異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十三話 頭上の敵を撃て

「ははは! ははははははぁー!」

 

 メガネ革命家が魔弾を乱射する。

 石壁を粉々に砕く威力のそれが無数に!

 

「・・・」

 

 うっそぉぉぉん!?

 本物の機関銃並みの連射を、ほとんど全部ガイガーさんが切り払って分解してる!?

 あれ業物ではあるけど普通の剣だよな! 俺のムラマサとかカオルくんのサンダースウォードじゃないよな!

 というか切り払えなかった奴はカオルくんのサンダースウォードが稲妻出して、バリアみたいにしてるから間違いない。

 

 魔剣でなくても! 破魔の力がなくても! それ位できちゃうんですねスゲえ!

 名工の作った業物だから! 達人だから!

 いや割と心底感動したが、しかしひたってる場合でもない!

 

(師匠! みんな! 無事!? こっちは全員助け出した! 後お姫様だけだ!)

(おお!)

 

 みんなの心の声が一斉に返ってくる。

 思念の調子からするとみんな無事そうだ。

 ちなみに俺は今、姿を隠して奴の後ろの方に回り込んでる。

 師匠とガイガーさんとカオルくんたちがいればこいつ相手でもどうにかなるはずだが、そうならないのは奴の片手がお姫様の首根っこにかかっているからだろう。

 どうやら奴には気付かれてないようだし、ここは隠密技能の生かしどころだろう。

 

(よし、いい判断だ。とは言え、隠れていてもこのままじゃ厳しいねえ)

(小僧。恐らく奴には高精度の感知能力がある。透明化や光学迷彩だけでは足りんぞ)

 

 ちっ。他に術師がいたのかと思ったが、あのアーティファクト自体に感知能力があったか。

 オーケイ、前にも使ったミストヴォルグとシノビウォリアー・ヒエイの重ね技だ。

 近くまで接近して、何とかジェットシャックルやマキビシスカッドでやってみよう。

 いっそ接近戦で奴の腕を切り落とすのを狙ってみるべきか・・・?

 ともかくいっぺん屋内に戻り、お姫様が捕まっていた部屋を抜けて、後ろから忍びよる。

 

「ははは! ははは! ははははははは!」

 

 切れ間なく乱射される魔弾。

 それを切り払い続けるガイガーさん、解呪の力を持つ稲妻を放って、流れ弾による被害を抑えるカオルくん。

 いや、古代の遺失魔道具とはいえ、師匠が驚くレベルの攻撃をよくもまああそこまで連打できるな?

 よほど大容量のエネルギータンクでも積んでるんだろうか。

 

(小僧の方からなら見えるじゃろう。奴の首筋をよく観察してみろ)

 

 ・・・?

 げっ、皮膚の下をなんか青黒いものが這い回ってる!

 浸食してるのか、あれ!?

 

(簡単に言えば使い手と同一化して補給や制御を強化しようと開発された魔道兵器じゃ。

 使いすぎると魔道具に「喰われる」欠点が克服できず、製作禁止になったはずじゃがな)

 

 うげげっ。

 

(恐らく身体強化機能もあるから、接近戦もそれなりにできるじゃろう。気を付けろ)

 

 貴重なアドバイスありがとうございます!(泣)

 まあとにかく忍びながら接近して・・・うっ。

 

(どうした?)

 

 何かこう・・・ビンビンと「ヤバい」って感じがします。

 これ以上接近したら気付かれる! これはパナ●ニック創業者並みの「絶対の確信」だっ!

 単に俺がビビってるだけかもしれないけど、ミストヴォルグとヒエイと、隠密の達人であるロボ二つを重ねてる現在、これがただの臆病風とは思えん・・・!

 

(むう・・・そこまでか。いや、元からあれは感知能力の高い系統の魔道具ではあった。

 本体と強化された使い手のそれとを併用して、いや理屈はともかくそう言うものじゃ。

 小僧の《加護》の特性を考えると、ただの偶然とは思わん方がよさそうじゃの)

 

 無謀に吶喊して俺が大怪我する位ならまだしも、子供が死んでしまうのは絶対にNGだ。

 どうする。

 どうする・・・?

 

「手を放しなさい!」

「!?」

 

 魔弾と稲妻が乱れ飛ぶ庭園。

 そこに響いたのは凜とした声。

 思わず全員がそちらに視線を向ける。俺の方からもその姿はよく見えた。

 

 タウハウシン。

 魚人妖精(オアンネス)の歌姫がいつの間にかそこにいた。

 

「ははははは! 放せと言われて放す奴が・・・え?」

 

 メガネの馬鹿笑いが途切れる。

 小脇に抱えていたお姫様を解放していた自分に気付いたからだ。

 

 なお、俺達は全く無影響。

 そもそも今回、人質を無傷で助け出す切り札として考えていたのがラファエルさんの《笑いの加護》と、タウさんの《声の加護》。

 ただしこれ、両方とも言葉を聞いた人に無差別に効いてしまうと言う欠点がある。

 なのであらかじめうちらとアントン一座の全員に師匠の念話ネットワークを構築して、かつ全員が耳栓をして別邸に入ったのだ。

 相手との会話は、耳栓をしなくていいタウさんとラファエルさんが聞いて、それを全員に念話で伝える仕組み。

 多少タイムラグの出る問題はあったが、気付かれずにやれやれである。

 

 それはともかく勝機!

 スロットチェンジ・セイウンザー!

 セイウンザー・テレポートマジック!

 

 お姫様がゆっくりと落ちていく。時間が減速するってあれだ。

 緩やかになった時間の中で素早く奇術ロボの力を下ろすと、奴のすぐそばに瞬間転移してお姫様をギリギリ空中キャッチ。

 連続テレポートでみんなの後ろ、安全圏に転移する。

 

「な、なあああああああああああああ!?」

 

 奴の驚愕した顔。

 ざまあみろ、と言ってやりたいがまだ戦闘中だ。

 

「こ、この・・・死ね、死ね死ね死ね死ね死ね! 革命の高き志を邪魔するものはみな死ね!」

 

 激昂するメガネ。

 実際奴の弾幕は全く薄くなっていないどころか、感情が高ぶってるせいかむしろ密度が上がってるし、先ほどまで多少余裕があったガイガーさんとカオルくんも、今やその対処にかかりっきり。

 そして下手にガイガーさんバリアから飛び出したら、奴がちょっと射界をずらすだけで蜂の巣、どころか多分あれは体半分消滅するな。

 なのでこうする。

 

 ろけっとぱーんち。

 お姫様を抱いたまま小声で呟き、右腕を肘から外す。

 そしてそれをぽーんと、相手の射撃に当たらないよう山なりの軌道でシルヴィアさんに投擲して貰う。

 

「むっ!? ・・・なんだ、こけおどしか?」

 

 後ろに転がったロケットパンチに一瞬気を取られたものの、そのまま隙なく乱射を続けるメガネ。

 そんなわけないだろ。

 

 ずりっ。

 

 ロケットパンチの指が動く。

 

 ずりっ。

 

 肘から先の腕だけが指の力で少しずつ前に進む。絵面が完全にホラー映画やな。

 

「何で分かろうとしないんだ! 権力者に飼い慣らされた愚昧な大衆め!

 民主主義こそは究極の回答! おごり高ぶる王侯貴族の政治を終わらせ、民衆が自分自身のために政治を行う至高のシステム!

 それが分からない奴は死んでしまえ!」

 

 奴が高笑いしながら何か言ってるが関係ない。

 目標位置に到達! 作戦を開始する!

 指で地面を弾いてロケットパンチが直立する。

 

「あっ」

 

 メガネ野郎の両足の間、上向きに置かれたロケットパンチ。

 それだけで大体の事は察したのか、みんなの顔がこわばる。

 アーベルさんなんか、沈痛な顔で何か聖印切ってるし。

 

「ふはははは、ようやく恐怖を理解したか! だが遅い! そのまま・・・」

 

 飛ばして遊んでいたらどこかになくした超合金のロケットパンチ!

 今こそその恨みを受けるがよい!(※関係ない)

 

「その股ぐらに、ロケットパァァァァンチッ!」

「%#%$”#ッ!?」

 

 奴の真下から股間を打ち抜く鋼鉄の拳。

 およそあらゆるこの世の苦痛を煮詰めたような表情のまま固まり、奴は倒れた。

 成敗!




君に玉ヒュン。

>パナ●ニック創業者並みの「絶対の確信」
松下幸之助。
著書に曰く「世の中に絶対の確信などないからこそ、絶対の確信を持って事に当たれ(意訳)」だそうです。

>飛ばして遊んでいたらどこかになくした超合金のロケットパンチ!
超合金で遊んだ世代なら大体覚えはあるはず。

>その股ぐらに、ロケットパァァァァンチッ!
前にも出した、コレン・ナンダー軍曹の名セリフ。
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