異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
第八話 シチ・カンサの慰問公演
「見ろよ、
「神々の宝物庫だぞ? ブローチのピンだよ」
――アルゴ探検隊の大冒険――
『コング! コング! コング! ゴラングル!』
「まあ」
例によってロボットアニメを流しながらの旅ガラス。
タウさんが目を丸くしている。
「おはようフェルナン君」で有名なスパイものアメリカドラマ「ミッション・インクレディブル」をロボットアニメに置き換えた作品、「アウター大作戦ゴラングル」。
この三次元ではない亜空間(アウタープレーン)を舞台に犯罪組織と戦うチームロボットものである。
「コング」(チーム・コング。主役たちの部隊の名称である)をひたすら連呼する主題歌とか、本当にゴリラみたいな無骨な主役メカとか、二昔前の刑事ドラマよろしく殉職するチームメンバーとか、まあ子供向けとしてはどうよと思ってしまう作品だ。
セントルでの演芸戦争が痛み分け(シルヴィアさんはプライドが痛い。アントンさんは懐が痛い)に終わった後、タウさんは引き続き俺達が預かることになった。
例の暴漢があの後一回夜更けに襲ってきて、一座の人間に負傷者が出たらしい。
領主さんも衛兵出して警護してくれたのだが結局捕まることはなく、そのまま次の町までは護衛継続と言う事になったのだ。
緑等級五人分の報酬を日割りで支払うのも大変だろうに、よくやるなあと思うが、まあこの状況ではしかたあるまい。
そう言うわけでタウさんはうちの馬車に、アントン一座の人達は行き先は同じって事で500mほど離れてうちの馬車の後に続いている。
なのでこうしてロボットアニメも流せるわけだが・・・タウさん、当然のように最後尾の馬車に乗り込んできて、俺の後ろにごくごく自然に座り込んでいる。
右隣にカオルくん、膝の上にリタ、左隣にアルテ。
左後ろにシルヴィアさん、右後ろにタウさん。
いいか、ハヤト。我々はワゴンペリアルクロスという陣形で戦う。
お前の位置が一番危険だ、覚悟して戦え。いや何が危険なんだよ! と言うか完全包囲じゃんこれ!
というか一座がタウさん入れても11人しかいないのに、何故この馬車に七人集まっているのだろう・・・。馬の負担とか車輪の負荷とか大丈夫かな。
「ならお前が他の馬車に移れ」
がいがーさんのせいろん!
こうかはばつぐんだ!
「まあその分荷物は他の二つに移してあるから・・・」
「しょうがないですね、ハヤトくんはもてますから」
「
はいそこ騒がないように。アニメの音声が聞こえないじゃないかー(棒)。
「そうやって見て見ないふりをするのはハヤトくんの悪い癖だよ」
アーアーキコエナーイ。
こうして(最後尾の馬車だけは)にぎやかに、俺達の旅は続くのであった。
そして到着したのはシチ・カンサの街である。何でもこの隣にペカ・カンサという街があるそうで、シチ・カンサとはすこぶる仲が悪い。
何でもここには昔「カンサ」という伝統ある部族がいたらしく、どちらが正統な「カンサ」の後継者か、千年以上争っているのだそうだ。ラーメン屋の元祖と本家の争いみたいだが、千年続いてるのは凄いというかバカバカしいというか・・・。
「それじゃこの町でも、タウちゃんは基本あたしらが預かると言う事で?」
「ええ、よろしくお願いします。この町で何も起きなければ大丈夫でしょう」
元締めへの挨拶から、野営地に戻ってきたシルヴィアさんとアントンさんの会話である。
まあ何も起きなきゃそれでいいんだが・・・などと言ってるところに馬で乗り付けてきたのは、明らかに身分の高い騎士の人。
「アントン一座とハスキー一座! アントン一座とハスキー一座はおるかぁっ!
座長は直ちに領主の館に出頭せよ!」
何があったんだおい!?
俺やガイガーさんをタウさんの護衛に当て、シルヴィアさんはラファエルさんとカオルくんを連れて出ていった。
あちらは今日の午後から公演を始めるそうで、昼を食べたらそっちに行かないといけない。いつになったら・・・と思っていたが、昼飯を作り始めたあたりで戻ってきた。
どうなりました?
「いや、それがね・・・」
慰問?
それにしてはやたら切羽詰まってませんでした?
「慰問は慰問でも、犯罪者に占拠された領主の別邸への慰問なんだよ」
なんですと?
詳しく話を聞いてみると、別邸で領主のお姫様の誕生日パーティをやってて、そこにテロリストの集団がなだれ込んできて占拠してしまったらしい。
領主さんは幸い遅れて無事だったそうだが、お姫様をはじめ、この町の有力者の大半が捕らわれたままだ。
「『
「またかよ!」
ゴキブリみたいにしぶとい連中だな!
どこにでも湧いてくるわ!
「それで俺達が?」
「他の旅芸人が怖がって尻込みしてるんだよ。
それであたしらに白刃の矢が立ったわけさ。
セントルで演芸戦争やって、名前が聞こえてたのもあるんだろ」
・・・俺たちでお姫様とか助けられません?
領主の軍と協力すれば何とかできそうな気も。
そう言うとシルヴィアさんが溜息をついた。
「領主の軍は壊滅状態だってさ。
緑等級の騎士団長が率いて突入したんだけど、そいつ筆頭に腕の立つ奴は全滅したらしい」
うわあ。
そこまでになると黒等級か、さもなきゃ緑等級複数がいますね。多分術師も。
「恐らくはな」
シルヴィアさんとほぼ同時に戻ってきたアーベルさんが厳しい顔で頷く。
この人、いつも新しい街に着いた時にはあれこれの噂を集めるために出かけるのだ。
何かそれっぽい話は聞けました?
「聞いたも何も、その話で持ちきりだよ。
うまい具合に真っ青な顔で酒飲んでる奴を見つけてな。
話によると、その突入に参加した兵士の生き残りらしい」
・・・それで?
そう言うと、アーベルさんは肩をすくめた。
「表門に戦力を集めて、裏門からこっそり透明化して突入しようとしたんだそうだが、あっという間に見えない何かに隊長や騎士がやられて、命からがら逃げてきたそうだ」
何もわからんのと同じだなあ。
でもまあ、多分魔法か何かでやられたのはわかった。相手に透明化を見破れる術師がいることも。
とは言えうちの戦力があればどうにかなるかもしれん。
アントンさんや領主さんと話してみないといけないけど・・・どうでしょう?
「まあこうなると無関心じゃいられないからねえ・・・アントンのところにやらせてうちは引っ込むってのも女のすたる話だ」
じゃあ?
「ああ、話次第だがやってやろうじゃないか。
ただ、その前にアンタの頭にずだ袋かぶせておかないとね。
せっかく助けたお姫様に、旅芸人が手を出したなんて知れてごらんよ、領主様が首をおはねー!とか言い出しかねない」
だからですねえ! そういうのじゃないんだって!
>ゴラングル
「亜空大作戦スラングル」。大体作中描写通り。
違うのは連呼する名前がコングじゃなくてゴリラってことくらい(ぉ
>ミッションインクレディブル
もちろんスパイ大作戦(ミッションインポッシブル)。
元ネタでは「おはよう、フェルプス君」。
>ワゴンペリアルクロス
ロマサガ2のインペリアルクロスのガイドライン。馬車(ワゴン)に乗ってるのでワゴンペリアルクロス。どこかのミリオン作品ではない。
>カンサ
元ネタはアメリカ中部のミズーリ/カンザスの辺りにいた「カンサ」というインディアンの部族。
カンザス川、カンザス州、カンザスシティの語源にもなった。
結構広範囲にわたっているので、カンザスシティがカンザス州ではなくミズーリ州にあるという不思議な現象も発生している。
まあワシントンDCとワシントン州が別々に存在するいい加減な国だから・・・。