異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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ストロングオームって単位あったよな?と思ったけど、オングストロームだった(ぉ


第二十話 オウム大仏

「・・・」

 

 鮮やかな色とりどりの塗装?をされたオウム大仏。

 背中には光輪と、これまた色鮮やかな六枚の羽根。

 良く見たら衣の袖と思っていたものも羽根で、足は鳥の足。

 大きさは・・・修学旅行で行った鎌倉の大仏よりちょっと小さい位か? あれが確か11mか13mかそんなもんだったはずだから、座って10m、立てば15mくらいか?

 

「ねえハヤトくん、あれ生き物? それとも彫像?」

 

 うーん、呼吸音はしないんで少なくとも普通の生物ではないと思うが・・・

 異世界の生物とかゴーレムとかアンデッドとか、呼吸しないモンスターもいるしなあ。

 もうちょっと近寄って・・・

 

『人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外に、人間を救う便利な近道はない』

 

 はっ?

 

「・・・」

「・・・」

「・・・」

 

 全員ぽかんとしている。

 今、確かにあのオウム大仏、喋ったよな?

 

『金銭のかからないものは尊くない』

 

 何言ってんだこいつ。

 大仏を見上げる。

 それはいつの間にか目を開いて、俺達を見下ろしていた。

 オウムが立ち上がる。身の丈はやはり15mほどか。翼を開く。

 

『人はあらゆる自由を許されたとき、自らの不可解な限定とその不自由さに気づくであろう』

 

 オウム大仏の足が地面を蹴る。翼を広げ、俺達を蹴り飛ばそうと――あるいは踏みつぶそうと――襲ってくる。

 

『人間は生きることが全部である。死ねばなくなる』

 

 そう言いながら俺達の中央に着地する。とっさに四方に飛ぶ俺達。

 

『古いもの退屈なものは滅びるか生まれ変わるのが当然だ』

 

 蹴りが来た。対象は俺。まあオブライアンさんに来るよりはいい!

 しかしさっきから何を言ってるんだこいつは!

 でもなんか覚えがあるような・・・

 

「・・・あ、坂口安吾!?」

 

 ええと、「堕落論」の人か?

 

「そうそう! さっきからのセリフ、たぶん全部坂口の名言だよ!」

 

『宗教だの哲学などに、正義も、真理もありはせぬ。あれは、オモチャだ』

 

 翼を羽ばたかせる。爆風みたいな巨大な気流が俺とアーベルさんとオブライアンさんを吹き飛ばした。

 

「うわーっ」

 

 どこかのんびりした悲鳴を上げて、オブライアンさんがコロコロと転がる。

 アーベルさんは危なげなく、俺も何とか受け身を取って着地。

 お返しだ!

 

「スカイ・トーピドーっ!」

 

 色鮮やかな羽根が散る。

 奴は・・・無傷!? これブロイザーの最強兵器なんだぞ!

 

「・・・」

「サンダースウォードっ!」

 

 羽根が散った。

 ガイガーさんが瞬間転移かと思うような踏み込みからの斬撃。

 カオルくんの手加減なし、全力の破魔の雷光。

 そのいずれもが、羽根を散らせるだけで無傷。うそやろ、ガイガーさんの一撃やぞ!

 

『絶望は、愚か者の結論である』

 

 うるせーよ! ・・・ん?

 

「どうしたの、ハヤト?」

 

 オブライアンさんを助け起こしていたアルテが俺の表情の変化に気付いた。

 

「何か考えがある感じね。何すればいい?」

 

 こう言う時には便利だなサトラレ!

 まあともかくあいつを攻撃して欲しいんだけど・・・

 

「・・・攻撃が届かない」

 

『苦しめ、そして、苦しむのだ。それが人間の当然の生活なのだから』

 

 だからうるせーっつーの!

 このオウム大仏、モバイルスーツなみの巨体のくせにぴょんぴょんと羽根を羽ばたかせて軽やかに玄室中を飛び回っているのだ。

 ガイガーさんなみの踏み込み速度があるか、飛び道具でなければちょっと攻撃できない。

 カオルくんでギリギリ、アルテでは・・・

 

「悪かったわね、足が遅くて!」

 

 だから言うてへん!

 

『男女の関係に平和はない』

 

 そう言いつつ襲ってくる大仏を、カオルくんがシールドバッシュではじき飛ばす。

 オウムだけにオウム返ししてるだけかと思ってたが、こいつわかってて言ってんじゃなかろうな・・・?

 ともかくガイガーさん、カオルくん、俺、アーベルさん投げナイフ、オブライアンさん水弾の順番に奴を攻撃してみて下さい! 一人ずつ!

 

「了解だ!」

 

『地獄において人生を生きよ』

 

 舞い散る羽根。

 俺の指示した通りに、アルテを除く五人で攻撃する。

 五回攻撃して、四回羽根が散る。オブライアンさんの水弾だけは羽根が散らず、俺がロケットパンチで二発攻撃した時は他の攻撃の二倍くらいの羽根が散った。

 

「なるほど、そう言う事か」

「ボクの雷撃もガイガーさんたちと変わらないのは、あれ全部で一発扱いなのかな?」

 

 多分な。頭のいい人たちが相手だと話が早い。

 

「・・・悪かったわね。どうせ私は頭が悪いですよ!」

 

 オブライアンさんをガードしながらアルテ。

 声だけでむっつりしてるのが分かる。

 まあつまりだな。

 

『夫婦は愛し合うと共に憎しみ合うのが当然である。正しく憎み合うがよく、鋭く対立するがよい』

 

 だから黙ってろい!

 ともかくこいつは、攻撃を受けるとそれを無効化するのだ。

 その代償として羽根が散る。

 ダメージに関係なく、一発食らったら一定数の羽根が散る。

 そうでなかったら、ガイガーさんの一撃とアーベルさんの投げナイフが等価なわけがない。

 オブライアンさんの水弾は非致傷性で、相手を怯ませたりする程度の威力なので、単純にダメージにならなかったのだろう。

 なら話は簡単。ダメージ扱いされる程度の攻撃をとにかくひたすら叩き込めばいいのだ。

 

『人間というものはべらぼーな楽天家(オプチミスト)でトンチンカンなわけのわからないもの』

 

 うるせーな! 悲観主義よりマシだよ!

 

「そう言うわけで食らえ、エネルギーキャニスター!」

 

 その瞬間、俺の体の前面が爆発した。

 

「!?」

 

 俺の胸と腹から発射されたのは高熱化した無数の特殊合金の散弾(キャニスター)

 対ビームコーティングを破損させるための特殊兵装で、そうでなくても多少の装甲ならズタズタにしてしまう恐るべき兵器である。

 

 『硬岩騎(ハードロック)エムガイル』。

 地球と全く関係ない宇宙の果ての星系、セラミックの・・・つまり石の装甲と武器で戦争するリアルロボットアニメ。

 長野守のスタイリッシュなデザインと、それに反するようなヒロイックでない戦争と人間ドラマが描かれた異色作。

 ガンボイのショットガンとか散弾バズーカも考えたが、こいつのいいところは、機関銃並みに乱射できるって事だ――!

 

『平和、平静、平安、私はしかし、そんなものは好きではない。不安、苦しみ、悲しみ、そういうものの方が私は好きだ』

 

 無数の羽根が次々に散る。

 散弾を食らいながらもオウム大仏は元気に跳ね回るが、何しろ巨体でこっちは散弾だ。

 大雑把に方向さえ分かれば当て続けるのは難しくない。

 

『いのちを人にささげる者を詩人という』

 

 そしてついに羽根が尽きる。

 カオルくんが舞い散る羽根を焼き払った後に現れたのは、羽を残らずむしられたブロイラー。

 オウムすでに飛ばず! 貴様は翼をももがれたのだ!

 

『ほんとの幸福というものはこの世にないかも知れないが、多少の幸福はきっとある』

 

 ガイガーさんに右足を落とされたところで俺の大回転ロケットパンチが奴の胴体をブチ抜き、とどめにカオルくんのサンダースウォードが奴をローストオウムにした。

 う゛ぃくとりぃ!

 

『余は偉大なる落伍者となっていつの日か歴史の中によみがえるであろう・・・』

 

 うるせえよ! さっさと死ね!




>オウム大仏
知ってる人は知っているライブアライブのインコ大仏(大インコ像)。
巨大ロボブリキ大王で戦うことになる。デザインは島本和彦先生。

>名言シリーズ
作中で言っている通り堕落論の坂口安吾のもの。
何故か2011年にこの人の小説を原案にして「UN-GO」というタイトルでアニメ化された。

>長野守
永野護。エルガイムのキャラクター、メカデザイナー。ファイブスターストーリーズの作者。

>オウムすでに飛ばず!貴様は翼をももがれたのだ
元ネタは北斗の拳。「鳳凰すでに飛ばず!貴様は翼をももがれたのだ」。
秘孔を突いて聖帝サウザーのフットワークを封じた時のケンシロウのセリフ。
書いてる時に北斗撮影伝が丁度サウザー編だった。これ面白くて困るのだが、アニメにならないかな・・・。
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