異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十八話 まずは偵察

「うおおおおお!?」

 

 俺の腹の中に響く驚きの声。

 腹に吸い込まれる前は意味不明だの騎士がそんな真似できるかだの言っていた連中が、今は窓にかじりついて外の景色を眺めてる。

 ほほえましいなあ。

 

 現在王都の北西200kmをステルスしながら飛行中。

 途中で追跡隊を発見したので、騎士隊長さんが命令して帰らせていた。

 で、この後どうするんです。

 

「うむむむ、何と言う速度だ。中に百人ほども乗せられてこの速度で移動できるとなると・・・」

 

 おーい、隊長さん。もしもし?

 

「・・・はっ! ああいや済まなかったサー・ハヤト。呆然としててな」

 

 まあ初めて見た人は大体そうなります。

 それで作戦は?

 

「軍の術師は全員透明化の術が使える。宮廷魔術師殿は念視と念話が使える。術師三人と同様の能力を持つ冒険者の斥候、そして鳥になれる獣術師を用いて入口を探る予定だ。

 そちらはイレマーレのダンジョンを踏破した腕利きの冒険者グループでもあると聞く。

 何か案があるようならそちらを優先してもよいと、宰相閣下から許可も頂いている」

 

 うわお。話せるなあ、あの宰相さん。

 

「あの方も昔は家を飛び出して色々と苦労をされたそうだからなあ・・・いや、まあそれは置いておいて。

 そちらには何かアイデアはあるか?」

 

 「ワウム」は今動いていないんですよね?

 

「うむ。少なくとも陛下の居場所は動いておらぬ」

 

 首を縦に振るのは宮廷魔術師さん。

 

「取りあえずはこれで超長距離・超高空から観察した後、リタから鳥に頼んで貰って偵察するのがいいじゃろうな。

 あんなのでも真なる魔法文明の産物じゃ。生半可な透明化などは簡単に見破られると思った方がよい。獣術師どのなら恐らくは大丈夫じゃろうが」

 

 宮廷魔術師さんも頷く。

 あんなの呼ばわりされるワウムにちょっと哀れみを覚えつつ、俺は高度を上げた。

 いや残念でもなく当然だけど。

 

 

 

 ひたすら続く茶色の荒野。岩石砂漠のど真ん中、黒いドームがちょこんと鎮座していた。

 しかしほんとにダンゴムシだなあ。

 

「どうじゃ小僧。何か見えるか」

 

 さすがにこの距離ですとね・・・周囲にも人の影はないし。

 

「まあ移動城塞という通り、あの中には長期間籠城できるような設備がある。

 魔力さえ続けば水も食糧も中で生成できるしの」

 

 うーん魔法すげえ。

 しかしこうなると、今度は獣術師さんとリタの鳥の出番か。

 まずリタのお願いを聞いてくれるトリさんを探さないとな。

 

「お兄ちゃん、いる?」

 

 20km位先にハゲタカみたいなトリの群れを見つけた。

 あれ大丈夫?

 

「肉食だとちょっときかん坊なところはあるけど・・・多分大丈夫だと思う」

 

 オッケー。

 俺は東側に舵を切り、鳥たちの所に飛んでいった。

 

 

 

 ワウムから10kmほど離れた岩山の影に俺達は着陸した。

 

「それじゃよろしくね。教えてくれたら沢山穀物を・・・え、生肉がいい?」

 

 ハゲタカたちと話しながら、ちらりと騎士隊長さんを見上げるリタ。

 

「ええと、干し肉ならそれなりに」

「干し肉ならあるって」

 

 ギャアギャア騒ぎ出すハゲタカたち。見てくれは悪いが割と無邪気だな。

 

「それでいいって。それじゃお願いね」

 

 嬉しそうにまたギャアギャア騒いでからハゲタカたちが飛び立っていく。

 目を丸くしていた獣術師の人が、慌てて隊長さんに向き直った。

 

「そ、それでは!」

「ああ・・・頼む」

 

 隊長さんも唖然としてるな。

 獣術師の人が呪文を唱える。一瞬姿がぼやけたかと思うと、彼が立っていたところに一羽のハヤブサが現れた。

 片方の翼で器用に敬礼すると、ハヤブサはハゲタカたちの後を追って飛び立って行った。

 

「変身の呪文ってあんな風になるんだね」

「動物使いと聞いてはいたが、いや、見事なものだった」

「使ってるわけじゃないよ、お願いしてるだけ」

「なるほどなあ」

「まあ取りあえずやることもないし・・・」

「メシでも食おうか」

 

 そう言うわけで俺達はメシにした。

 火を焚くと煮炊きの煙が上がるので、師匠に鉄鍋を即席ホットプレートにして貰ってではあるが。

 

 

 

 二時間ほどして獣術師の人とハゲタカたちは戻ってきた。

 獣術師の人は残してあった雑炊を、ハゲタカたちは干し肉を腹一杯食べながら報告。

 ハゲタカたちの報告によると、真ん中の脇あたりが開いて、人間が顔を出したらしい。

 口から煙を出してたっていうから、サボってタバコでも吸ってたんだろうか。

 

 獣術師の人は下の方に潜り込んだそうだ。

 本物のダンゴムシのように、もしくは王虫(ワウム)のように無数の太い節足が生えている。

 その中をかき分けていくと天井・・・つまりワウム本体の底に扉があったそうだ。

 メンテナンス用か、緊急脱出用のハッチか何かかな。

 

「すると侵入口は二つか。

 無駄だとしても夜になるのを待ち、術師に透明化をかけて貰ってこっそり近づくべきか」

 

 あのー、それなんですが。

 

「・・・地中に穴を掘って進める!?」

「いやしかし、モグラも意外と速度は遅いから・・・」

 

 一秒で100mくらいは掘れますが。

 そう言うと一座以外のみんなが一斉に吹き出した。

 

「まあ人が通れる位の大きさとなるともうちょっと時間がかかりますけど、それでもこの距離なら20分くらいで」

 

 もう一度みんな吹き出した。

 それでどうでしょう。

 地中の震動を感知する機能とか、あれにありますかね?

 

「なくはない・・・が、あくまで数十メートル、数百メートルのサイズを持つ原初の魔獣を想定したものじゃ。

 小僧ひとりが穴を開ける音ならギリギリ感知されないかもしれん」

 

 じゃあ地中から進んで、底のハッチから潜入で決まりですか?

 

「いや」

 

 ここで隊長さんのインターセプトが入った。

 何かマズイ雰囲気だな。

 ひょっとして騎士としてそんな作戦は承服できないとか?

 

「まあ有り体に言えばその通りだな」

 

 マジかよ。

 でもこの際は・・・

 

「なので、我々は透明化の呪文をかけて地上から行く。

 君たち一座と『白銀の牙』(冒険者たち)は地下から潜入したまえ」

 

 ・・・! それって・・・

 

「これは我々双方の特性を考慮した合理的な判断だと考えている。何か意見はあるかね?」

 

 それは・・・

 

「俺らからも一言言わせて貰いたいな、隊長殿」

「どうぞ、サー・クリハ」

 

 俺たちが何かを言う前に、快活そうな角刈りの巨漢・・・緑箱のリーダーである戦士が手を上げた。

 

「俺達もこいつらと同行する気はねえ。地下から潜入するまでは一緒にさせて貰うが、そこからは別行動だ――うちの術師は透明化の術が使えないし、正直ガイガーさんと一緒じゃ足手まといになっちまう」

 

 にっ、と好漢の笑みを浮かべる男。

 

「で、ござるな」

「拙僧も術師としてはペトロワ殿には遠く及びませんからな。妥当なところでありましょう」

 

 同じパーティのサムライらしきヒゲのおっさんと司祭のおじさんも頷く。

 

「買いかぶられたものじゃのう?」

「いえいえ、ご謙遜を」

 

 師匠が笑うと、司祭のおじさんも笑みを返した。

 

「えっと、それって・・・」

 

 みんな囮になってくれるってことだよ。

 

「総合的に見て妥当な判断だと思うがどうかな?」

 

 隊長さんもにかっ、と笑う。

 そうまで期待されたら応えない訳には行かないな・・・ドンと任せとけ!




隊長さんがハヤトくんや冒険者パーティのリーダーにサーつけてるのは、緑等級以上は騎士爵持ち扱いにする慣例があるからです。

>白銀の牙
エブリンガーにもちょろっと出てきた、「おっちゃん冒険者千夜一夜」の「黄金の牙」がモデルのキャラたち。
そしておっちゃん冒険者及び「ダンジョンマスター」「央華封神」のコミカライズなどを手がけられた栗橋伸祐先生が先日お亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
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