異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十六話 戦士よ立ち上がれ

「ははははは! どうだい、この私の一世一代の大奇術! とくとご覧じろ!」

 

 バルコニーのアントンさんが語りかけてくる。

 どういう事だ? いや、考えている場合じゃない! 王様を助け・・・

 

「「「「「そうはさせないよ」」」」」

 

 エコーのかかった声が横からする・・・ファーッ?!

 

「「「「「やあハヤトくん」」」」」

「「「「「ちょっと付き合って貰おうじゃないか」」」」」

 

 一瞬思考が停止した。

 いつの間にか舞台の周囲を埋め尽くしていたのはアントン。

 お揃いのシルクハットに燕尾服、手には剣。

 アントン、アントン、アントン、アントン・・・!

 同じ顔が無数に並んでいる。

 

「「「「「止められるものなら」」」」」

「「「「「止めてみたまえ」」」」」

 

 上がる悲鳴。

 こいつら、自分のところの団員に斬りかかりやがった?!

 やめろ!

 

「ビームフリーザー! ロケットパンチ!」

「このっ!」

「「「「「ははははは」」」」」

「「「「「ははははははははははは」」」」」

 

 ハスキー一座が一斉に動いた。

 それでもこいつ(アントン)、一人一人が強い!

 緑等級の下の方くらいはある。

 それが百を超える数現れて、手当たり次第に斬りかかっている。

 混在・密集しているから範囲攻撃は使えない。

 しかもこいつら、捨て身でかかって来る。

 切られるの前提で特攻。切られたらしがみついて動きを止めようとしてくる。

 アーベルさんやオブライアンさんのフォローが入るとは言え、かなりきつい。

 

 カオルくんやシルヴィアさんでも瞬殺とは行かないし、ガイガーさんですら一人一人倒していくのが精一杯。

 普段どうにかしてくれる師匠ですら、アントン一座の人達の遠隔治療で手が離せない。

 こうなったらしょうがない。一発芸に近いが・・・師匠、フォローお願いします!

 

「ええい、今忙しいと言うのに! かまわん、やれ!」

 

 はい!

 高まれ俺のプラーナよ・・・

 

「サイコフラーッシュ!」

 

 白い光がほとばしる。

 それは俺を中心とした波動となって周囲を薙ぎ払い、正確に「アントン」だけを吹き飛ばした。

 かろうじて抵抗(レジスト)した個体も明らかに動きが鈍り、今度こそガイガーさんたちによってあっという間に駆逐されていく。

 

 サイコフラッシュ。

 ウルトラロボット大戦オリジナルロボの「魔造鬼神サイラスター」に登場する必殺兵器。

 自分の認識した敵だけに効果を与える、つまり敵味方判別機能の付いた大規模破壊兵器だ。

 

「ハヤトくん!?」

 

 あ、あかん意識が・・・そう言えばこれのパイロットも、最初にサイコフラッシュ撃った時、エネルギー使いすぎて気絶してたな・・・タウさんの慌てた声を聞きながら、俺は真っ暗な闇の中に沈んでいった。

 

 

 

「知らない天井だ・・・」

 

 マンネリと言われようと俺はやる。やってやるぜ。

 

「あ、お兄ちゃん!」

 

 こんな時お馴染みのリタが顔を覗き込んでくる。

 ああ、これは口移しでプラーナ補給の・・・

 その瞬間、高らかに鳴る剣の鍔。

 

「・・・」

 

 底冷えのする目で俺を睨んでくるのは当然ガイガーさんである。

 いたんですかお父さん!

 いえ! 違うんです! 口移しで魔力補給は男のロマンであってですね!

 サイラスターの主人公もですね、最初のサイコフラッシュの後にですね!

 

「目がいやらしい」

「何考えてたのかな? ハヤトくんは?」

「若い男なんぞこんなもんじゃ。余り高望みしてやるな」

 

 三者三様の白い目!

 そ、それはともかくあの後どうなったのかな!?

 そう言うと師匠が溜息をついた。

 

「小僧のあれでアントンどもは一掃された。

 わしらも犯人の一味扱いで捕縛されるところじゃったが、宰相殿が物わかりのいい方での。

 アントンの一味なら戦うわけがないと言う事で、王宮にとどめおかれる程度になっておる。

 シルヴィアやタウ達は代表して事情説明じゃ」

 

 ああ、ここ王宮ですか。確かに豪華だなとは思ったけど。

 あの黒いダンゴムシ・・・ワウムは?

 

「ワウム、巨大なダンゴムシを指す語じゃったな。

 元の名前は味気ないからそれで呼ぶが、撤退していきおったよ。

 恐らくはアントンの本体が国王陛下を拉致して退却したのじゃろう」

 

 アントンさん・・・いやアントンかあ。

 あの無数のアントンは一体何だったんだろう。

 

「死体を調べてみたがな・・・『繋げるもの(ユニレ)』、覚えておるか?」

 

 あー、あのシチ・カンサで領主の別邸占拠してた片腕マシンガンのメガネテロリスト。

 

「それじゃ。奴もそれでアーティファクトと接続していたんじゃ。

 しかも浸食度合いがかなり深刻での・・・全身はおろか脳の大半までやられておる」

 

 マジか。

 分身というか分裂したのもそのアーティファクトのおかげ?

 ・・・っていうか、まさかあいつも「王に叛くもの(アンティゴネー)」!?

 

「可能性は否定できんのう。

 それはそれとして。奴の手品、思い出せるか?」

 

 え?

 ・・・あっ!? ああっ、まさか!?

 

「そうじゃ。奴は自分そっくりの分身をいくらでも作り出せる。

 瞬間転移のマジックなどはもう一人そっくりの自分がいればよい。

 『不死身の男』のマジックも・・・」

 

 なんてこった。あれ人形とかじゃなく、本物の人間を切り刻んでたのか。

 そりゃトリックを見抜けないわけだよ・・・

 

「うわぁ」

「うげっ」

「・・・」

 

 部屋にうめき声が満ちる。

 さすがに豪胆なうちの一座の面々も、あのスプラッタショーを本物の人間でやってたと知ってショックを隠し切れない。

 

「で、でもじゃあ死体はどうしてたの?」

「一座の奴に聞いてみたが、いつの間にか消えていたそうじゃ。

 今度のアントンの死体も血を含めて高速で崩壊して消滅しておったから、そこまでマジックだと誤魔化しておったんじゃろう」

 

 震える声のアルテに、首を振る師匠。まあ手品師が他人にトリック教えるわけがないからな。そりゃ違和感感じても聞けんだろう。

 

「しかし分身とは言え自分自身でそうしたマネをするなど、まともな精神ではありませんぞ」

「あいつら一人一人本物のアントンみたいに考えて喋ってただろう?

 死にたくないとか思わねぇもんかね」

「よしなよ。頭のおかしい奴の考えを読もうったって無駄なことさ」

 

 みんなが振り向く。

 いつの間にか開いていたドアに、シルヴィアさんとタウさん。

 

「ハヤト、立てるかい? 立てるなら全員ついてきな。

 宰相様がお呼びだよ」

 




>サイコフラッシュ
>魔造鬼神サイラスター
もちろんサイバスターとサイフラッシュ。
アニメ版も忘れないで上げてください。
タイトルもアニバスターの主題歌より。
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