異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

336 / 415
第二十二話 スッキリしない大団円

 家にキンウィルさんの姿はなかった。

 師匠に《失せもの探し》の術を使って貰って場所を特定。

 その場所に行ってみたら病院だった。

 

「あー・・・手術が長引いてるのかな?」

「その可能性はあったわね」

 

 キンウィルさんによればここの医者は腕のいい魔法医だとのこと。

 アストラル・パロットの話もその人から聞いて探していたのだそうだ。

 まあ取りあえず中で聞いてみよう。

 そんな一安心気分は、中でひっくり返された。

 

「襲撃!?」

「はい、キンウィルさんがアストラル・パロットを持ち込まれて、手術を終えた直後に覆面の男たちが・・・」

 

 お医者さんたちに怪我人はいなかったが、抵抗したキンウィルさんは負傷して治療中とのこと。

 目的はどうやらアストラル・パロットだったようで、残り九個全部持ち去られたそうだ。

 恋人さんの手術自体は成功したのがせめてもの救いか。

 許可を貰ってキンウィルさんに会いに行ったけど、パッと顔を明るくして迎えてくれた。

 

「ありがとう! 君たちのおかげでシャーロットは助かったよ!

 術後の経過も良好だと・・・ああすまない。伝言を届けさせるべきだったね」

「そんなのはいいですよ。大丈夫ですか?」

「まあこのとおりだよ。傷は全部塞いで貰ったし。

 そう言えば報酬がまだだったね。家の金庫にしまってあるから持っていってくれ。

 番号は魚人の秘密の番号だ。緑のしるしの袋に入れてある」

 

 いやさすがにそれ泥棒みたいだし・・・って言うと、凄く渋い顔で頷いてくれた。

 恋人さんと一刻でも離れるのが嫌らしい。はいはいごちそうさま。

 

「8、8、2、3、と・・・」

 

 家に戻り、カチカチと金庫を回して開けるキンウィルさん。

 ダイヤル式の金庫あるんかすげーな。

 

冒険者族(きみたち)のご先祖様が持ち込んだ技術だよ。

 今でも子孫が一子相伝の技術で細々と作り続けてるそうだね」

 

 オリジナル本人じゃなくてこっちの世界で作ってんのかすげーな(本日二回目五分ぶり)。

 手渡された袋はずっしりと重かった。中は白金貨で一杯。

 ・・・これさすがに多すぎないです? 一枚じゅうまんえんやで。

 

「アストラル・パロット十個の代金としてはこんなものらしいよ。

 最悪十個全部使うかも知れないと思って用意はしておいたけど、役に立って何より」

 

 素直に喜べませんけどね・・・まあ頂くものは頂いておきましょう。

 その後病院に戻って、ベッドで眠ってる恋人さんの顔をちらりと見せて貰った。

 童顔のかわいい娘さんだった。末長く爆発しやがれ。

 

 

 

「それはそれは大変だったねえ」

 

 今日から復帰するタウさんを届けに行って、そのついでにこれまでの経緯を報告。

 アントンさんには盛大に溜息をつかれてしまった。

 

「まあタウも無事に戻ってきたし、彼もその婚約者の方も助かったと言えばハッピーエンドではあるが。まあタウもお疲れ様。よくやってくれたよ」

「いえ、私はずっとおなかの中でしたから・・・」

 

 料理は美味しかったからええんやで。

 報酬は貰ったから損はしてませんけど、何かもやっとする終わり方ですよね。

 

「これを舞台にするなら、多少手直しはしないといけないなあ。強盗団が何らかの巨大な悪の組織の一部で、賞金をかけたのもその一味、悪の組織を倒してハッピーエンドとか。

 そう言えばダンジョン探索が終わったと言うことは、ハイシンとかも終わりかな?

 中々盛況だったようだが」

 

 ええまあ、元々公演に出られない間の繋ぎでしたので。

 でもわざわざ聞かなくても、アントンさんならうちの一座に偵察位は送ってるはずですよね?

 

「それはまあ・・・はっはっは」

 

 ははははは。

 

「心温まるやりとりだねえ」

 

 オブライアンさんが肩をすくめた。

 

 

 

 タウさんの復帰初日は大入りとなった。

 この町に来た時の宣伝で歌声を聞いて、やってきたらタウさんいないのはどういう事だゴルァ!的に突き上げを食らっていたらしく、一座のみんなもホッとした顔。

 反動でお客さんが熱狂している。

 まあ大入りなのもお客さんが喜ぶのもいいんだが、護衛としては面倒で困る。

 

 とは言え心配していた刺客も出てこず、俺達はタウさんの出番が終わると共にハスキー一座の方に戻った。

 ちなみにアントン一座だが、シチ・カンサの立てこもり事件をまだ上演しているらしい。

 向こうと違ってニュースバリューはないものの、「シチ・カンサ野郎ざまぁ!」的に受けているのだとか。

 それでお姫様がテロリストのメガネに痛めつけられるシーンとか、貴族達が無惨に殺されるシーンとか追加したそうな。

 業の深いことよ・・・

 

 

 

 ハスキー一座にとんぼ返りして、俺の出番。今日超奇術でバラバラにされるのはタウさんである。

 いや、どうしてもやってみたいって言うもんだからさ・・・まあ気持ちは分からないでもない。

 

 なおそれでシルヴィアさんが対抗心燃やして、バラバラ美女役がアルテとカオルくん含めた四人持ち回りになって、バラバラマジック禁止令出されてるリタが激おこぷんぷんになったのは思わぬ余波だった。

 ごめんよリタ、でもお兄ちゃん幼女バラバラ殺人犯にはなりたくないんだ・・・

 

 

 

「あー、しかし久しぶりに手品して喝采されるの気持ちよかった」

 

 劇でハリボテドラゴンやってるのもそれはそれで楽しい。

 悪役の楽しみっていうの? 倒されてお客さんからの喝采受けるのが結構気持ちいいんだ。

 

「ははっ、ハヤトもすっかり芸人根性が染みついたな」

「わかるよ。ボクも剣でエフェクト出したり勇者様演じるのって結構楽しい」

「アルテもさ、何か最近演技力がグッと上がってきたよ。大したもんだ」

「ですぞですぞ。演技力の高い人間がいると、他の劇をやる時も選択肢が広がりますぞ」

 

 わいわいと騒ぐ一座のみんな。もう一年位ここにいるけど、こういうのがいつの間にか日常になっていることに気付いてちょっと笑う。

 しかし、卵盗んでいった強盗団って一体何者だったんだろうなあ。

 

「さっぱりわからんなあ。術で追おうにも、妨害されて西の方としかわからん」

「まあ損はタウちゃんのおじさんがひっかぶってくれたし、構わないさ。

 あたしらは芸人らしく、お客さんを相手にするよ。そしてアントンを叩き潰してやるんだ!」

「おー」

 

 いつも通りの気のない相槌。

 タウさんの顔に苦笑が浮かんだ。




幸せにおなり・・・だ。

>魚人の秘密の番号
>8823
「海底人8823(はやぶさ)」という古い特撮番組(月光仮面と同世代)より。
はっちはっちにーさん謎の人~♪
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。