異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第一章「魔導の国」
第二話「さくさくアサシンパニック!」


「インド人もびっくり」

 

      ――カレー屋のキャッチコピー――

 

 

 

「ふわあ・・・」

「すごいなあ」

「これが噂に聞くゲマイの魔導門かい」

 

 俺達は揃って「それ」を見上げ、ぽかんと口を開けていた。

 多分100m以上、フランスの凱旋門の二倍以上のそれは、インドっぽい巨大な石造りの門。

 

「正確にはその中でも最大のものじゃの。東側の正門という感じじゃ」

 

 ここはゲマイの東の玄関口、ハイブラウ。

 なんでもこのゲマイという国、国全体に魔法の結界を張っていて、自由に出入りできるのは何十個かあるこの魔導門からだけなのだそうだ。海上にも似たようなのがあるとか。

 

「ちなみに密入国は懲役10年、密輸は終身刑じゃから気を付けろよ」

 

 ひえええ。

 何でそんなに厳しいんです。

 麻薬禍でも食らったんですか。

 鎮痛剤で数十万人死んだとか。

 

「さあのう。今のゲマイは六百年ほど前に八人の大魔導師が作った国じゃが、この結界はその当時からと聞いておる。

 国を守るためということじゃが、具体的に何を想定しておるのかはわからんのう」

 

 前にラファエルさんが教えてくれたが、このゲマイという国は魔導共和制という政治体制らしい。

 術師が支配階級であり、その頂点に君臨するのが創世八家の血を引く八人の魔導君主。

 面白いのは支配階級である術師たちの特権が「政治に携われること」と「敬意を払われること」のみであり、少なくとも法律の上では術師と平民の扱いに差がないことだ。

 まあ実際には色々あるんだろうが、少なくともこの封建制ファンタジー世界でそう言う制度を敷いているのは面白い。

 

 ちなみに共和制=民主主義ではない。トップに立つ王様や皇帝がおらず、数人かそれ以上の人間が合議で政治を動かす形ならそれは共和制だ。閑話休題(それはさておき)

 

 幸いにも入国審査はすぐに終わり、それぞれに入国証が貸与された。

 そんなこんなで門をくぐり、雑踏に紛れて市街地の方へ向かう。

 

 南国の熱くじっとりした大気、他の国では見慣れない街路樹、いかにもと言ったエキゾチックな建築物や石畳。

 何より空気の臭いが違う。香辛料や香木、行き交う人や動物の体臭。そうしたものが鼻の奥をつんと刺激する。

 こればかりはテレビや映画じゃわからない感覚だよなあ。

 そして驚いたのが道ばたの露店だ。

 

「明かりー! 明かり売るよー! 一週間もってたったのダコック一枚!」

「絶対に効く恋のおまじない! ホーティ銀貨一枚ぽっきり!」

「壊れ物何でも直すアルヨー。1キロあたりダコック三枚ー」

「飛行の呪文いらんかねー。一分で1ダコックだ!」

 

 パン、串焼き、野菜、香辛料、金物や衣料・・・よその国でも見るような様々な露店に紛れて魔法を売る露店がそこかしこに店を広げている。

 空を見れば、杖にまたがったり絨毯や船に乗って飛んでいく人々。豪華な馬車もある。

 この国どれだけ術師やマジックアイテム多いんだ。

 っていうか、術師って支配階級じゃないの?

 

「術師がみんな支配階級になるわけでもないんじゃよ。

 町役場の下っ端になる位なら、ああしてのんびり生きる方がいいという連中もそれなりにはおる」

 

 なるほどなー。

 考えてみれば俺やカオルくんも、そう言う面倒なところから逃げて気楽な芸人生活を楽しんでるわけだしな。むしろ同類か。

 

「まあだいたい冒険者になって名を上げたり、貴族に婿入りしたり、王様になったりするもんだからな、オリジナル冒険者族ってな」

「武力はもちろん、『知識チイト』をやるには、どうしても権力が必要になるからの」

 

 今のディテクの王様が、オリジナル冒険者族の子孫なんでしたっけ?

 

「ですぞですぞ。当時の『白のサムライ』や『紅の影』と共に真なる龍を討ったディテク中興の英雄王、カエラ=ヴィクトリアス=ヴォロディア=ヴァレンタイン・ドネ。通称KV3ですぞ」

 

 何その戦車みたいな名前。どうせならタイガーとかレッドウルフとか。何の話か分からない? それならスルーしろ。

 ちなみにカエラからヴァレンタインまで全部名前。古今東西えらい人はそんなもんか。

 

「まあとはいえ隠遁したり自分の好きな事だけを追求するオリジナルというのもそれなりにはおるようじゃがの」

 

 あ、やっぱり。

 スローライフ楽しんだりするような人達ですね分かります。

 まあ大体大ごとになって国の上の方とパイプ出来たり伝説級なんちゃらになるわけだけど。

 冒険者になって大活躍!みたいなのも憧れないではないけど、ロンド王みたいなのに出会った時点でもうおなか一杯だわ。

 

 

 

「それじゃ行ってくるから、設営頼むよ」

「「「うーっす」」」

 

 例によってシルヴィアさんラファエルさんが地元の元締めに挨拶に行ってる間に設営準備。

 俺がジェッター設営して二十分、細々とした準備を含めても一時間はかからない。

 それが終わるとアーベルさんは街中で情報収集、オブライアンさんは古本屋巡り。

 古本屋は趣味でやってるだけだが、これはこれで情報収集でもある。

 たまに地図とか役に立ったりもするしね。

 

「うわー・・・この香辛料凄いね・・・全然知らないのが沢山ある・・・」

「ゲマイは香辛料の本場じゃからのう。クッソ暑いところだと、やはりこう言うものを使わないと体がもたないんじゃよ」

 

 そして俺達は買い物。アルテカオルくんリタ、タウさんもそうだが珍しく師匠も一緒だ。

 馴染みのない香辛料が多くて、この人の知識を借りないとにっちもさっちもいかん。

 というか師匠、料理出来ないのに香辛料詳しいんですね。

 

「やかましい。まあ香辛料は医術の範疇でもあるからの」

 

 あーなるほど。薬草にもなるんだ。

 

「そういうことじゃ」

「お肉も野菜も、がらりと変わるわねー。

 まあ今日はせっかく久々にみんなで来たんだし、ちゃっちゃと買い物終わらせてそのへんでお茶でも・・・」

 

 プロテクションシェェェェェェドッ!

 

「えっ!?」

「っ!」

 

 アルテとタウさん、リタが目を丸くする。

 カオルくんが剣を抜き、ペトロワ師匠が杖を構える。

 向こうの路地から飛んできた褐色の「何か」が、俺の張ったバリアを蹴って三角飛びに飛び離れる。

 一瞬遅れて飛んできた十数本の投げナイフがバリア表面を滑って、俺達の周囲に着弾。

 ミストヴォルグセンサーで捉えた「何か」は、先日俺を襲った暗殺者の少女の姿をしていた。




>タイガーとかレッドウルフとか
みんな大好きメタルマックス。
KV3はKV2(かーう゛ぇーつー)という戦車ネタですね。ガルパンにも出てきた、立方体から砲身が飛び出てるようなソ連の戦車。

>カエラからヴァレンタインまで全部名前
「カエラ=ヴィクトリアス=ヴォロディア=ヴァレンタイン・ドネ」で「=」と「・」を使い分けているのは、「=」は名前と名前の間(名字が複数ある場合は名字と名字の間にも使う)、「・」は名前と名字の間に使うからです。
全部「・」でも問題はないけど、正式にはこう綴るのだとか。
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