異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「ギャッ!」
「ゴブッ!?」
短い悲鳴が次々に上がり、すぐに消える。
端的に言えばガイガーさんが無双している。
まあガイガーさんでなくとも、今更ゴブリン程度でどうにかなるような連中ではない。
カオルくんはサンダースウォードで薙ぎ払ってるし、アルテは最早鋼鉄の旋風だ。薙ぎ払われたゴブリンどもは吹っ飛ぶと言うより爆散している。
あれ魔力結晶ちゃんと残るかな・・・
戦闘はあっさりと終わり、洞窟のようなダンジョンの通路には百個以上の魔力結晶が散乱していた。
肉体が粉々に吹っ飛んでも再形成される魔力結晶はダンジョンの神秘だと思う。
それはともかくちょっと思いついて、セイウンザーの力で魔力結晶を動かしてみた。
ほら、トランプお手玉とかボールジャグリングみたいなノリで。
「おお~」
キラキラ輝く魔力結晶が一斉に宙に浮かび、渦を巻いて俺の開けた袋に吸い込まれる。
まあ見た目を楽しむだけの芸ではあるが、時短にはなる。
魔力結晶いちいち拾うのって結構めんどくさいんだよ。
拍手喝采もそこそこに、俺達は前進を再開した。
地水火風、あるいは氷や雷、酸や溶岩と言った様々な自然の力が粘液状のエネルギーになって襲ってくるエレメンタル・ウーズ。
さしわたし1mはある人間の顔の下にダチョウの足みたいなのが5本生えていて、奇声を上げながら走ってくるカイラエ。
亀みたいなボディなのだが、天井や壁に張り付き、背中から生えた触手の先からビームを撃ってくるナイジダ。
30センチ位の人の頭、耳が巨大化した羽根になっていて空を飛ぶチョンチョン。
二足歩行するジャガー人間みたいなウアイ。
ラッパみたいな目も耳も鼻もない頭がついていて、超音波攻撃をしてくる二足歩行爬虫類ロアラー。
そんなモンスターどもと戦い、大体は瞬殺しながら俺達はどんどん奥へ進んで行った。
「に、しても奇妙なモンスターが多いな。見た事も聞いたこともない奴ばかりだぜ」
「気持ち悪いのが多いのもどうにかしてほしい・・・」
アーベルさんとアルテが溜息をついた。
ダンジョンの中に設置された安全地帯での休息中である。
タウさんもおなかの中から出て来て一緒に食事中。
さすがに格納庫に入りっぱなしはつらいのか、うーんと伸びをしている。
「ここは
ペトロワさんも言ってたけど、彼女は異世界を司る女神なんだ。
だから異世界の住人を模したモンスターが出てくるんだろう。
エレメンタルウーズなんかはこの世界における精霊の諸力に異界の力が・・・」
そのまま興に乗ってうんちく語りを始めてしまうオブライアンさん。
途中からは誰も聞いていない。
「あー・・・ひょっとしてチュパくんの同族も出て来たりするの?
いやだなあ、それは」
ありうるな。
彼もこの世界からすれば異界の存在だし。
「その辺は大丈夫だよ。あくまで異界の存在に似せたダンジョンモンスターだから」
だとしてもあんまりいい気分じゃないなあ。
ん? そうなるとゴブリンはどうなるの? あいつら普通に出て来たけど異界関係ないよね?
「それは多分、この世界に神の想念の泡が出現した時に、こちらの影響も相応に受けるからだね。
手軽で生み出しやすいモンスターとしてゴブリンが選ばれるんじゃないかな」
とりあえずビールみたいなノリでとりあえずゴブリンなのか。
いやな異世界酒場だなあ!
そんなことを言いつつ、アルテとタウさんの合作メシをカッ喰らって探索の続きである。
食糧その他生鮮品を持ち込める+二人の料理上手のおかげで、ダンジョンの中でもうまいメシが食えるのは涙がちょちょぎれるほど嬉しい。
保存食はイレマーレのダンジョンで喰い飽きたよ!
そうか・・・俺分かったよ。
食糧を持ち込むためにはマジックバッグが必要だと思ってたがそうじゃなかった。
俺自身がマジックバッグになることだったんだ。
うん、何言ってるかわからんね。
ダンジョンを進むにつれ、通常の武器や魔法では対抗できない敵も増えていった。
影のような犬、シャドウブルドッグ。半分影で出来ている肉体は、普通の剣では切れない。
エーテル界に体を滑り込ませて短距離テレポートしてくるイーサー・ウルフ。こちらも同様。
非実体で鎧や服を素通りするくせに、肉にかじりついて食いちぎっていく無数の羽虫、ゴースト・スウォーム。
縦横が同じ位あって、巨大な口にたくましい足と太く短い足が突いている、アストラル・ビッグイーター。
こう言った特殊な敵が出てくる階層になると同業者の数もぐっと減り、俺達も相応に苦戦する・・・
そう思っていた時期が俺にもありました。
シャドウブルドッグやイーサーハウンドはカオルくんの破魔の雷で一掃されたし。
数千匹はいようかというゴースト・スウォームはガイガーさんが一匹一匹全部叩き斬ったし。
ちょっと待って下さい、あなたのその剣特に魔法とかかかってませんよね。
と言うか数千匹の羽虫なんてどう考えても剣で切る相手じゃないですよね。
達人なら出来る? アッハイ。
そして最後のアストラル・ビッグイーターも、うおおおおと突っ込んでいったアルテの巨大メイスによって一撃で叩き潰された。
やだこの子怖い。
・・・というか、なんで物理攻撃で幽霊めいた存在叩き潰せるの?
ガイガーさんなら分かるけど、その
「あー・・・いや、わかんないけど、やっぱりこのメイスのおかげじゃないかな?
何かそう言う魔法かかってるんだよ、きっと」
「まあ現状ではそうとしか考えられないなあ。アルテは魔法使いでもそう言う加護持ってる訳でもないんだから」
うーん。
ちょっと引っかかるが・・・まあいいか。それこそ今考えてもしょうがない。
今は一刻も早くアストラル・パロットを手に入れることだ。
「ゴォォォッド! ボーガンッ!」
弓をセットした腕の人差し指。
伸ばしたそれから、つがえた矢に光が移る。
放たれた矢は、通常武器無効なはずのシャドウ・ブルドッグを一撃で仕留めた。
さすがに前衛だけでは辛くなってきたので、俺も攻撃に参加している。
使っているのはこれまでも何度か見せた「ブレイバー雷電」。
この雷電、一万二千年前太平洋に沈んだレムリア帝国が妖悪帝国に対抗すべく作り上げたスーパーロボット。
つまり、妖怪とか幽霊みたいなオカルト存在に対して特攻を持っているのである。
物理メインのロボでは対抗しづらいモンスターが多いので、彼の出番となったわけだ。
「ゴッドサンダー! ゴッドランチャー! ゴッドトライブーメラン!」
額から電撃、誘導ミサイルの連射、盾を変形させて投擲。
乱射攻撃にイーサーウルフの大群が半分ほど吹っ飛んだ。
「念力光線! ブレイブ・アルファァァァァ!」
神良シャウトと共に放たれる不可視のサイコキネシスがゴースト・スウォームを群れごと捕らえる。
群れとしては強力だが一匹一匹は小さな羽虫でしかないそいつらは、あっけなくすり潰されて消滅した。
数回の休息を挟んで、更に奥へ向かう。
師匠の念話によれば外では三日経過している。
良い調子で探索できてはいるが、問題はアストラル・パロットだ。
出来ることなら早く落ちて貰いたいものだが・・・お、新しい玄室だ。
「結構広いね」
「なんだあれ、奥に・・・」
げっ。
それを認めた瞬間、俺達は絶句する。
洞窟の奥にはゆったりとした長衣をまとい、あぐら・・・あるいは結跏趺坐を組んで、両手で聖印を結んだ巨大な人物像・・・平たく言うと大仏か何かみたいなものがあった。
それはいいんだが・・・何故頭がオウムなんだ?