異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十九話 ダンゴムシの要塞

「ではこちらも出立する。武運を祈る」

「すげえな、本当に穴掘って忍び込めたぜ。

 それじゃ俺達は派手に暴れ回るから後はよろしくな」

 

 そんな言葉と共に、騎士たち、冒険者の人達と別れて今はダンゴムシの中を上へ上へ。

 もちろん一座のみんなは腹の中、光学迷彩をかけての疾走だ。連れ歩くのが三人までなら、彼らをコクピットに座らせて、ミストヴォルグとヒエイのダブルステルスが出来るんだが。

 師匠、王様の居場所は?

 

「宮廷魔術師殿によればやはり動いておらぬそうじゃが、さすがに真なる魔法文明再生期の産物じゃ、失せもの探しの術も効きにくい。

 上の方から反応を感じる気がするそうじゃから、片っ端から当たってみるしかなかろう」

 

 気がする、かあ。

 こと今回に限っては、あの宮廷魔術師さんでだめなら師匠でもダメなんですよね?

 

「むしろ術を阻害する構造材に囲まれて、そこまで探知してのけるあの御仁を褒めるべきじゃろうな」

 

 その宮廷魔術師さんは老齢と言う事もあり、例の岩陰で護衛の騎士ひとりを残してお留守番である。同時に俺達、隊長たち、緑箱のみなさんを念話で繋ぐ通信ハブとしても機能している。

 うちの通信担当は師匠なので、さっきのような会話になる。

 なお「動かざる星(ツバルファ)」という発信器みたいな魔道具をそれぞれのグループに渡してた。これがあれば、あれの中でも大体の位置はわかるんだそうだ。

 

 ・・・というか、そもそもあいつ(アントン)、何を考えて王様を拉致したんでしょうね?

 「王に叛くもの(アンティゴネー)」だったとしたらその場で殺しそうなものですが。

 

「わからんなあ。ただ王というのは古き血筋であり、隠された役目を持っていたり、血の中に力を秘めていたりすることが往々にしてある」

 

 精霊神(アウレリエン)の杖を発動させる秘儀を守っていたイレマーレの王家みたいに?

 あるいは神を呼び出す神器を守っていたアルテの実家みたいに。

 

「まさしくじゃ。ワシらが出立するまでに何らかの要求がなかったということは、国王の身柄そのものが目的であった可能性が高いとわしは睨んでおる」

 

 うへえ。

 また世界滅亡級の厄介な儀式とか古代遺跡とか魔獣とか出てこないといいなあ・・・

 いや古代兵器は既に出てきてるけども!

 

 というか考えてみれば、こっちの世界に降りたって一年、その手の大騒ぎに巻き込まれたことは片手の指じゃ足りない。というかそろそろ両手の指でも足りなくなりつつある。

 サイモックってその手の厄介ごとがそんなに毎回起きる世界なんですか?

 月刊世界の危機ですか?

 

「んなワケなかろう。大体お主が厄介ごとを呼び込んでるのではないのか?」

 

 ひどい!

 

「まあオリジナル冒険者族が同時に二人呼び出されるなどわしの知る限り前例がないし、強い力は強い力を引き寄せる。お主らの持つ力がトラブルを呼び寄せている、もしくは顕在化させているというのも、あながちなくはないじゃろうなあ。

 お主がおらなんだらロンドの王も適当なところでオアンネス相手の戦争をやめておったかもしれんし、逆に怪物と化したのがばれて、密かに討伐されておったかもしれん。

 吸血鬼がアルテに目をつけた時もただの行方不明事件として終わったかもしれんし、そうなれば火山の噴火もヴァナラの森の騒動も、五連ピラミッドの事件も起こらなかったじゃろう。

 魚のホラ話(ビッグフィッシュ)、イレマーレの混沌、ライサムの黒い巨人、レミンジャーの神器、ラゼルスの妖魔、ラデルアのヤクザ同士の抗争、トゲトゲのチビ(チュパくん)にヌスタァダムの魔獣。

 どれもお主らがおらなんだら、影に隠れたままだったはずじゃ。

 例外はゼンティルの姫様のところの幻刻テロ事件くらいか」

 

 うーん、そう言われてみると・・・しかし既に両手の指でも足りてねえなこれ。

 

「まあ覚悟は決めておけ。賭けても良いがろくなことではあるまい」

 

 どうせ賭けるならシルヴィアさんに賭けて欲しいんですけどね。

 それなら絶対外れるのに。

 

「ブッ飛ばすよあんた!?」

 

 シルヴィアさんの怒声。俺の腹の中で和やかな笑い声が起きた。

 

 

 

 兵器や要塞の中にあるとは思えない荘厳な一室。

 神殿と見まごうような古代風の広間、中心には祭壇。

 見るものが見れば、祭壇を中心として立体的な積層魔法陣が部屋全てを使って形成されているのが分かっただろう。

 

 そして祭壇の上には拉致された国王が横たわっている。

 胸が上下しているので生きてはいるだろうが、それ以外では微動だにしない。

 ボハボハボハ、と笑い声が響いた。

 

「ヤるじゃナイ。全て順調ネッ!」

「ありがとうございます。~~様。囮の連中は適当に相手して、本命の連中は現在ここに近づきつつあります。あれこれ妨害もしておりますので儀式には間に合うでしょう」

 

 キイキイ声を上げるのは浮遊する銀色の円盤に乗った肉の塊。恐らく体重は一トン近くになるか。

 その前にはアントンがうやうやしくひざまずいている。

 

「無理はしないでいいわヨ。どうもかなりの腕利きのようだしネッ。

 デモあのボウヤと二枚目のお嬢ちゃん、それから力持ちのお嬢ちゃんの力はちょっと引き出してみてくれると嬉しいワ」

「仰せのままに」

 

 アントンの答えに満足そうに頷く肉塊。

 

「それジャ、ワタシは地下の方に行くワ。ここはお願いネ」

「お任せください」

「ああモウ楽しみ! 今度こそうまく行くといいワネェ・・・キャハハハハハ!」

 

 甲高い声を上げ、銀盤ごと肉塊が消える。

 広間の扉が静かに開かれたのは次の瞬間だった。

 

 

 

 何だこの部屋!?

 上から下まで魔力反応びっしりで・・・国王と・・・

 

「待っていたよ、ハスキー一座の諸君」

 

 アントン!

 

「ばれてるんじゃしょうがないね。リタ以外全員外に出しな」

 

 うす。

 シルヴィアさんの言葉に従ってみんなを外に出す。

 ばらばらと広がって戦闘態勢を取る各員。

 それを見てもアントンは動揺しない。

 ステージ上と全く同じ笑顔のまま。

 ・・・いくつか、質問いいですか?

 

「どうぞ? マジックの種明かし以外なら何でも」

 

 思わず苦笑する。やはりこの人は骨の髄までマジシャンらしい。

 

「それじゃお言葉に甘えてまずひとつ。

 あなたは『王に叛くもの(アンティゴネー)』の構成員なんですか?」

「そうだよ?」

 

 あっけらかんと答えるアントン。

 

「まあ別に彼らの大義とやらに心酔してるわけではないけどね。

 彼らの首領に大恩があるからさ」

 

 大恩? ・・・何となくだけど、家族を助けて貰ったとかそう言うんじゃない気がする。

 

「ああ、ハヤトくん。君ならわかるかな。いや、分かるだろうと思っていたよ。正解だ。

 私が彼に受けた恩とは・・・これさ」

 

 言うなり、アントンが数十人に増えた。




>月刊世界の危機
週刊世界の危機。
セブンフォートレスが元ネタ(多分)だが、考えてみるとウルトラシリーズとか戦隊シリーズとか、ヒーローが負けると大概の場合世界が崩壊しそうなのでこのへんも週刊世界の危機と言えなくもない。
ライダーは平成以降ローカル悪の組織が意外と多いので、当てはまる作品は半分位か。
(昭和の場合は悪の組織の目的が世界征服なので、ライダーが負けると世界が滅ぶ)
なお確信犯的に使っている作品で血界戦線というのもある。
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