異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十四話 遠き日のアントン

 ワウム=アントンの巨大な足を、身を翻してとっさに蹴った。

 自分でもこんな、アーベルさんみたいな真似が出来た事に驚く、

 毎日の基礎鍛錬は、見えないところで本当に俺を強くしてくれていたらしい。

 飛んで回って飛んで回って、スクランダーを吹かして姿勢を制御する。

 

『豪子力ビーム! ミサイルラッシュ! ミサイルドリル! ヘキサクロストナイフ! ビームフリーザー! ブレストヴォルケイノ!』

『ぐわっ?!』

 

 手当たり次第に乱射した兵器群が、至近距離でワウム=アントンに着弾する。

 飛び上がって追撃してくるのが回転してる間に見えていたからな!

 衝撃で軌道のずれたワウム=アントンを回避して、更に上空へ。

 

 しかしさっきの大車輪ロケットパンチの破砕孔といい、ブレストヴォルケイノ+ビームフリーザーの合わせ技で砕けた装甲板といい、ワウム本来の装甲板とは違う、何か黒い物質で覆われてるのは何なんだろう。

 キチン質のような光沢があって、ワウムの装甲板の予備かな?とも思うが。

 師匠、分かります?

 

(恐らくは『繋げるもの(ユニレ)』じゃろう。体を浸食している媒介素材は、魔力を流せばかなり硬度を上げる事が出来る。それを失った装甲の代わりにしておるんじゃ)

 

 ホント便利だな魔法!

 いや日本でも圧電素子とか電子を当てると硬化する素材とかあったらしいからそこまででもないのか?

 とは言え参った。

 さしもの巨体もさっきの全力攻撃で結構削れてた、と思うんだが、見る見る間に回復して、もうほとんど元の質量に戻ってる。

 魔力を物質化出来るとか反則やろ!

 

 え? お前が豪子力3Dプリンターでミサイル無数に作り出すのも似た様なもの?

 いいんだよ、俺は善玉なんだからな!

 そんな事を言っている僅かな間に、ワウム=アントンの修復が完了する。

 一応ミサイルとかビームとか撃ち込んでるんだが嫌がらせ位にしかなってねえ。

 そして。

 

『やってくれるね! 今度は私の番だ! アントンミサイル!』

『ほげぇぇぇぇぇっ!?』

 

 思わず絶叫してしまった俺悪くない。

 何とアントンは硬質化した『繋げるもの(ユニレ)』で全身をコーティングした「自分」を射出してきたのである。

 全身から。しかも無数に。

 イセオンミサイル一斉発射をこの世界で見られるとは思わなかったなあ!(やけくそ)

 

 直立不動の姿勢で、足元から火を吐いてこちらに飛んでくる無数の「アントン」。

 と言うかこれホーミングしてるぞ!? 回避行動取ってるのに追いかけて来る!

 世界一嫌な版野サーカスだな!

 ええい、そんな時にはこのスイッチだ!

 

『エネルギーキャニスター!』

 

 体の前面が展開し、こちらも無数の灼熱散弾を発射する。

 無数の散弾と無数のアントンがぶつかり合い、次々に爆破相殺される。

 あかん、SAN値が激減しそう・・・

 

 

 

『む!?』

 

 全身からひたすら自分ミサイルを撃っていたワウム=アントンの戸惑いの声。

 相手の発射してきた散弾とミサイルの爆発。それでも撃ち込み続けていたミサイルが、爆煙をすり抜けて後方から顔を出した。

 突き抜けたミサイルは目標を見失ったようにフラフラしている。

 

『・・・しまったっ!』

 

 ワウムの「目」・・・センサーという概念を知らない彼は、無意識に通常の視覚センサーだけで外界を認識している。それを、光学迷彩を看破出来る精密魔力センサーに切り替えるのにかかる一瞬の空白。

 その空白を突いて、俺は既にワウム=アントンに接近していた。

 エネルギーがある限り無限に増殖するなら、まずはそのエネルギーの元を断ち切る必要がある。つまりワウムの魔力炉だ。

 

『エスパーアイ! 透視光線!』

 

 俺の姿が空中に再び浮かび上がる。ミストヴォルグのそれと引き替えに降ろした「ブレイバー雷電」の力。

 『タリエシンの宝珠』の力が宿る琥珀色の目が、ワウム=アントンの体内を透視する。

 アストラル・パロットの反応! 魔力炉見つけた! 照準セェット!

 

『ゴッドホーク・チェェェェェンジッ!』

 

 俺の体が変形し、鋭角的な鳥のようになる。

 そのくちばしが狙うのは巨獣の心臓。胸の中で脈打つ古代の魔力炉。

 

『ゴッドホーク・アタァァァァァックッ!』

 

 全力でミサイルを撃ち続け、またセンサーの切り替えに手間取ったワウム=アントンに回避する時間はなかった。

 

 

 

「「「「うわあああああああああああ!」」」」

 

 岩陰。揃って顔を出しているので、もうほとんど隠れている意味はないが――から様子を窺っていた一同が歓声を上げた。

 上空で無数の爆発に巻き込まれた(と見える)鉄巨人がいつの間にか黒い巨獣の背後に回り、後ろから胸を撃ち抜いたのだ。

 

「よっしゃ!」

「これで――!」

「いや、まだじゃ!」

 

 シルヴィアと国王の、勝利を確信した声に、ペトロワの厳しい声が冷や水を浴びせた。

 

 

 

 ウッソだろおい。

 もう何回言ったか忘れたが!

 こいつ、攻撃が当たる直前に魔力炉の位置を移動させやがった。

 人間で言うと攻撃された瞬間に心臓を胸からへそに動かす位の荒技である。

 寄生銃かおまえは!

 いやあれは宇宙生物が胴体と融合していたから出来たのであって・・・って、こいつ(ワウム=アントン)、体内の大半が「アントン」だったな!

 そりゃそんな真似も出来るか!

 

『はは、はははははは』

『今のはヒヤッとしたぞ』

『惜しかったなハヤトくん!』

 

 うるせえ常識はずれの変態生物! いや、常識はずれな事では俺も人の事は言えないが!

 しかしこれは困った。

 相手の体を固定して、とどめを刺すという必殺技はいくつかある。

 コン・ヴィクターVの超電導スピンあたりが代表的だが、前にも使ったマジカルリングやガイアスマッシャーもある。

 だが相手の体内を固定する技ってのはさすがに思いつかない。

 

『ははははは』

『何を考えているかは分かるが、今度は私が攻める番だぞ!』

 

 俺に突きつけられる、数十mサイズの・・・なんだ、扇子!?

 そう思った瞬間、その先端から透明な液体が噴き出した。

 続けて体の各所からも。

 

『はははは、水芸ご覧じろ!』

 

 ええい、こんな時もマジックか!

 シャワーというか雨のように広範囲にぶちまけているので、回避は難しい。

 

『豪子力バリアー!』

 

 光る膜が俺の全身を包む。デモゴディシリーズ名物、パリンと割れる豪子力バリア。

 実は研究所だけではなくデモゴディにも装備されているのだがいまいちマイナーだ。

 プロテクションシェードやダイバーテーションフィールドなど使い勝手がいいバリアもあるのだが、こいつはデモゴディ本体に備わっている機能なので、ロボのスロットを圧迫しない。

 相手が他に何か仕掛けてきた時に余裕が出来るわけだ。

 

 雨のように降り注ぐ液体が豪子力バリアーを濡らす。周囲に液体がまとわりつく。

 いったい何を・・・ぼやける視界の向こうでアントンの顔がニヤリと笑った気がした。

 ・・・しまった!?

 豪子力バリアーではじき飛ばそうとした瞬間、ワウム=アントンから放たれた魔力波が俺の周囲を覆った液体を一瞬で硬質化させ、俺は黒い卵――ワウム=アントンの装甲と同じ物質に閉じ込められた。




タイトルはダイターン3の1エピソードから。
売れない奇術師の身をはかなんで悪の組織に身を投じたかつての手品の師匠を、万丈が手向けの手品とともに討つ話。
「最後のスポットライト」や「華麗なるかな二流」と並んでダイターン3屈指の名作エピソードだと思ってる。

>アントンミサイル
発想元は「岸和田博士の科学的愛情」に出てくる都庁ロボ'98。
内部に装填した一万三千人の都職員を公務員ミサイルとして打ち出す事が出来るw
公務員対消滅弾もあるぞ!

>版野サーカス
板野サーカス。マクロスで見せた、噴煙を引く無数のミサイルとそれを回避しようとする戦闘機のドッグファイトを指して言う。作画コストがべらぼうなので余り普及はしなかったが、そこそこ模倣された。

>筋肉大移動
ハイスクール奇面組の一堂零の名前通りの必殺技。
THE MOMOTAROHの牛バカ丸など、似たような芸を持つキャラも何人かいる。

>寄生銃
寄生獣。心臓動かしたのは喉から胸に寄生する寄生生物。
他の寄生獣は頭部か手足なのでこんな荒技は出来ない。

>プロテクションシェードやダイバーテーションフィールドなど
ガオガイガーのプロテクトシェードとナデシコのディストーションフィールド。
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