異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十五話 アントンのチョコエッグ

 卵形の豪子力バリアーを覆うように硬化した黒い物体。

 (デモゴディ)入りのブラックチョコエッグである。

 多分あれだな、『繋げるもの(ユニレ)』の媒体部分を液体の形で放出して、魔力波で瞬間的に硬化させたんだ。

 さすがに大したマジックじゃないか。

 というかスプラッタショーやらんでも人間の時にこれやりゃいいじゃん!

 きっと大受けしたぞ!

 まあそれじゃ刺激が足りないとか、あのおっさん言い出しそうだがな!

 

 ともかく買われて割られる前にさっさとこのチョコエッグを割らんとな。

 大体俺はブラックチョコよりミルクチョコが好きなんだよ!

 

『ブレストヴォルケイノ!』

 

 胸から放たれた超高温熱線が、硬化した媒体部分を正しくチョコのように・・・溶けてねえ!?

 赤熱化してはいるが耐えてる! どういうことだ!

 

(物質には全て細かい「ひび」がある。それを塞いでやる事で、同じ物質でも硬度は百倍かそれ以上になり、熱や化学変化にも強くなる。それと同じ事が起きているのかもしれん!)

 

 あー、なんかそう言うの聞いた事があるな!

 分子レベルの細かいヒビを全てなくすと、鉄鋼なら理論上157倍の強度になるとかで。

 あるいは超純鉄ってやつか!

 純度99.999%くらいに精製した鉄は硬度も化学変化耐性も飛躍的に上昇するそうだ。

 よくわからんがともかくそう言うものなんだろう。

 だがそれならブチ抜くまで!

 

『フリーザーストーム! ・・・からの、チェインジ・ジェッターII(ツー)! スイッチ・オン!』

 

 赤熱化した部分を冷凍光線で凍結させてから、ジェッターIIのドリルで穿孔する。

 さすがに超高温と超低温で脆くなったチョコエッグはこれに抗し切れず、穴が開く。

 穴が開いて・・・くそ、まだチョコエッグか!

 どれだけ塗り固めたんだ!

 

 そこまで考えて背筋に冷たいものが走る。

 そうか、これ時間稼ぎだ!

 アントンさん、儀式が完成するまでの時間を稼ぐつもりなんだ!

 

 

 

 その頃。

 ワウム=アントンは卵を抱える鳥のように黒い球体を抱えて転がし、分泌する液体を次々に硬化させて卵をひたすら大きくしていた。

 

「でもあれ鳥って言うよりフンコロ・・・」

「アルテ、女の子がそう言う事言うのやめよう」

「アッハイ」

 

 真顔のカオルに思わずアルテも口を閉じる。

 

「露骨に時間稼ぎをしておるな。こうなれば仕方がない、カオル。破山剣を呼び出せ」

「・・・! わかりました」

 

 ペトロワとカオルの表情から、それがどういうものかは全員が察したが、誰も何も言わない。

 

「わしの術でお前をあそこまで送り込む。やれるな?」

「やってみせます」

 

 次の瞬間、カオルの姿が消えた。

 

 

 

(小僧! 今カオルをそちらへ送る! その黒い卵を割るんじゃ! お前も中から合わせろ!)

 

 師匠から飛んできた念話。

 カオルくんが!?

 あ、あれかな、前に話していた「大地を割る魔剣」!

 それに合わせるなら・・・これか!

 

『神龍破山剣・・・』

「来たれ、破山の太刀よ!」

 

 俺の手に龍のような形状の中華風の大刀が。

 俺には見えなかったがカオルくんの手にはどこか古びた、何の変哲もない直剣が現れる。

 サンダースウォードと、破山剣との二刀流。

 

『六道輪廻斬っ!』

「山を断て、雷鳴大破山剣っ!」

 

 黒い卵の内と外。

 その瞬間、俺とカオルくんの振り下ろす三本の剣のタイミングが完全に一致する。

 

『なっ・・・!?』

 

 既に直径100mを越えるサイズにまで成長していた「卵」。

 いきなり目の前に現れたカオルが黒い卵に剣を振り下ろしたのに驚愕する。

 驚愕しながらも反応しようとした刹那、再びの驚愕。

 2mにも満たない人間が振った、刃渡り1mあるかないかの剣の一撃で、黒い卵が綺麗に真っ二つに割れた。

 

『何だとぉぉぉぉっ!?』

 

 破山剣。中国の古い伝説に現れる、一度だけなら山をも断つという魔剣だ。

 神龍破山剣はアニメにもなったゲーム「ウルトラロボット大戦」のオリジナルロボ、「龍神王」の必殺武器。

 作中の描写自体はあくまで強力な剣に過ぎないが、破山剣の名を冠しているならばそういう権能だって発揮出来るはずだ。

 どこまでが神龍破山剣の力で、どこからがカオルくんの召喚した破山剣の力だったのかは分からない。

 完璧に同期したタイミングや、同質の魔力を持つ二本の剣が相乗効果を起こした可能性だってある。

 だがともかく、結果として黒い卵は真っ二つに割れた。

 

『カオルくん!』

 

 割れた黒いカラの向こう、目の前に落下するカオルくん。

 反射的に手を伸ばすと、くるりと一回転して見事な着地を決めた。

 

『と、取りあえずコクピットに!』

 

 頭部のキャノピーを開けて、サブシートにカオルくんを乗せる。

 いつものように、俺はいつの間にかデモゴディそのものから、頭部コクピットのパイロットになっていた。

 カオルくんの動きが僅かに鈍く、また汗がにじんでいる。

 

「大丈夫?」

「結構きつかったけど、うん、なんとか」

「・・・ありがと」

「どういたしまして」

 

 多分あの破山剣の発動だろう。あれだけの事をやらかすにはかなりきつかったはずだ。

 輝かんばかりの笑顔を浮かべるカオルくんに妙な気恥ずかしさを感じて俺は顔を背ける。

 クスクス笑いが聞こえる事からして、多分見透かされているだろうが。

 

「ともかく、手はあるの?」

「もちろん。たった今思いついたよ、カオルくんのおかげでね」

 

 俺が脱出した瞬間、ワウム=アントンは卵のカラを捨てて後ろに飛び下がった。

 

『くそっ、まさか生身の人間にしてやられるとは・・・あの方が重視したわけだ・・・!』

 

 あの方? 誰だ!

 

『私の恩人ですよ。それ以上の情報は必要ないでしょう! マジックのタネは明かさないものです!

 もっとも、儀式が成功すればその情報も意味はなくなりますが!』

 

 そうはさせないさ。

 お前を倒す算段はもうついている。

 

『ほう。私の体の中を自在に移動する、魔力炉を正確に破壊出来ると? それとも私の体全てを一瞬で破壊出来ると?』

 

 狙いとしては前者なんだが、手段としては後者になるかな?

 

『面白い! やって貰いましょう!』

 

 突進してくるワウム=アントン。

 それに対し、俺は空中で構えを取る。

 右手は開き、左手は拳を握る。

 古代インド拳法の流れを汲む仁王像のごとき構え。

 

『かあっ!』

 

 繰り出されるワウム=アントンの拳。

 音速を遥かに超えるそれは、巨大ロボの基準からしても常識外に早い。

 

『!?』

 

 それを、俺はまるで拳法の達人ででもあるかのように紙一重でかわす。

 ほとんど同時に俺の右手の掌底がワウム=アントンの腹部にクリーンヒットした。




ハヤトくんのセリフが『』だったり「」だったりするのは、デモゴディそのものになっているか、頭部のコクピットに収まるパイロットになっているかの違いです。

>神龍破山剣・六道輪廻斬
スパロボオリジナルメカ、龍虎王の必殺剣「龍王破山剣・天魔降伏斬」。
何故六道輪廻なのかは、天魔降伏繋がりの乙女座のシャカからw
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