異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十二話 ショータイム

「陛下を安全なところへ!」

 

 了解!

 師匠のプランBだ! そんなもんねえよ! からのシルヴィアさんの号令。

 リタ、また移すから気を付けて!

 

『どうやって!?』

 

 肩の辺り(ミストヴォルグのサブコクピットはそこにあるのだ)から悲鳴が上がるが、すまん、無力なお兄ちゃんを許してくれ!

 

「チェンジブロイザー!」

『きゃあっ!』

 

 ミストヴォルグからブロイザーに変わり、その場の「アントン」以外の全員を腹に吸い込む。

 そして硬岩騎(ハードロック・ナイト)タンジェリンから・・・

 

「チェインジ、ジェッターII(ツー)! スイッチ・オンッ!」

 

 元祖ドリルロボのドリルを回転させて、床に飛び込む。

 

「「「「「ははははは」」」」」

「「「「「はははははははははは」」」」」

「戻ってきたまえ」

「待っているよ、ハヤトくん!」

 

 笑う「アントン」たち。追いかけて来る様子はない。

 ええい、王様安全な場所に送り届けたら戻ってきてやるわ!

 

 宮廷魔術師の人に大体の位置を聞いて(例の「動かざる星(ツバルファ)」とかいう発信器だ)、途中で騎士さんたちと冒険者の人達を拾ってから脱出。

 追撃を受けないようにさっき掘った穴を通って岩陰に帰還。

 その頃には王様が腹の中で師匠の呪文を受けて意識を回復していた。

 宮廷魔術師さんが涙を浮かべて王様の手を取る。

 

「陛下・・・おお、陛下!」

「シーザー! すまない、心配をかけたな。他のみんなもよくやってくれた。

 しかし・・・」

「はい、看過し得ぬ事態が迫っております」

 

 師匠の深刻な顔。

 王様の笑顔が同じように曇る。

 

「マスター・ペトロワ。俺にはよくわからないが、天界と・・・幻夢界だったか? それとの境目を破ると何が起きるんだ?」

「この婆にも全く未知の事ゆえハッキリした事は申せませぬが、幻夢界の半霊物質(エーテル)がこの物質界に流れ込むのは確実でございましょう。

 量にもよりますが、純粋な半霊物質(エーテル)は地上界の存在には猛毒も同じ。

 ドロドロに溶けて、人も建物も畑も動物も、みな跡形をとどめぬ何かと成り果てましょうぞ」

 

 その場の全員が絶句する。

 人類保存計画・・・なんて茶化せればよかったんだがな!

 もしくは諸星吉良次郎の漫画か! いやもっと悪いわ!

 

「それが俺の王国で起きるって言うんだな」

「御意」

「恐らくもう時間はない、下手をすれば今にでも起こりそうだと」

「御意」

「あ~~~~くそっ!」

 

 頭をわしゃわしゃとかき回し、ウロウロと歩き回る王様。

 三十秒ほどそうしていたが、不意にピタリと動きを止めて、師匠の方を振り向いた。

 

「この状況、どうすればいい。腹案はあるか、シーザー、マスター・ペトロワ」

「「恐れながら」」

 

 二人がハモって互いの顔を見る。

 ペトロワ師匠が譲って、先に呼ばれた宮廷魔術師が口を開いた。

 

「恐れながら陛下、王座につかれました時にわたくしめが話しました事を覚えておいででしょうか」

「王家がカンサ族の長の末裔で、この荒野のどこかに無限の力を引き出せる門がある、俺がその鍵だ・・・ということだったな。まさかあれがそうか」

「御意。恐らく奴らは陛下を鍵として、その儀式に必要な魔力を龍脈から引き出したのでございましょう。

 それを止めるには今一度陛下があの『ワウム』に乗り込み、再び龍脈から力を引き出して、儀式を起こす部分を暴発させるなり、そのエネルギーを稼働中のもう一つの儀式にぶつけるなりする手段がございまする・・・」

 

 沈黙が降りる。

 騎士団や冒険者の人達も顔をこわばらせている。

 慕われているんだな。いい王様だ。

 

「それしか手はないのか」

「わたくしめに思いつく限りは」

 

 沈痛な顔で宮廷魔術師さんが頷く。

 

「他に手がないというなら仕方があるまい。幸い俺には娘が・・・」

「あいや、しばらく」

 

 悲壮な覚悟を決めかけた王様を師匠が遮った。

 

「そう言えばあなたの話を聞いていなかったな。まさかこの状況を打破出来る手段があるというのか?」

 

 師匠がこちらに視線を向ける。

 無言で頷く俺。

 

「ございます。しかし、その前にここで見た事聞いた事、全て口を閉ざすと言う事をこの場の皆様に確約して頂きとうございます」

「娘を置いていかずに済むなら何でも約束するさ。よいか、皆の者?」

 

 宮廷魔術師さんを始め、他の人達が頷く。

 師匠が頷いてこちらを見た。

 

「できるか小僧」

 

 出来いでか。

 ここまで格好いいとこ見せられて、奮起出来なかったらただのヘタレだ。

 ヘタレはヘタレでも、俺が時々格好いいヘタレだってのを見せてやる。

 それでは皆々様方、ダン・ハヤト一世一代の大手品をご覧に入れましょう。

 イッツショータイム!

 

「ジェッタードリル!」

 

 またもや地中に潜行して俺は姿を消す。

 いぶかしげな顔になる面々。

 しばらく経っても何も起きない。

 困惑顔の王様が口を開く。

 

「マスター・ペトロワ。

 いったい何が起きるというのだ?

 彼が見かけによらず腕の立つ術師なのは分かるが、それにしても・・・」

 

 師匠は無言でにんまりと笑い、それこそマジックを成功させたマジシャンのような身振りで巨大な遺失兵器の方を指し示す。

 

「・・・?」

「え?」

「おい、ちょっと待て・・・」

 

 大岩の影から「ワウム」を覗き見た人々が困惑の声を上げる。

 最初は錯覚かと思った。

 「ワウム」がわずかに浮いている。

 だがすぐにそれは確信に変わる。

 巨大なダンゴムシが浮いている。

 否、下から持ち上げられている。

 

『ドラゴン・スクランダーッ!』

 

 荒野にビリビリと響いたのは、確かにあの少年、ハヤトと名乗ったマジシャンの声だった。

 

 

 

 巨大なダンゴムシがもがく。

 高さだけでも100m、全長は300mはあろうかというそれが、たかだか身長18m、数百本ある節足一つくらいの鉄の人形に持ち上げられている。

 

「見ろ!」

「あれは何だ!?」

「鳥か?」

「ワイバーンか?」

「いや、魔導機械だ・・・ああっ!?」

 

 空の彼方から飛来した真紅の稲妻はその翼刃で行く手を塞ぐ節足を叩き斬り、鉄人形の背中に合体する。

 

『ドラグランダー・クロスッ!』

 

 今度こそ、観客たちは心底の驚きの表情を浮かべた。

 ダンゴムシが浮かぶ。

 300mの巨体が宙に浮く。

 それがあっという間に空の点になり。

 

『ハイパー・メテオ・ドライヴァー!』

 

 空の彼方から響く声。

 ゆっくり、ゆっくりと落ちてくる「ワウム」。

 空の彼方の黒点が野球のボールになり、スイカ大になり、さらに巨大化し続けて、荒野に巨大な砂煙が立った。




タイトルはビッグオーの主役ロボ出撃シーンより。
地中から出てくるビッグオーと、芸人としての「ショータイム」をかけている。


硬岩騎(ハードロック・ナイト)タンジェリン
白熱散弾リバースボマーを有するヘビーメタル・アシュラテンプル。
ヘビーメタルのもじりでハードロック、タンジェリンはアシュラテンプルが同名のドイツのロックバンドが元ネタなので同時期のロックバンドから。

>ドリル
ゲッター2のドリルは左腕ですが、ジェッター2のドリルは右腕にあります。
確認しておいてよかった(小声)

>人類保存計画
もちろんエヴァの人類補完計画。

>諸星吉良次郎
諸星大二郎。エヴァの元ネタの一つになったいくつかのカルト漫画の作者。
「暗黒神話」「妖怪ハンター」「西遊妖猿伝」など。
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