異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
談話室みたいなところに案内される。
奥に座っている人の良さそうなおじさん、もうすぐおじいさんが宰相さんだろう。
座るように促されて、三々五々適当に座る。
タウさんの他、アントン一座の主立った人達もいた。
「まず改めて礼を申し上げたい。
迅速で秩序だった避難、そしてあの無数のアントンによる襲撃をよく収めてくれた。
タウ殿から聞いたが、特にハヤト殿の働きが大きかったとか。
国王陛下に代わって感謝しますぞ」
まあタウさんの《加護》は何回か見てましたからね。
今回のMVPは彼女でしょう。
パニックによるドミノ倒しで死者が出ることを知ってたからこそ素早く反応できたのだが、まあそれは口には出せない。
「謙虚でいらっしゃいますな。
それとこれも申し上げておくが、アントン他、直接関係していたテロリストを除く一座の罪は問わないので安心してよろしい」
宰相さんがそう言うと、アントン一座の副座長が安堵の息を吐いてぐったりした。
そりゃまあ不安だよな。座長がテロリストだったんだ、普通なら一味とみなされて、そうでなくても連座で極刑でもおかしくない。
推定でしかないが、アントンが「
とは言え一味だったらアントンどもに攻撃はされんだろう。
実際ここにいるアントン一座の人も、無傷の人は一人もいない。
師匠にカオルくんやオブライアンさんが助っ人に入っても、重傷や致命傷の人を処置するのが精一杯だったそうだ。
一座の人間を攻撃させたのは本物アントンが逃げるための時間稼ぎだろうが、かえって一座の人の無実を証明することになるとは皮肉なもんだ。
というか他にもアントンの、テロリストとしての仲間もいたのか。
「先ほどまで聴取しておりましたが、十人ほどが姿をくらましているそうです。
表向きは全く普通の団員たちだったと」
副団長さんが疲れたように頷く。辛いところだな。
「それで宰相閣下。あたしらが呼ばれたのは何です? それだけが理由じゃないでしょう?」
「うむ」
宰相さんが重々しく頷く。
「誘拐された陛下を取り戻すために軍の精鋭が出動する。
冒険者らも募った。君たちにもそれに参加して貰いたいのだ」
「まあ参加しないわけにはいかんじゃろうのう」
「当然だよ。あの野郎、ブッ飛ばしてやる」
前向きに考えて欲しいと言われてその場を辞した後。
溜息をついているのが師匠、鼻息の荒いのがシルヴィアさんである。
ライバルとして気にくわなかったのはともかく、芸人としては認めてたからなあ。
完全にブチ切れ状態だ。
「私はどうしましょう?」
「音をコントロールする術はあるから、まあ役に立たないと言う事もあるまい」
なお、タウさんは相変わらずこちら。
副座長さんにも確認したのだが、「襲ってきている人間が何者か分からない以上、そちらで預かって欲しい」とのことだ。
確かになあ。考えてみれば町を越えて、時々襲いかかってくるってのも怪しい話だ。
これ自体アントンの仕込みってのもなくはない。
「でも、だとしたら何のために? 正直私がここにいることでアントンに何のメリットがあるんでしょう?」
それがわからんのだよなあ・・・。
師匠に身体検査してもらったほうがいいかな?
「じゃな。この後時間を見てやろう。カオル、アルテ、ちょっと付き合ってくれ」
「はーい」
「わかりました、先生」
「あら、ハヤトくんじゃないんですか?」
「!?」
にっこりと笑うタウさん。
人を殺せそうな目つきで睨むアルテとカオルくん。
それを見て更にコロコロと笑うタウさん。
それはいいんだけど、何でこっちまで睨まれるんですかねえ!?
結局、リタを含めて全員が参加することになった。
ガイガーさんはかなり渋ったが、リタの《会話の加護》もここのところ急激に強くなっており、動物を使った探査能力は師匠も認めるほどに高い。
ついでに言うと、留守番に残したところで安全とは全く言い切れない。
それこそタウさんみたいに暗殺者に襲われるかも知れないのだ。
結局勝手な行動は絶対しないように言い聞かせて同行を認めるしかなかった。
で、場所は分かってるんですか?
まあワウムは見た感じそこまで速度速くないし、盛大に後を残して行ってるだろうからわからないってことは・・・
「あ、そうか。ハヤトは見てないんだっけ」
「ハヤトくんが倒れた後にね、あのだんごむし・・・ワウムが丸まったんだよ」
パードゥン? 今なんて?
「丸まったの。それでね、ごろごろごろー、って転がって行っちゃったの」
ちくしょう、古代の真なる魔術師は頭のおかしいのばっかりか!
「ええい、無礼なことを言うでないわ!」
せやかて師匠、移動城塞にダンゴムシみたいに丸まる機能付ける意味がありますか!?
「・・・まあ、体当たりとか高速移動とか、色々理由があったんじゃろうが・・・」
師匠も反論できない、この頭のおかしい仕様である。
どれくらいおかしいかっていうと、地球の町を破壊するために巨大なバイク作るくらいおかしい。
ともかく、一応騎馬で痕跡を追っているが、追いつけるのは当分先だろうとのこと。
とは言え場所は分かっている。北西に広がる岩石砂漠だ。クソ暑い荒野とも言う。
宮廷魔術師の人が突き止めたらしい。
師匠じゃないん?と尋ねてみたら「この手の術は対象への親和度がものを言う」との事。
生まれた時からの馴染みである宮廷魔術師さんのほうが、腕は上でもろくに面識のない師匠にこの点では勝ってたって事か。
「ともかく明日朝出発だよ。全員ちゃんと寝ておきな」
うへーい。
翌朝。
王城の馬場には今回の作戦に参加する面々が集まっていた。
正規軍からは軍馬にまたがった騎士たち。緑等級三人、青等級五人、加えて宮廷魔術師さんと軍の腕利き術師三人(宮廷魔術師さんはお年な上に戦闘系の魔法の心得があまりないのだ)。
冒険者の緑
そして我らがハスキー一座とタウさんである。
騎士の人達以外も馬に乗ってて、俺ら用の馬もちゃんと用意されてるのだが・・・俺乗馬技能持ってないんだよなあ。ピンゾロ振って落馬しそうな気がする。
まあ、どのみち俺の腹に全部詰めて飛んでいくんですがね!
>地球の町を破壊するために巨大バイク
Vガンダムのバイク戦艦。
当時精神的に参っていたお禿様が、無茶な事言ってくるスポンサーに「それならこれはどうだ! 間違っても採用できねえだろう!」と叩き付けたら通ってしまった案件。
>ピンゾロ振って落馬
「盗賊たちの狂詩曲」より。
スチャラカ冒険隊のカラーを決めた出来事の一つw