異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十一話 プランB

「世界に穴!?」

 

 みんながざわめく・・・が、ちょっとぴんときていないようだ。

 間違いなく大ごとだとは思うのだが。

 それでどうなんでしょう、師匠? 穴が空いたら何がどうなるんですか?

 

「明言はできん。しかしこの世界の上には幻夢界、そして神の住む天界という世界がある。

 この地上界は物質の世界であり、天界は霊の世界、幻夢界はその中間の世界じゃ。

 わざわざ区切られておるものに穴を開けるのじゃから、ろくな事にはならんじゃろうな」

 

 だよなあ。

 

「むしろここが荒野になった理由がそれだと知って腑に落ちたわい。

 ここは世界でも有数の龍脈の結節点じゃ。当然様々な魔法施設があった。

 それがこのように吹っ飛んで、何が原因だったのかは今まで不明だったんじゃよ」

 

 当時は惨状だったんだろうな・・・

 何考えて今更こんなことするんですかアントンさん。

 あ、やべ。思わずさんづけしちまった。

 

「ははは、君は礼儀正しいね」

「先に言っておくと穴を開けてどうなるか」

「何のためにそうするかは私も知らない」

「ただ、大変な見物であるとの保証は頂いたよ」

 

 輪唱で俺の質問に答える「アントン」たち。

 一つ溜息をつく。

 わかっちゃいたがなあ・・・

 

「おや」

「どうかしたのかね」

 

 あなたを倒すべき敵だと改めて認識しただけですよ。

 もう本当に倒す以外にない。

 

「ははははは」

「そのとおり」

「全くそのとおり!」

 

 機嫌良さそうに笑う「アントン」たち。

 笑うな。こっちはものすげえ機嫌が悪いんだ。

 

「ハヤト・・・」

「ハヤトくん、大丈夫?」

『お兄ちゃん』

 

 腹の中のリタ含めて、三人が心配してくれるが、なに大丈夫。

 今は取りあえずこいつをブッ殺して世界を救わないといけないからな。

 

「わかってんじゃないか、そういうことさ」

「決断力のある男の人って好きですよ」

 

 シルヴィアさんはいつものシルヴィアさんだが、あざといさすがタウさんあざとい。

 アルテ達が睨みつけているが、この状況だから自重してる。

 逆にタウさんはもうちょっと自重してください!

 

「はは」

「はははははは!」

「いい(パーティ)だ」

「世界を滅ぼそうと企む悪の奇術師と」

「それに挑む正義の芸人一座!」

「そうだ、ラファエル殿、君たちが勝ったら劇にしてみてはどうかな?」

「きっと大受け間違いなしだよ!」

 

 水を向けられたラファエルさんが苦笑する。

 

「まあそれはその通り、いい題材なのですぞ。しかしその場合、アントン殿は悪逆非道の大悪党として後世に名が残ることになりますがよろしいのですかですぞ?」

 

 ははははは、とまた笑い。

 

「無論だとも」

「龍は死して牙を残し」

「人は死して名を残す」

「千年にわたって、私は悪役として人々を楽しませ続けるのだ」

「芸人としてこんな喜ばしいことが他にあるかね?」

 

 「アントン」たちの一点の曇りもない笑み。

 ある意味負けたわこりゃ。ここまで言えれば立派だよ。あんた心底芸人だ。

 

「「「「ありがとう」」」」

 

 「アントン」たちが一斉に帽子を取って一礼する。

 

「「「「では、始めようか」」」」

 

 その声と共に、「アントン」たちの群れがぶわっと膨らんだ。

 

『ふわっ!?』

 

 戦いは俺の腹の中からリタの驚いた声と共に始まった。

 それと同時に俺の胸と腹がパカリと開く。

 

「エネルギーキャニスター!」

 

 爆発かと思うような無数のフラッシュマズルと共に発射されたのは無数の散弾(キャニスター)

 先ほどのリタの声はロボの切り替えに伴って、ブロイザーの腹からミストヴォルグのサブコクピットに移されたときのものだったわけだ。

 ともかく散弾は膨らんだ「アントン」の群れ・・・アーティファクトの力で爆発的に増殖を続ける無数の「アントン」にまともに着弾する。

 

「「「「「があっ!」」」」」

 

 上がる数十の悲鳴。

 さすがの「アントン」も肉体的には生身とほとんど変わらないし、散弾をまとめて叩き落とすような超絶の技量もない。

 灼熱化した散弾に体を貫かれ、拳がすっぽり入るような穴をいくつも開けて倒れる。

 

「「「「「ははははは」」」」」

「「「「「はははははははははは」」」」」

 

 だが倒れた奴らが地面に積み重なる以上のスピードで新しい「アントン」がまたわいてくる。

 嘘だろ、マジでいくら撃ち抜いてもキリがないぞ!?

 何かどっかのソシャゲみたいだな!

 ガイガーさんたちの方が・・・

 

「っ!」

 

 短い苦痛の声。

 俺が「アントン」達を抑えている間に王様を救出しようとしたガイガーさんが、台座に伸ばした手を弾かれたのだ。

 

「ちっ、即時反応の防衛術式か。中々味な真似をしてくれるのう。カオル!」

「はい、先生!」

 

 カオルくんのサンダースウォードから破魔の雷がほとばしる。

 絞って放たれたそれは祭壇に命中し、祭壇から魔力の反応が失われた。

 

「よし、脱出じゃ! 小僧、腹を開けろ!」

 

 シルヴィアさんが王様を担ぎ、ガイガーさんたちがそれをカバー。

 その間にも俺の散弾は次々と「アントン」たちを貫いて死体の山を量産している。

 

「「「「「ははははは」」」」」

「「「「「はははははははははは」」」」」

「!」

 

 笑っている。

 儀式の鍵である国王を奪われたにもかかわらず、「アントン」達は笑っている。

 またしてもいやな予感。

 それを見透かしたかのように「アントン」達が薄く笑う。

 

「いいとも」

「欲しければ返して上げるよ」

「用済みだからね」

 

 !

 それはあれか? 「35分前に起動したよ」ってやつか?

 

「む」

「何かの戯曲のセリフだったかね?」

「記憶にないが・・・」

「まあだいたいそのようなものだ」

「もう」

「「「「「儀式は終わっている」」」」」

 

 俺達全員が一瞬止まる。ガイガーさんやシルヴィアさんですらだ。

 

「惑わされるな!」

 

 そこに響いたのは師匠の声。

 

「おや」

「嘘ではないのですがね、ご老体」

 

 意外そうな顔のアントン。

 確かに、儀式が継続していたにしては、王様と祭壇には何の魔力的な動きもなかった。

 だが師匠も引かない。

 

「惑わされるなと言っておる! 儀式自体は完遂したかもしれんが、その結果はまだ発動しておらん! 準備は終わったが、まだ止める術はあるかもしれんと言う事じゃ!」

 

 あ、そう言う事か!

 それで、どうやったら止められるんです!

 

「・・・これから考える!」

 

 だと思ったよチクショウ!




>35分前に起動したよ
ウォッチメンのオジマンディアスの名セリフ。
普通の悪役なら油断して悪事の内容をペラペラ喋るシーンで、「漫画の悪役じゃないんだぞ? 喋ってるって事は全部終わったってことさ」と言い放つのが素敵すぎる。

>惑わされるな
新肉マンのストロング・ザ・武道のセリフ。
これも結構流行ったなw
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