異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十話 あやとり

「はい、これでどう?」

「んー・・・こう!」

「わ! すごいすごい!」

 

 昼食後ののどかな休み時間。

 リタとアーナが二人あやとりをしている。

 某未来から来た青ダヌキ漫画で有名なあやとりだが、一人でやるものと二人でやるものがあり、二人でやる場合は相手が作った形を指でとって、糸を崩さずに新しい形を作る遊びになる。

 昔は日本固有の遊びだと思っていたんだが、実はヨーロッパやアメリカ先住民、エスキモーやアボリジニ、アフリカやインドにも古くからある遊びだと聞いて驚いた。

 国際あやとり協会なんて大げさな名前だなと思ってたけど、マジでワールドワイドな文化だったわけだ。

 並行進化的に発達していったんだろうなあ・・・。

 

 ちなみにリタとアーナにあやとりを教えたのはアーベルさんらしい。ウッソだろおい。

 閑話休題(それはさておき)

 あの件どうなったんです?

 

「あん?」

「ほら、アーナちゃんのダールミークですよ。アーベルさんなら何か聞き出してるでしょ」

「ああ、お前さん達の話してたヴィナって姉ちゃんが捕縛したらしいぜ。

 なんでも増援が来るまであの女騎士がひとりで斬っては投げ、斬っては投げの大活躍で、窃盗集団をひとりで全滅させた、ってことになってる」

 

 ・・・何ですかね。何かうさんくさいですね。

 

「ああ。その姉ちゃんか、もしくは警邏が手柄を捏造したのか。それとも隠しておきたいことがあるのか」

 

 マジメ一辺倒な感じのいい人に見えましたけど。

 

「人は見かけによらないもんだぜ。まあ今のところは何とも言えないがな」

 

 まあ暗殺教団なんてもの公表したらみんな怖がるだけか。

 

「アーナの話によりゃあ、まだ祭司長の上に『神師』とかってデブがいるらしいから、これで終わったとは考えないほうがいいかもな。

 そもそも何でお前を狙ったかってのがわからねえ。その辺聞き出せないのは痛かったな」

 

 すんません。

 

「責めちゃいねえよ。状況的にしかたねえ。生き残りの尋問もできなかったしな」

 

 ヴィナさんたちが突入してきたために何をする時間もなかったのもあるが、生き残りがその辺知らなさそうな下っ端ばかりで、多分尋問しても何も分からなかっただろう。

 

「それなら直接訊きに行ってみるのはどうかですぞ?」

 

 え? ちょっと話しただけですよ?

 

「そこはそれ、迷子を捜していたわけですぞ? 迷子は見つかりましたのでお世話になりました、と挨拶に行くついでに何か聞き出すのですぞ」

 

 あーなるほど。

 シルヴィアさん、そのへんどうでしょ?

 

「悪くはないね。今日の興行がハネたら行ってみるか」

 

 そう言うわけで午後の公演の後、シルヴィアさんはアーナと俺、カオルくんを連れて出かけた。

 どうせなら師匠連れて来て心でも読みたいところですが。

 

「バカ言ってんじゃないよ。そう言うのを見抜く魔道具や術だってあるんだ。

 ここが魔導の国だってのを忘れんじゃないよ」

 

 あー。総入れ歯総出船。

 

「は? なんだって?」

 

 総入れ歯総出船。そう言えばそうですね、と引っかけて。

 

「・・・つまらないよ」

「ノーコメント」

「ムルカッタ、せんすない」

 

 悪かったな! ちょっと場を和ませようとしただけだよ!

 

 

 

「私がヴィナ・カドフィスだが・・・ああ、君か。見つかったのだな。そちらは?」

「こいつらの面倒を見てるシルヴィア・ハスキーって言います。ウチのもんがお世話になりましたようで。迷子娘も見つかりましたので、一つご挨拶にと」

 

 幸い、ヴィナさんは屯所にいた。気さくに挨拶するシルヴィアさんに、ヴィナさんも会釈する。

 

「そちらのほうは? シルヴィア氏の一座の人かな?」

 

 あ。そう言えばこの人と会ったとき、俺メカ狼だったから面識ないんだ。

 

「あ、はい、ハスキー一座でお世話になってるハヤトです。

 このたびはカオルくんたちがお世話になりましたようで」

「気にする事はない。私は特に何もしていないからな。

 しかし君・・・どこかで会ったような気がするが、気のせいか?」

 

 あー、いえ。気のせいじゃないですかねえ。

 少なくともこうして会うのは初めてですよ。

 

「ふむ・・・そうか、まあいい。それでこちらの子がそうか」

「うん。お姉ちゃん、ありがとう」

 

 そう言ってアーナはヴィナさんの腰に抱きつく。

 

「もう夜中に出かけたりするんじゃないぞ」

「うん!」

 

 ううん、天然なのかそれとも如才ないのか・・・ヴィナさんも笑顔でアーナの頭を撫でている辺り、功は奏しているようだが。

 

「そう言えば昨日は何かご活躍だったそうで。何か邪魔してなかったら良かったんですが」

「ああまあ、詳しい事は話せないが色々あってな。

 思ったよりはトントン拍子に進んだとも言えるし、ある意味では空振りだったし・・・まあ君たちに会おうと会うまいと結果は変わらなかっただろうな」

 

 肩をすくめるヴィナさんに、シルヴィアさんが会釈する。

 

「ですか。まあそれじゃ余りお邪魔しても悪いのでこの辺で。お仕事頑張って下さいな」

「ありがとう。君たちの一座も随分と評判がいいらしいな。

 暇があったら見に行きたいものだが、難しそうだ」

「そいつは残念。まあ時間ができたら是非。木戸銭(入場料)の分後悔はさせませんよ」

「覚えておくよ」

 

 笑顔のヴィナさん。俺達も頭を下げてその場を辞する。

 ・・・あんなもので良かったんですか?

 

「十分さ。むしろ長居しちまったかもしれない」

 

 あー、向こうにもなにがしか気付かれたとか?

 

「そう言う事」

「今更ですけど、ハヤトくん連れて来たの間違いだったんじゃないですか?」

「そうだねえ。あんたらは礼儀正しいからお貴族様も気に入るかと思ったんだが、あんたはともかくハヤトはミスだった」

「ムルカッタ、顔がわかりやすすぎる。ヴィナ、多分何か気付いてる」

 

 うるせーな!

 また首を外してやろうか!?

 そう言うとアーナは「ひっ」と悲鳴を上げてカオルくんの背中に逃げ込んでしまった。

 

「ハヤトくん?」

 

 カオルくんの割とマジで冷たい目。

 ちゃうんや。

 

「ちょいとあんた? 年下の娘をいじめて何が楽しいんだい?」

 

 そして同じくらい冷たいシルヴィアさんの目。

 チクショウ味方がいねえ!

 結局俺は帰り道で屋台の練り菓子を三人におごるハメになったのであった。

 どっとはらい。




>あやとり
全部マジです。
欧米のファンタジー小説にも子供の遊びとして普通に出て来ますし。
本当に糸のあるところならどこにでもあるんですねえ。
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