ問題なんじゃないかな」

「お兄ちゃんのへたれ虫」

「いっそ全員食っちまう位甲斐性があればそれはそれで嬉しいんだけどねえ・・・まあとにかく、変な気を起こすんじゃないよ。アーベル、こいつの頭にかぶせるずだ袋用意しときな」

 

 ちょっと何その扱い!

 アーベルさんも何でそんなものを用意してるんですか!

 おいこら! ニヤニヤしながらこっちに来るな!

 ちょっとアルテ! カオルくん! 何で俺の両脇を掴んで拘束してるの!?

 

「私は別に手を出されてもいいんですけどねえ。あ、もちろん皆さんとご一緒にと言うことでしたらそれでも結構ですよ」

 

 タウハウシンさん!?

 

「「「「「!?!?!??!」」」」」

「タウ!?」

 

 困惑の声と、オブライアンさんの悲鳴がテントに響き渡った。




>オルソス
元ネタはガオガイガーのガイ兄ちゃんがやる「イクイップ」。
イクイップメント(装備)をもじって、英語の「orthosis(装具)」から「オルソシス」としました。
ちなみにこれを特訓し始めたのは、カオルくんが貰ったサファイア装備一式が瞬間装備できるから(ぉ
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