異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第四話 助けた理由

 ムルカッタ! ムルカッタ!と泣きわめく三つ編みロリをカオルくんがなだめるのに二十分くらいかかった。

 もう敵意とかないようなので、テントの中にみんなで集まって話をしてるのだが・・・カオルくんの影に隠れて、おびえた目でこちらを見ている。

 完全に怖がられているんだが、一体何故だろう。そもそもムルカッタって?

 

「この辺に伝わる首無しの幽霊じゃ。目も鼻もない首を手に持って歩き回るおばけじゃよ」

 

 ・・・ああ、俺が首コキャされかかったときの、あのヨガの神秘か。

 

「あれは怖かったわね・・・」

「ロンドの王宮でも、自分の首小脇に抱えてみんなを脅かしてたんだっけね」

「うんまあ、ありゃビビるわ」

「リタたちはお兄ちゃんの手品で慣れてるけどあれは・・・」

 

 リタにまでちょっと怯えた視線を向けられる俺である。

 柔らかハートがナイフでザクザク気分。

 後別に脅かそうとして首無し伯爵したわけじゃないから。

 俺の首をはねてくれたデッカード君が悪いから。

 

「それであんた、何でこの唐変木を狙ったんだい」

「・・・」

 

 無言の涙目。

 こっちと目が合ったら、さっとカオルくんの影に隠れてしまう。

 傷つくなあ。

 

「これではらちがあかん。小僧、お前しばらく外に出とれ」

 

 うんうんと一斉に頷く一同。

 傷つくなあ!?

 

 

 

 そう言うわけで俺はテントの外で体育座りをすることになったのである。

 もう季節は三月、しかも南国ゲマイであるから風は寒くはなかったが心が寒い。

 

「はい、お兄ちゃん。お茶」

 

 ああ、リタ。君は俺の天使だ・・・!

 

「あははは・・・」

 

 苦笑するリタだが、この時の俺には本当に彼女が天使に見えていた。

 心が弱っているときのやさしさはスッと効くのである。

 

「チューチュー(おう、そこのサンピン。俺らのお姫様に気安く触るんじゃねーよ)」

「ヂュヂュッ(教会でハト舞わせて二丁クロスボウ乱射したろか?)」

 

 うるせえ黙ってろカラー畜生ども。

 お前らにチョウ・ユ○ファのマネができてたまるか。

 というかあの人の映画、銃をメチャクチャ乱射するよな。

 ハリウッド映画なら一発か二発のところ、五発も六発も撃つイメージがある。

 

「何話してんのよ。ほら、パンケーキ焼いたから食べなさい」

 

 そして二人目の天使降臨である。

 ありがたやありがたや。

 ちょっとたぷたぷしているのが更にいい。

 

「殴るよ?」

 

 だから口には出してないでしょうが!

 それに褒めたんやで!

 

「ほーんーとーうーにー?」

 

 ほんとほんと。

 というか中の話はもういいの?

 

「うんまあ私が聞いててもよくわかんないし」

 

 いつものおばかなアルテさんである。

 というかここんとこ時々出てくるあのかしこいアルテさんはなんなんだろうなあ・・・痛い痛い、耳引っ張らないで。

 

「そーゆー目をしてた」

「でもアルテちゃんが時々難しい事を言うのはなんで? 私も不思議なんだけど」

 

 ハムリスどもにパンケーキを分けてやりながら、リタがアルテを見上げる。

 アルテが困った様な顔。まあ自分でもわからんのだろうな。

 

「そうね。あれになると、何かよくわからないけど、色々な事を知ってる感じになるの。

 見た事も聞いたこともないことを、まるでラファエルやペトロワおばあちゃんみたいな、沢山勉強した人みたいにすらすらと口に出せるようになって・・・」

 

 いっぺんああなった後に頭が痛いとかはあるの?

 

「うーん、最初の頃はちょっとそんな感じだったかもだけど、今はないかな」

「何なのかな。おばあちゃんもよくわからないみたいだし」

 

 ヌスタァダムのライゾムさんたちとのあれこれの後、先日の光の龍の一件の後にも改めて師匠が調べていたのだが、結局あれが何かは分からずじまいである。

 なんだろうね。前世の知識とか、神様からの神託とか、憑依とか、二重人格とか。

 

「にじゅうじんかく?」

「あれでしょ、『ジェイケルとヒード』みたいな」

 

 ああ、それそれ。

 つまりお馬鹿なアルテとかしこいアルテは別人で、アルテの体の中に二つの心があるかもってこと。

 

「お馬鹿言うな。でもだとしたら怖いよね。自分の中に自分の知らないもう一人の自分がいるって」

 

 ああ言うのはある日突然生まれるものらしいからな。

 別の自分とは言ってもあくまでも本人の別の顔ではあるんだけど、こっちの世界だと本当に別存在になったりもするみたいだしなあ、とラファエルさんの故郷の、劇場支配人のことを思う。

 あの人はストレスで生まれた多重人格症だったと思うが、最終的には二つの人格が完全に分離して、本体の方は肉体から追い出されてしまった。わけがわからん。

 これだからファンタジーは嫌いなんだよぉ!

 

「何か思い当たることでもあるの?」

 

 んー、いやまあこれは軽々しく口にできないことなんでスルーしてくれ。

 それよりこっちでも生まれ変わりとかってあるの? 前世とか言っちゃったけど。

 

「あるよ。ラファエルさんのしてくれたお話だと・・・」

 

 

 

 それから小一時間ほど経ったろうか、パンケーキを食べ終わったあたりでみんなが出てきた。

 例の三つ編みロリは相変わらずカオルくんにしがみついてるが、こっちを見た途端さっと彼女の影に隠れてしまう。傷つくなあ!

 それで、どうなったんです? そう聞くとシルヴィアさんが肩をすくめた。

 

「大体はあの黒ずくめどもの言ってたのと同じだね。

 『儀式(ダールミーク)』と言う組織に育てられて、『祭司(プジャリ)』って奴に命じられてあんたを狙ったんだってさ。

 何で殺すのか、ってことは何も知らない」

 

 子供を育てて暗殺者に仕立て上げるわけか。

 むかつく連中だ。

 

「まったくだよ・・・そう言えばあんたら、何であの子を助けたんだい?

 いや、責めてるわけじゃないんだけどさ」

 

 街路で黒ずくめどもが毒のナイフを投げたとき、あいつかわさなかったんですよ。

 

「?」

 

 かわしたら、後ろの露店の女の子に当たってたはずです。

 あれだけ動けるんだ、ナイフを弾くよりはかわしたほうがいいに決まってる。

 それなのにあの時だけは動かなかった。

 思い返してみれば、俺達に対してもナイフが逸れたのを確認してからかわしてた気がする。

 

「・・・なるほどね。あんたにしちゃ上出来だ」

 

 シルヴィアさんは少し笑顔になって、俺の肩を軽く叩いた。




>教会でハト舞わせて~
>チョウ・ユンファ
ジョン・ウーの「狼 男たちの挽歌最終章」。
多くのクリエーターにメチャクチャ影響与えた。
最終章とは言うが「男たちの挽歌」と何の関係もないのはお約束。

>首無し伯爵。
第一巻第三十一話「いつでも彼はやってくる」参照。
元ネタはマジンガーZのブロッケン。

>ジェイケルとヒード
ジキルとハイド。その手の古典ですね。

>これだからファンタジーは嫌いなんだよぉ!
「エルフを狩る者達」の主人公の一人、淳平の口癖。
まあ世界観がトンチキ過ぎるからしょうがない、あの漫画w
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