異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十七話 アストラル・パロット

「教えて下さい! 何でもやります! 財産でも、命でも、必要なら差し出します!

 彼女の病気を治してください!」

 

 命を失うかも知れないと言う師匠に、キンウィルさんは即座に言い切った。

 言葉を失った俺達とは対照的だ。

 

「それで、どうすればいいんですか。具体的に言って下さい」

「一つ目は、ここから五千キロほどの所にある古代遺跡にある。冒険者を雇って掘り出すなら、膨大な金と時間がかかるが不可能ではあるまい」

「彼女の残り時間は一年もないんだ。時間がかかるのではダメです。他にはどんな手が?」

「お主が死ねばよい」

 

 さすがのキンウィルさんが絶句した。

 

「それは・・・どういう?」

「アストラル・パロットはある種のアストラル構造体を中に持っておる。

 それを移植することで星辰(アストラル)体の損傷を修復するんじゃ。

 じゃから、お主の星辰(アストラル)体を取り出して移植すればそれで患者は生き永らえる。星辰(アストラル)体を取り出されたお主は当然死ぬがの」

「・・・」

 

 師匠、そういじめる事もないでしょう。五千キロくらいなら俺ならひとっ飛びなんだし。

 そう言うと師匠がニヤリと笑った。

 

「ふぁふぁふぁ、まあそうじゃの。小僧たちならこやつを見捨てはしまいよ」

「じゃ、じゃあ?」

 

 戸惑った様子でキンウィルさんが振り向く。

 俺とカオルくんが、同時に親指を立てた。

 

 

 

 場所を楽屋に移して経緯説明(かくかくしかじか)

 みんな同情的で、リタなどは涙を浮かべている。

 

「で、具体的にはどこにあるどんな遺跡なんだい?」

「大陸の中央部に近い場所じゃ。高山のど真ん中で、そう簡単に行ける場所ではない」

 

 簡単な地図にすると以下の通り。なおライタイムからディテクまで、大街道がおよそ二万キロほどらしい。地球半周する街道って何度聞いてもすげえな。

 

 

 

 

              ダルク

 

 

 

 

 

 

 

ライタイム――――――――(大街道)―――――――――ディテク(海)アグナム

 

 

                     × 遺跡

            × 

        吸血鬼のピラミッド

 

                  × ← 現在地

              ゲマイ

 

 

 

 

 しかし山奥の遺跡かあ。

 また吸血鬼がいたりしませんよね?

 

「保証はできんの。何せわしもある事を知っているだけで、定期的に立ち寄っておるわけではないからの」

 

 かっかっか、と笑う師匠。そこは否定して欲しいなあ。

 

「ただ、これは天然のダンジョンを使って作られた遺跡じゃからの。

 長いこと放置されているなら、内部にモンスターが出現している可能性がある」

 

 ファッ!? なんでそんなことするの!

 

「うむまあ、ダンジョンは《百神》の夢と言うたじゃろう?

 つまり古代文明初期は《百神》が昇神してダンジョンが地上に増え始めた時期で、ダンジョンコアのエネルギーを何とか利用できないかという研究が盛んだったんじゃよ。

 実際エネルギー転用は成功したし、安定して強力なエネルギーを供給出来るようにもなったんじゃが・・・」

 

 整備点検が滞るとたちまち元のダンジョンに早変わりと。

 

「まあそういう事じゃの・・・」

 

 溜息をつく師匠。

 それだけで、そう言う施設がどうなったか大体わかろうってもんだ。

 

「それで、そこにアストラル・パロットがあるんですね?」

「そこのダンジョンは川神(ジェイナ)の生み出したものでな。

 天然でアストラル・パロットを産出する。

 古代文明時代には安定してアストラル・パロットを生み出す工場だったんじゃ」

 

 ダンジョンで産出されるのは、元になった夢の神様によって変わるんですよね?

 川の神様がなんで?

 

川神(ジェイナ)は空間構造や他の次元世界を研究していた真なる魔術師でな。

 そう言う事から境界の神としても信仰されておったんじゃが、いつの間にか川の神になっておった」

 

 えぇ・・・あ、川=異界との境目だからかな?

 日本でもギリシャでも三途の川とかスティクス河とか、あの世とこの世の境目って川ですもんね。

 

「ホンにお主は余計な事には詳しいのう」

 

 それこそ余計なお世話ですよ! まあとにかくアストラル界の神様なんでそう言う宝石も出てくると。

 

「そう言う事じゃな。霊魂神(スィーリ)と親しかったので天国の神様と考えられているところもあるし、たまに天候神(チャクセノーテ)と混同されてたりもするが、まあそれはいい。

 そう言う事じゃから、おそらく当時作っていたアストラル・パロットが残っておるじゃろうし、そうでなくても探索するうちに見つかるじゃろう」

「他の冒険者たちに漁られてる可能性はないの?」

「なくはないがごく少ないかの。言ったように人里離れた山の中じゃし、放置しっぱなしじゃから、恐らくはモンスターが溢れて周囲の山には人が住めなくなっておるじゃろうよ」

 

 うーん、はた迷惑。まあこの際はそれがありがたい。

 すると残る問題は・・・

 

「攻略している間は興行ができないって事なんだよねえ」

 

 普段ならまだしも、演芸戦争してる今はなあ。タウさんのこともあるし。

 タウさんの護衛だけでも下手な興行を上回るくらいの収入はあるのだが、シルヴィアさんのプライドの問題だからねこれ。

 

「またハイシンでもする?」

「それっきゃないかねえ」

「5000キロとなると・・・まあどうにかなるか」

 

 前と同じメンツなら俺、カオルくん、アルテ、ガイガーさん、アーベルさん、オブライアンさん。

 野営地にはシルヴィアさん、ラファエルさん、師匠、リタ(と、ハムリスども)。

 しかしこれだと、タウさんを常時守りきるのは難しいな・・・。

 

「それでしたら、私の方からお願いしてアントンにお休みを貰ってきます。

 ハヤトさんのおなかの中なら安全でしょう?」

 

 まあ、多分ね。

 

「おなかの中? いやともかくすまない、タウ」

「いいんですよ。おじさんにはお世話になりましたし」

 

 まあしょうがないやね。人の命がかかってるんだ、どーんと任せなさい。

 ところでキンウィルさんの大事な人ってどんなひと?

 

「いやあ・・・20歳の娘さんでねえ。喫茶店にお客として来てくれた時に互いに一瞬で恋に落ちたんだ。笑うとエクボのできるかわいい子で・・・ハヤトくん、老いらくの恋はいいぞ!」

 

 よし、わかった。

 お前死ね! 死んで恋人を助けてハッピーエンドだ!

 

「そんな!? 君は私のことを理解してくれると思っていたのに!」

 

 俺が許せないものが三つあるっ! しけった揚げ物と、煮たカブと、もてる男だっ!

 だいたいアンタみたいな無責任なプレイボーイと一緒にするんじゃない!

 

「たいして違わないじゃない」

「方向性が違うだけだよねー」

「うわきもののくせに」

「色々な意味でアンタが言っていいセリフじゃないと思うんだ」

「まあ、全員娶って幸せにしてくれれば? そこは男の甲斐性ですよね」

「二人とも死んでくれれば万々歳なんだけどね」

 

 タウさんとオブライアンさんも加わった言葉の六連撃。そして響く鍔鳴りの音。

 なんでや! 間違った事言ってないやろ!




>俺はこの世で許せないことが二つある
あちこちで聞くフレーズだけど、元ネタなんなんだろうなあ、これw
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