異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十四話 サイバーパンク5800

「こりゃいかんの・・・ガイガー、右腕ごと切り離してくれ」

 

 頷くと、ガイガーさんは倒れたメガネの右腕を切り落とす。

 デバイス本体との接続を断たれ、体内をうごめいていた魔道具の浸食が止まり、同時にメガネがチリとなって消えた。

 あのメガネもアーティファクトの一部だったんかい。

 

「これでよし・・・と。かなりやられとるが、まあ安静にしておれば命は大丈夫じゃろうて。

 こいつは下手に触らないよう、箱か何かに入れて保管しておくんじゃ」

「そうしよう」

 

 駆けつけてきた騎士に元メガネとアーティファクトを引き渡す。

 あいつ、あの後どうなるんです? まあ多分死刑か終身刑だろうけど。

 

「そうさのう。命は助かるじゃろうが後遺症は避けられんじゃろうな。

 脳や脊髄まで浸食が進んでおるし、手足の麻痺くらいなら御の字かの」

 

 下手すりゃ一生ベッドの上か・・・なんでこんな恐ろしいもの作ったんです。

 

「埋め込み式の魔道具というのも古代にはそれなりにあっての。

 面倒な手術や儀式抜きに人体と魔道具を接続できる画期的な技術になるはずだったんじゃ」

 

 人間と機械とはいつか一つになるのか? ノー、それは元々一つのものだよ。

 そう言ったSF作家がいたが、まさにサイバーパンクの世界やな。

 

「まあそのための接続技術・・・そっちの言葉で言うといんたー・・・なんじゃったかな」

 

 インターフェイス?

 

「ああ、それじゃな。こちらでは『繋げるもの(ユニレ)』と言っておった。

 そちらの世界でも人間の体と魔道具を繋ぐ技術はある程度は実現しておるんじゃろう? からくりの心臓を胸に埋め込むとか、腎臓の機能を持つからくりと体を繋げるとか」

 

 人工心臓と・・・ああ、人工透析か。

 人工透析はそのたびに体に穴を開けてるようなものですからね。

 『繋げるもの(ユニレ)』みたいな手軽につけたり外したりする技術は、日本でもまだお話の中だけですよ。まあ大体話の中でろくでもないことになるんですが。

 

「そうか・・・まあ何によらず無理して技術を進めようとするとろくなことがない。

 それは物語でも現実でも同じじゃの」

 

 溜息をつく師匠の姿が妙に記憶に残った。

 

 

 

 お姫様は何故か俺から離れたがらなかったので、はす向かいの指揮所にいるお父さんのところまで俺が連れて行くことになった。

 え、何でみんな冷たい目してるの? 指揮所で待ってたリタまで!

 

「これだからハヤトはねえ・・・」

「ハヤトくんだからねえ・・・」

「お兄ちゃんひどい」

「ほんと手の早いこった」

「やっぱりそういう人なんですねえ」

 

 そして響く鍔鳴りの音。

 だから! 小学生は守備範囲外ですってば!

 

 その後お姫様をお父さんの領主さんに会わせて上げたのだが・・・領主さんの目の前でお礼だと言って俺の頬にキスしてくれて、領主さんの顔が凄く怖かった。

 後ろからの視線も凄く怖かった。

 あの場にお姫様がいなかったら、今頃俺の命はなかったかも知れない。

 俺悪くないよね!?

 

 

 

「いやあ、寿命が縮みましたわ」

「あんたたちもお疲れ。よくやったよ」

 

 チン、と音を立ててシルヴィアさんとアントンさんがグラスをあわせる。

 現在アントンさんのところで打ち上げ中。

 せっかくだからということで俺達もお邪魔させて貰っている。

 女装した俺、アルテ、カオルくん、リタ、タウさんと、若い女の子?で固まってるから、まー男どもが寄ってくること寄ってくること。

 

「いやー、すげーなー! テロリストの親玉倒したんだって?」

「お姫様助けたのも君だろ?」

「君って女の子? 男の子?」

「正直どっちでもいいから一晩どうよ?」

 

 だから俺は女の子にしか興味ないの!

 

「ちぇー」

「そう言う趣味かー。もったいねえ」

「まさかタウちゃんを女の子に取られちゃうとは・・・」

「それはそれで尊くて死ぬ」

「ハヤトちゃんの本命は誰かな。やっぱ安産型のアルテちゃん?」

「カオルくんちゃんのほうが耽美っぽくていいんだけど」

「座長のシルヴィアさんだろ。シルヴィアさんがリードしてると見せかけてハヤトちゃんの鬼畜攻め」

「ハヤトちゃんxリタちゃんとか凄く尊い」

 

 ここにもいるのか尊死(とうとし)勢。日本人による文化汚染は深刻やでえ・・・。

 後最後の奴今すぐ逃げろ。ガイガーさんが鞘鳴らしてるぞ!

 シルヴィアさん挙げてた奴も後ろにジョッキ構えたシルヴィアさんが立ってるが・・・まあいいか。

 

 ちなみに領主さんに睨まれたのは、あの時女装解除してたからである。

 ほら、女装能力も《加護》だから、二つ能力を起動していると起動できないし・・・そう言うわけで別邸では女装解除してたのだが、うっかり再度起動するのを忘れてた。

 女の外見だったら、領主さんにも睨まれずに済んだかなあ。

 

「やっぱおめえ、外に出す時はずだ袋かぶせておくべきだなあ・・・」

 

 だからアーベルさん!

 ふざけてるんじゃなくて大まじめに言ってるから余計むかつく!

 

 

 

「~♪」

 

 タウさんの歌声がテントに響く。俺とカオルくんは舞台裾で待機。

 この歌がタダで聞けるだけでも仕事を受けた甲斐はあった、とちょっと思う。

 

 翌日から早速、うちもアントン一座も興行を開始していた。

 何でもアントン一座はこの救出劇を劇にして今日から演じるとのことである。

 つええ。そして脚本はええ。

 

「速さこそはこの世の真理! 20年かければサルでもシェイクスピアが書けるとはニホンの言葉ですぞ!

 『君、時というものは、それぞれの人間によって、それぞれの速さで走るものなのだよ』というわけで!」

 

 ラファエルさんみたいなしゃべり方をするチョビ髭の脚本家の人。眼が赤い。

 まあ目の前で大事件が起こったんだ、それをネタに劇作るのはむしろ当然か。

 ちなみにうちは「同じ土俵で勝負したら勝てん」と言う事で「隣り合わせの風と竜」公演継続である。

 地力が違うからね、しゃーないね。

 エフェクトが売りのうちとしては、派手な戦闘がバンバン入る「隣風龍」のほうが・・・おいマジか。

 

(どうしたの? 今何かしたみたいだけど)

 

 小声で話しかけてくるカオルくん。さすがに鋭いな。

 あれだよ、今ちらりと、タウさんを襲った男がテントから出ていくのが見えた。

 

(! じゃあボクが追いかけるから・・・)

 

 いや、光学迷彩かけたミストソーカルを既に出した。

 多分単独犯だと思うが、こっちにまだ仲間がいないとも限らないし。

 近くにいた団員の人に、タウさんに聞こえないよう事情を説明。

 出来る限りで警備を厳しくして貰う。

 

 結局タウさんが歌っている間には何事もなかったが、ミストソーカルは相手を見失った。

 酒場に入ったと思ったら、姿が消えていたんだぞ。数秒くらいしかラグはなかったのに。

 何か釈然としないまま、俺達の警護依頼は契約延長が決まった。




タイトルは「サイバーパンク20××」シリーズから。版上げのたびに年号が変わる。最新がヒットした2077。

>SF作家
ウィリアム・ギブスン。
「サイバーパンク」というジャンルを作り上げた偉人。

>『繋げるもの(ユニレ)
ラテン語の「繋げる」から。

>20年かければサルでもシェイクスピアが書ける
スクライドのクーガー兄貴の名言「20年かければサルでも傑作小説が書ける」より。
実際本当に二十年推敲を重ねれば5万部位の小説は書けるんじゃなかろうか。

>君、時というものは、それぞれの人間によって、それぞれの速さで走るものなのだよ
Something as time runs by respective speed by respective man.
こちらはガチのシェイクスピアの名セリフ。「お気に召すまま」より。
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