異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十話 イブセマスジー

 「蟹○船」ってなんだよ!? イブセマスジーだよ! いやコバヤシタキジーなんだけどさ!

 こんなもんまで流れ着いてるのかよ!

 オリジナルとは少し筋が違うみたいだし、アレンジもされてるが、間違いなくあれだ。

 

 「王に叛くもの(アンティゴネー)」の連中も大概頭が沸いてると思ってたが、何を考えてこんなものを・・・と、ハッと気付いて俯いて表情を隠す。

 何かの拍子に俺がオリジナル冒険者族だなどと知られたら大変な事になる。

 下手すりゃテロリスト扱いで死刑だ。

 

 嗚呼、恨めしきはこのサトラレ体質と昔のオリジナル冒険者族よ・・・!

 フランス革命だかなんだか知らんが、王様や貴族を片っ端からギロチンにかけんでもええやねん!

 いや、気持ちはむしろ大変に分かるし、何なら俺も王様コロコロしてるけどさあ!

 

「これを演じさせろというのだ。捕まったものたちの前で」

 

 えぇ・・・間違ってもお貴族様の前でやるもんじゃないだろ。

 プロパガンダのつもりか?

 

「『ミンシュシュギ』の信奉者が時々上演している劇ですぞ。吾輩もいっぺん見たことがありますが、さすがにあれはひどかったですぞ。劇に思想を混ぜてはいけないのですぞ」

 

 苦々しく吐き出すのはラファエルさん。

 マジかよ。そんなに普及してんのか。

 

「マジですぞ。何なら本の形で流通もしてるようですぞ」

 

 うへえ、である。

 禁書扱いの本を裏で回し読みってのはどこにでもある話だが。

 

「王侯貴族というのは何につけ平民に恨まれるものだからな。実際に酷い事をしているものもいれば、不作や不景気の責任を押しつけられてなじられることもあるが」

 

 溜息をつく領主さん。寛容な人で助かった。

 

「・・・そうなると我々『偉大なるアントン』一座の出番ですな。

 今から脚本を回し読みすれば、ぶっつけ本番でも何とかなるでしょう。

 こう言っては何ですが、劇団としての実力は我々の方が上です」

「だね」

 

 シルヴィアさんが頷く。

 うちの劇はこの人を除くとせいぜいがセミプロ、あちらはプロだ。

 でも団員の人も危険ですよ?

 

「そこは有志を募る。あちらもそうそう手荒いことはしないだろう。

 我々は奴らの重要な道具なのだからな。

 それはそれとしてなるべくであれ、こちらも守ってくれると嬉しいのですが」

 

 最後のは領主さんとギルマスさんへのセリフだ。

 二人とも頷いてできるだけのことをすると保証を貰った。

 

 劇についてはアントンさんの一座に任せるとして、改めて作戦を立てる。

 まず戦闘できない人間は最小限。

 とはいえいかにも強い人達ばかりだと・・・ってことであーだこーだ議論が紛糾する。

 議論の間、ガイガーさんを護衛にリタと師匠、アーベルさんが敵情視察。念話で連絡は取っている。

 師匠が使うのは魔法だが、リタの場合は潜入するのが本当にただの小動物なので、向こうに腕の立つ術師がいても感知するのは難しい。

 くくく、ハスキー一座の探知能力は隙を生じぬ二段構え・・・。

 本当ならここにアーベルさんが加わるのだが、今回は魔法で網を張られていると厄介なので、師匠が確認をとるまで待機だ。

 

 で、結局だがアントンさんのところの団員有志がメインで参加することになった。

 俺がタウさんの付き人みたいなポジでついていって、いざとなったら腹の中のみんなを外にブッパ、逆に捕らわれている人質とアントン一座を腹の中に押し込んで単独で脱出。

 ハスキー一座のみんなは自力で脱出するなり、敵を殲滅するなりご自由にという感じだ。

 かなり雑だが、まあこの際はしかたない。

 リタ達がいい情報を仕入れてきてくれるといいんだが・・・。

 

 

 

 師匠たちは二時間ほどして帰ってきた。

 テロリストは30人ほど、覆面してて顔は分からない。

 ボスは何か変な大きなものを持ってる(ハムリスアイ)とのこと。

 お客と僅かな使用人合わせて100人ほどの人質は取りあえず全員無事、ただしバラバラに分けられている。ご丁寧に一階から三階まで別邸の右端と左端、それぞれに見張り付き。負傷した人間もいる。

 

「さすがに念がいっておるのう」

「お姫様は?」

「中央母屋の一階奥に別口で監禁されてる。疲れてる感じだが怪我はない。

 ただ、さすがに警戒は厳重だな」

 

 つまり建物右がわの右翼、中央の母屋、左側の左翼にそれぞれ人質が分散してるわけだ。

 今までのあれこれからして雑なテロリストかと思ったが、結構隙がない。

 いっぺんに助け出すのは無理かなこれは。

 

「慰問が本当に慰問のためとしても、数回に分けて観覧させるくらいのことはするだろうな」

 

 となると、俺達も作戦を考え直さないといけないか。

 アントンさんの一座が芸を演じるのはいいとして、一部の人質だけを観客にして連れてくるわけだよな。

 

「ハヤト、その間に透明になって、人質をあんたの腹の中に入れて助け出すのは? というかあんたの腹って、何人位つめ込めるんだい?」

 

 元のブロイザーが100m級ロボだし、詰めて貰えれば100人や200人は大丈夫だと思います。

 と言うか俺もそれは考えてましたけど・・・それぞれに見張りは付いてるんですよね。

 

「人質を動かすんだ、大広間かどこかで演じるとして、そちらに多少は人手が割かれるだろう」

「それならわしが行こう。見張りの注意を逸らして人質を小僧の腹の中に入れ、代わりに幻影を置いておくんじゃ。時間稼ぎにはなろう」

 

 他の人質全員を助けて、最後に大広間に集められるだろう人質グループを助けて脱出する、か。相変わらず大雑把だけど・・・

 

「しゃあねえ。時間がない以上これが限界だ。後は出たとこ勝負に賭けるしかねえ」

 

 例の、突入した騎士団を倒した術師は?

 

「敵のリーダーの人だと思う。それも術師じゃなくて昔の武器、ええと・・・」

「真なる魔法文明の時代の武器と言うことですかですぞ?」

「そうそう、それ。それを使って騎士の人達をやっつけたみたい」

 

 むう、手強いな。緑等級をあっさり倒すほどの武器か・・・。それに加えて透明化を見抜く術師もいる。

 お姫様はどうします?

 

「そっちは俺とカオルで行く。ばあさん、ぼんやりの香があったらくれ」

「わかった。一つでいいか?」

「一応二つ」

「え、ボクですか?」

「お前さんの幻夢剣が必要になるだろうからな」

 

 カオルくんがうなずくのを確認して、シルヴィアさんが領主さんの方を向く。

 

「取りあえずうちがプレゼンできる案としてはこんなもんですね。どうでしょう?」

 

 領主さんがギルドマスターの方を向くと、おばさんが頷く。

 彼が深々と頭を下げた。ギルドマスターも。

 

「頼む・・・娘を救ってやってくれ・・・」

「力不足で済まない。うちにはあなた方の手助けをできるような手練れはいなくてな。

 青等級なら数はそれなりに揃えられるから、必要なら使ってくれ。

 姫様を救い出してくれ」

「もちろんですとも」

 

 不敵にシルヴィアさんが頷く。俺達も。

 ・・・あ。アーベルさんがニヤリと笑ってる。

 あれは悪い事を考えている時の顔だ。

 

「そう言う事ならお願いがあるんですがね、お二方・・・」




>イブセマスジー
>コバヤシタキジー
セブンフォートレスRPGで出て来た「カニアーマー」の発射する「蟹光線」の読みがな。
プレイヤーは蟹工船の作者のつもりで「イブセマスジー」と命名したが、作者は井伏鱒二ではなく小林多喜二である。
後に気付いたものの、「コバヤシタキジー」では語呂が悪いという意見が通って「イブセマスジー」のままになった。


>隙を生じぬ二段構え
るろうに剣心の煽り文句。
飛天御剣流の抜刀術は全部こうらしい。
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