異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
第二十三話 王様の提案
「観客は何も見てない。何も知りたくない。騙されていたいのだ」
――『プレステージ』――
改めて仕切り直しになったペカ・カンサでの演芸戦争もやはりほぼ互角になった。
どっちもあれこれ工夫はしてるんだが、今一つ決め手がない感じ。
ちなみにアントンさんのスプラッタ手品は更に進化して、現在はギロチンに加えて体をマジでバラバラにしたり、無数の剣を串刺しにして、絶命してから「ハイ元通りー!」と出てくるようなものになってるらしい。
エンタメはいっぺんそっち方向に進むと、過激化の一途を辿るんやなあ。
そして先鋭化しすぎて大多数の人に受け入れられないものになって、素朴な芸に立ち返るまでがワンセット。
いわゆるな○う系だって実際そんなもんだしね、しょうがないね。
ん、何か混線したな・・・
『待ちに待ってた出番が来たぜ! ここはお任せ、逆転サヨナラホームラン!』
「サヨナラマン来た!」
馬車の中でリタの歓声が上がる。
先日まで流していたゴラングルが最終回までいったので、今度は人の死なない明るく楽しいロボットアニメと言う事でチョイスしたのがタイムドロンシリーズ六作目、『逆転サヨナラマン』である。
シリーズの中では結構シリアスではあるが、まあ基本ギャグアニメなので明るく楽しい勧善懲悪ものとしてお楽しみ頂ける。
リタやタウさんにも気に入って頂けたようで何よりだ。
「うーん、やっぱりかっこいいですねえサヨナラマン」
デニムの時もそうだったが、タウさんひょっとしてイケメン好きかな・・・?
いやこの主人公、マジでタイムドロンシリーズぶっちぎり一位のイケメンだけど。
「何が悪いのよ。男だってかわいい女の子は大好きでしょ」
「ハヤトくんは綺麗な人見ると露骨に視線が動くよね」
「安心しなよ、ほんとの面食いだったら間違いなくアンタは対象外さ」
心ないお言葉ありがとうございます!(血涙)
「お、お兄ちゃんは結構かっこいいよ・・・?」
「男性は外見だけじゃありませんから」
フォローの言葉すら、ザクザク突き刺さるように痛い!
今回に限ってガイガーさんの鍔が鳴らなかったのは武士の情けだろうか・・・
ともかく時間を超えて未来の便利な道具をレンタルするタイムレンタル社と、その業務を邪魔するドクロレンタル社、そしてドクロレンタル社が業務妨害を仕掛けてくるときに現れる助っ人ヒーロー、サヨナラマンという構図だ。
悪にサヨナラ! 正義の逆転ホームラン!
まあこれ自体は大人気だったけど次で派手にぽしゃって、シリーズごとサヨナラしたんですけどねHAHAHAHA!
「ええっと、つまりこれタム・リス社みたいな?」
「まあそんな感じ」
冒険者族が経営する運輸関係の大企業である。
大陸で荷物や手紙の輸送と言えばこれ、というレベルの。
「なんか、200年位未来でまんまこんなストーリーが展開されそうな気がする」
「ないない」
『こらアカンわに』
ワニ頭の珍妙なキャラが呟くと共に悪玉メカが大爆発する。
メタな会話をしつつ、俺達は王都アンヘルスへ向かって街道を旅していった。
「おお! あんたら、ハスキー一座かい!
するとあっちの別の一座の馬車が偉大なるアントン一座かな?」
「はい?」
王都アンヘルス。
門番のチェックを受けようとしたら、開口一番このセリフである。
「そりゃあな。セントルで大喧嘩をして、死人が出る前にって言うんで領主様の仲裁で演芸戦争が始まったんだろ? シチ・カンサでは領主様のご令嬢を華麗に救出し、ペカ・カンサではダンジョンを攻略してたっていうじゃないか。
しかもシチ・カンサの領主様が王様のご親戚でね、手紙が来たって話だ。
ひょっとしたら王城に呼ばれるかも知れないぜ!」
思わずシルヴィアさんと顔を見合わせる。
色々尾ひれが付いてて、何かろくでもないことが起こりそうなんですがどうしましょう。
「どうったってどうにもできないだろ・・・」
「・・・」
ガイガーさんが重々しく頷いた。
設営が終わり(アントン一座と隣り合わせなのが作為を感じる)シルヴィアさんが地元の元締めへの挨拶を終わらせて戻ってくると、本当に王城からの使者が来た。
なんと俺とガイガーさん名指しである。少し遅れてアントンさんのところの人が走ってきて、タウさんも一緒にとのことだそうだ。
やっぱり例の人質事件がらみなんだろうなあ。
礼装というかいつもの燕尾服に着替えて王城へ。シルヴィアさんやガイガーさんもそれなりにいい服。シルヴィアさんはともかくガイガーさんそんな服持ってたんだ・・・。
控え室で少し待たされると、アントンさんと何人かの一座の人がやって来た。
互いに会釈して大人しく待つ。
こちらもあの時演劇やってた人達ばかりなので、まあ確定か。
そこから更に三十分位待たされて呼び出しの人が来た。
気分は千秋楽の横綱決戦とは言わないまでも、優勝が絡んだ取り組みに向かう賜杯レース二番手力士くらいのそれである。わかりづらいな。
謁見の間に入ると貴族とかがずらりと並び、若くて眼鏡掛けた気さくそうな王様が王座に座っていた。
「よくぞ来た勇士達よ。お前達が助けた娘は親戚に当たる。俺からも礼を言うぞ」
へへーっと平伏してお褒めのお言葉を頂く。お礼の金一封とかあればなおいい。
しかしえらそうな口調があんまり似合ってない王様やな。
その後は俺のロケットパンチを軽く披露して驚きの声が上がったり(ショックで倒れてしまう人もいた。考えてみると腕がちぎれて空飛ぶって、軽くホラーだよな)、タウさんが例の「右手を上げなさい!」を実演して拍手喝采を貰ったりしていた(何だこの差は)。
「しかしそなた、ロンドの剣聖ガイガーだな」
「御意」
ざわめく大広間の貴族達。俺やタウさんが芸を見せた時より更に大きい。
「そなたのような無双の勇士が姪の危地に居合わせてくれたこと、まさしく正義を司る
そこでどうだ、俺に仕えてみる気はないか? 男爵位と騎士隊長の座を約束するぞ」
「恐れながら、それがしは今も昔も一介の芸人でございますゆえ。ご無礼ひらにお許しを」
先ほどよりも更に大きいどよめき。
まあポンと貴族位くれるってのにそれ断って芸人であろうとするんだから、彼らの価値観からすりゃ理解できんだろうな。
しかし、この答えは王様にとってむしろ好感度上昇の選択肢だったらしい。
「はは、よいよい。そなたのように一本貫くものがあるというのはうらやましい。
王などと言うのはいつもあっちにフラフラこっちにフラフラ、翻弄されるものだからなあ」
肩をすくめる王様。まあ国家元首が大変じゃないわけがないわな。
マジメにやってればの話ではあるが、どうやらこの王様まじめな方らしい。
「しかしそなたの武勇伝は色々と聞いているぞ。芸人のついでというには大したものだ」
「恐れ入ります」
「それでどうだ、そなたの最大の冒険譚を一つ聞かせてはくれないか。
ビアトリス姫との・・・」
「陛下」
静かだが力強い言葉が王様を遮る。
「格別の慈悲をもちまして、その件はなにとぞご容赦を」
「ふむ」
王様があごをいじって笑う。
「いや、これは俺の方が無遠慮であった。許してくれ」
「滅相もございません」
ガイガーさんはあくまで無表情。声にも感情は乗っていない。
多分だけど・・・いや、これは俺が踏み込んでいい領域でもないな。
「それはそれとして、だ」
うん?
「今日この場にそなたらを呼んだのはもう一つ理由がある。
セントルから始まったという演芸戦争、俺に決着をつけさせてはくれないか?」
王様のイメージはアニメアイマスのバネPで。
>逆転サヨナラマン
逆転イッパツマン。作者のマイベストヒーロー。
サヨナラマンは企画段階の名称。
しかしタイムリースって、道具借りる時代から見るとほぼドラえもんだよねw
ピラミッド建設に重機持ってきたり、ベーブルースの試合を観るためにテレビ中継セット貸し出したりw
>シリーズごとサヨナラしたんですけどねHAHAHAHA!
「シリーズがサヨナラしそうで不吉だからイッパツマンにしよう」と改変されたのだが、次のイタダキマンがポシャって結局サヨナラしてしまった。うーむ。
>「なんか、200年位未来でまんまこんなストーリーが展開されそうな気がする」
拙作「毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~」八の巻、「ファスト・ザン・ウィンド、ヒート・ザン・ブレイズ」参照(露骨な宣伝)
https://syosetu.org/novel/307464/