異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十二話 マシン・オン!

「うおおっ!?」

「ええい、派手にやりおって! わしから離れるなよ!」

 

 融合巨人が吹き飛ばされ、玉座の後ろの壁に激突する。

 それを契機として、謁見の間全体が完全に崩壊し、崩れ落ちる天井と壁がペトロワ達を完全に埋めた。

 

 

 

「ったく、無茶苦茶やりやがって・・・ばあさんの術がなかったら死んでたよもう」

 

 しばしの後。ペトロワの魔法で何とか凌いだシルヴィア達がガレキの中から這い出してくる。

 その目に映ったのは、青空の下、広い中庭で相対する二体の巨人だった。

 

 

 

 時は僅かに巻き戻る。

 謁見の間から叩き出された融合巨人が転がり出たのは城の中庭。

 馬を訓練する馬場や、兵士の訓練場としても使われる広大な空間だ。

 庭とはいうものの庭園ではなく学校の校庭に近い。

 

 吹き飛ばされた国王、融合巨人がゴロゴロと転がってその中庭の中程で立ち上がる。

 崩壊した謁見の間から走り出てそれを追うのはデモゴディ。

 神にも悪魔にもなれる鋼鉄の巨人が吼える。

 拳を振り上げて飛びかかろうとした瞬間、だがぴたりとその動きが止まった。

 

「・・・」

 

 その目の前で、融合巨人がゆっくりと立ち上がる。

 二体の巨人の出す音にかき消されて聞こえなかった声が、ようやく常人の耳にも聞こえるようになる。

 

「あ! あああああああ!」

 

 悲鳴を上げるのは少女。

 融合巨人の胸に埋め込まれたアルテ。

 

 シルヴィア達が瓦礫から這い出てきたのは丁度その時だった。

 立ち上がった融合巨人がにんまりと笑みを浮かべる。

 

『野蛮人め・・・どうなるかわからんと言ったじゃろうが』

『こう言う時は相手が要求突きつける前にブッ殺すのが最適解なんだよ』

 

 武器を捨てれば人質が殺される。

 だが武器を捨てたからと言って人質が助かるとは限らない。

 こんなクソ国王みたいなやつなら尚更だ。

 

 フィクションならそこから助けが来たり大逆転したりするが、現実にはあり得ない。

 怒りの感情にまかせて殴りかかった部分はあるが、そう言う計算も一応あったのだ。

 が、さすがに人質の喉元にナイフを突きつけられた状態ではどうしようもない。

 

 クリ●ト・イー●トウッドみたいに銃捨てるフリしてそのまま射殺できたらベストだったのだが、アルテがあいつの体と一体化してる以上は大火力の武器は使えない。

 頭を空気の抜けたバレーボールみたいに潰しても再生する相手だ。

 そこをどうにかしなきゃ勝目がない。

 

『くくく・・・だがわしは殺せん。一撃で全身を消滅させられれば別だが、人質がいる限りそれはできまいが?』

 

 うっわー、むかつく高笑い。

 けど奴の言う通りだ。

 悔しいがここは奴の言う事に従うしかない。

 

『さて、それでは《加護》を解除して貰おうか。逆らえばこの娘がどうなるか忘れるなよ?』

 

 とは言えこれはまずい。今は気持ちが昂ぶってるからデモゴディになれるが、多分いったん解除したらもう一度デモゴディになることは出来ない。

 どうすれば・・・ん?

 

『おい! 聞こえないのか! さっさと解除せんか!』

 

 たった今まで雲一つなかったはずの青空に、見る見る黒雲が広がっていく。

 しかも微細だが、その中に稲光。

 あっという間に空を覆った黒雲は周囲を暗くし、その時点でようやく奴も気付いた様だ。

 

『な? 何だこれは! 貴様の仕業・・・』

「サンダァァァァァァァスウォォォォォォォォォドッッッ!」

 

 融合巨人の声を遮って響く、裂帛の気合。

 それに応じて上空の稲光がまばゆく輝き、一筋の雷霆となって融合巨人に落ちる。

 

『ぐわあああああああああああああっ!?』

 

 やべえ! アルテが! ・・・あれ? アルテは全然痛そうな感じじゃない。

 だが融合巨人は形が崩れ、ぐずぐずと崩れ落ちる。

 

『っと、考えてる場合じゃない!』

 

 こぼれ落ちそうになったアルテを慌ててキャッチし、まとわりつく国王の肉を払って中庭に出て来ていたシルヴィアさんたちに預ける。

 アルテの額に手を当てたペトロワ師匠がこっちを見て頷いた・・・ああ、よかった・・・。

 

『ん?』

 

 そこで後ろから小さなものが飛んできた・・・剣? あっ!

 回転しながら飛んできたそれをキャッチしたのはカオルくん。

 そうか、理屈はわからないけどあの融合巨人は多分魔法で作ったもの。

 破魔の力を持つサンダースウォードが巨人を構成していた術式を破壊したんだろう。

 

 青白い、血の気のない顔で親指を立てるカオルくん。

 俺も親指を立てて返すと、カオルくんは満足そうに笑ってがっくりと崩れ落ちた。

 抱えてるガイガーさんが大丈夫って頷いてるから命には別状ないだろう。

 頷いて俺はもう一度振り向く。

 

『GU・・・GBBBBB・・・』

 

 グチャグチャのスライムみたいな肉塊になっていたクソ国王が、急速に再生しつつあった。

 だがサンダースウォードに破壊された術式が完全に再生したわけではないのか、人間、馬、熊、鳥など無数の動物の目、耳、牙、角、足、手、足、翼、爪、くちばし、そういったものを無秩序に組み合わせた、文字通りの融合魔獣(キメラ)と化していた。

 国王だったものの知性も最早失われているのか、しかしそれでも俺への敵意は失われず、憎しみに燃える無数の目でこちらを睨んでいる。

 

『GIEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!』

 

 怪鳥のような雄叫びを無数の口から発し、体中に生えた無数の角がミサイルのように発射される。

 俺はそれらを避けもせず、それらは全て甲高い音を立てて俺の体に命中した。

 

『!?』

「!?」

 

 きっと奴は―― 一座のみんなも――その瞬間、目を見張って驚愕しただろう。

 撃ち出された角は、一本たりとも俺の体に突き刺さらず、バラバラと地面に落ちる。

 デモゴディの全身は無敵の超合金Σによって覆われている。

 避けなかったのは外れた角がみんなに当たるのを恐れただけ。

 戦車砲だろうとミサイルだろうとレーザーだろうと貫けないものを、たかがキチン質の角如きで貫けるものか!

 

『GYYYY!』

 

 間髪入れず角や爪を先端に備えた無数の触手がこちらに向かって発射された。

 その先端には先ほどとは違う、妙な魔力の気配。

 少しは考えているらしい。なるほど、これなら超合金Σに傷をつけられるかも知れない。

 だが。

 

『ルイントルネード!』

『!?』

 

 口元から吹き出した烈風。

 特殊溶解液を含んだそれは、ほぼありとあらゆる物質を分解し、脆くしてしまう。

 もちろんそれを補うような強力な魔力でも付与されていれば別だが、残念ながら奴の爪や触手はそうでなかったらしい。

 射出された触手は全て空中でチリとなり、それどころか余波を喰らった本体が表皮を溶かされて悲鳴を上げている。

 

『今度はこっちの番だぜ! ウイングカッター!』

 

 両手をロケットパンチに構えると、腕から翼のような刃が展開する。

 射出された刃付きのロケットパンチは、融合魔獣の体を面白いように突き抜け、切り刻んで俺のもとに戻ってくる。

 

『ミサイルラッシュ!』

 

 デモゴディの腹が開き、ロケットパンチより一回り巨大なミサイルが顔を出す。

 胴体の幅より長いミサイルが発射されたかと思うと、すぐに次のミサイルが。そしてまたすぐに次のミサイルが。

 

『GYYYYAAAAAA!』

 

 ほとんど機関銃のような勢いで連射されるミサイルが次々と炸裂し、融合魔獣を灼く。

 胴体に収まらないようなでかいミサイルをどこに収納してたんだって?

 体の中で次々に作ってるんだよ!

 ミサイル作る材料はどこに収納してたんだって?

 豪子力3Dプリンターでエネルギーを消費して作ってるから場所はとらないんだよ!

 まあ後付け設定だが!

 

『G・・・GGG・・・』

 

 貫かれ、切り刻まれ、盛大に爆破されて、それでもうごめき再生を始める元国王。

 あれはもう知性も残ってなさそうだな。

 いいだろう、もうこっちの気も済んだ。とどめを刺してやるよ。

 

 胸の前で両腕を十字に組むと、胸のW、もっと言えば「Σ」を横倒しにした形の赤い板が赤熱化し始める。

 豪子力粒子を介し、目標の温度を直接上昇させるレーザーでも粒子ビームでもない恐るべき熱線。三万度、熱量にして三兆ジュール/秒のエネルギーを叩き込むデモゴディ最大の必殺技。

 

『ブレストヴォルケイノ!』

 

 組んでいた両腕を開くと赤熱化した放射板から赤い熱線が走り、うごめく融合魔獣の残骸に命中する。

 

『GIEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!』

 

 次の瞬間それは爆発するような光を放ち、巨大な溶岩のクレーターを後に残して蒸発した。

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