異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十三話 お前の左半身は失調中だ

「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」

 

 歓声が上がった。

 王様を含め、拳を突き上げている人間も複数いる。

 

(小僧、余り手間をかけるでないぞ。本命はあくまで天地を貫く儀式の方じゃ)

 

 わかってますよ! さっさと片付けます。

 そのまま地表に急降下。

 超上空からの落下キックでブチ抜いてやる!

 

 と、奴を叩き付けたクレーターの中で動体反応。

 次の瞬間、土ぼこりを上げて200m程の球体になった奴がクレーターから飛び出した。

 なにあれすげえ。ジェット噴射とかしてるわけでもないのに猛烈な勢いで回転してるぞ。

 

 と、思ったが、日本のおもちゃでもそう言う奴があったし、できない事はないのか?

 古代技術恐るべし。

 ともかくあの勢いじゃ間違っても命中は期待出来ないので、減速して上空でホバリング。

 

 だんごむしは俺の足元で元気に走り回っている。

 200mであの速度って事は、下手すると音速越えてないかあれ。

 今のところ上空に砲撃とかしてくる気配はないが、このままじゃ埒があかん。

 

 !?

 一瞬思考が停止した。

 目の前に丸まったダンゴムシがいる。

 きゅるきゅると音を立てて回転している。

 嘘だろここ上空2000mくらいだぞ?!

 こいつ任意保険入ってるかな・・・?

 そんな事を考えながら、俺はワウムと正面衝突した。

 

 空中を浮く感覚。

 そして衝撃。

 先ほどとは逆に俺が地面に激突し、その上にワウムが落ちてくる。

 重いんだよこの野郎! どきやがれ!

 

 両足で力一杯蹴り飛ばす。

 丸まったワウムは数キロの彼方に飛んで・・・空中で回転してストップした?

 そのまま回転しながらこっちに突っ込んでくる!?

 どんな構造してんだこのジャイロボール!

 

『ドラグランダー・オフッ!』

 

 叫ぶと共に俺の背中からドラゴニック・スクランダーが外れる。

 俺はこの翼を手に取って振りかぶり、この特大ジャイロボールに叩き付ける。

 

『スクランダー大切断ッ!』

 

 200mの巨大球体と18mのデモゴディ。

 それでも俺は当たり負けせず、ワウムの表面装甲と真紅の刃は火花を散らす。

 息詰まる時間が過ぎる。

 回転はますます加速し、火花も滝のようになる。

 巨大なグラインダーとぶつかる小さな刃。

 勝つのはどちらか。

 負けるのはどちらか。

 

 結果はあっけなかった。

 真紅の刃と接触し続けた装甲が切断され、次々にはじけ飛ぶ。

 刃はむき出しの内部構造に食い込み、切り裂く。

 片翼が根元まで埋まったところで、ようやくワウムの巨体が止まった。

 このままとどめだ。

 

『ブレスト・・・』

 

 !?

 俺が必殺兵器を発射しようとした瞬間、ワウムから巨大な手が生えて俺の顔を掴み、持ち上げる。

 

『そうはさせないよ』

 

 この声は!?

 そのまま俺はもの凄い勢いでぶん投げられた。

 

『スクランダーッ!』

 

 飛んできたスクランダーと空中で合体、姿勢を立て直す。

 見下ろした視界の中で、ワウムだったものが異常な変態を遂げていた。

 

 腕が飛び出す。

 足が飛び出す。

 

(ババンバン♪)

 

 やべえ思わず歌ってしまった。

 でもシチュエーション的にしょうがないんや!

 そんな事を考えている間にもワウムはぐねぐねと変形し、ダンゴムシの甲殻をまとった昆虫人間のような姿に変わっていく。

 身長200mほど、触角が生えて頭と肩が一体になったそれは何と言うか、シッカーの大幹部とかでこんなのいたなあ!って感じ。

 

『さすがだねえハヤトくん』

 

 げっ。

 ぐにゃぐにゃと変形していた頭部がアントンのものになる。

 そして気付いてしまったのだが、構造材の隙間から人間の腕とか、燕尾服のすそとか、「アントン」たちの顔のようなものが見て取れる。

 気付きたくなかったなあ! これワウムの中に、びっちりアントン分身達がつまってるって事!? と言うかどうやってこれと同化してるのよ!?

 

(恐らくは『繋げるもの(ユニレ)』の効果じゃろう。

 脳の大半まで浸食された今の奴は、意志を持つ『繋げるもの(ユニレ)』と言ってもいい。

 本来汎用接続デバイスであるそれをワウムとの融合に使い、ワウムの・・・つまりアストラル・パロットのエネルギーで桁外れの量の複製を行ったんじゃ。融合のための「素材」と本来あり得ない動きをするための「筋肉」の確保のためにな)

 

 うげえ。頭おかしい。

 脳を浸食されておかしくなってるのか?

 いや、元からかな!

 

『ははは。驚いてくれたようだね。やはり他人に驚いて貰うのはマジシャン冥利に尽きるな。

 劇の筋立てとしても、ここであっさりやられてしまってはつまらないだろう!』

 

 ええ、ええ、驚きましたとも。その趣味の悪さにもね!

 そういうとアントンはまた笑った。

 

『いやいや、君は正義の鉄巨人。私は悪の大魔獣。これくらいでなければね』

 

 ほんと一貫してるなこの人!

 

『お褒めにあずかり恐悦至極』

 

 一礼するワウム・・・いや、今や巨大な三葉虫怪人と化したワウム=アントン。

 

『褒めてねえよ!』

 

 その言葉と共に戦闘が再開した。

 

 

 

『ブレストヴォルケイノ!』

 

 三万度の熱線が装甲を焼く。

 腕をクロスして耐えるワウム=アントン。

 装甲が灼熱化し、溶融する。

 それだけならまだいいんだが、嗅覚センサーに肉の焼ける匂いがするのがきつい!

 どうせチリになって消えるなら、そう言う匂いとか出さずに消えて欲しいな!

 

 そんな事を考えている間に、奴はクロスアーム・ブロックのまま吶喊してくる。

 にゃろめ、根性あるな!

 

『ビームフリーザー!』

『なんとっ?!』

 

 ブレストヴォルケイノを浴びていた装甲板と内部構造が、冷凍光線を浴びて無数のひびが入り、砕け散る。

 自分が斬り殺される時も余裕たっぷりだったアントンの声に、初めて驚愕が混じった。

 まあ知らんだろうな、極端な高熱と冷凍によって物質が脆くなるなんて!

 これで決まりだ!

 

『大回転ロケットパンチ!』

 

 勢いよく飛んだ二条の鉄拳が、ワウム=アントンの両腕のブロックを貫いた。

 

『嘘ッ!?』

 

 思わず口に出た。

 貫いた両腕、そして胴体の穴が、見る見る間に「アントン」で埋められていく。

 キメぇなおい!?

 

『ははは! はははははははは!』

 

 そのまま突っ込んで来たワウム=アントンの蹴りが、俺を地平線の彼方に吹き飛ばした。




タイトルは今度アニメになるジョジョの奇妙な冒険スティールボールランより。
「ジャイロ」「鉄球(ボール)」だから。それだけw
ジャイロボールというのは野球の球種の一つ、もしくは転がったり飛んだりする球体のおもちゃ。

>腕が飛び出すババンバン
鋼鉄ジーグの主題歌の一節。
実際作中でもそんな感じで歌詞のインパクトが強い。

>ショッカーの大幹部
地獄大使。怪人形態ガラガランダになると蛇なので余り虫っぽくない。
もしくは三葉虫怪人ザンブロンゾ。ゴルゴムの大怪人ダロムでも可。

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