異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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クローズド・サークルとは閉鎖空間、特に推理小説などでの孤島とか人里離れた洋館など、余人の入って来れない環境の意。


第十二話 クローズド・サークル

 状況を整理しよう。

 まず俺達はとあるホテルの演芸場に呼ばれた。

 そして準備して、時間になった。

 拍手と共に舞台にアーベルさんが出て、いざ口上を・・・と述べた時点で演芸場の扉が開き、「マガラマチシ様が・・・死んでいます!」という女性の声。

 騒然とする演芸場。俺に集中する視線。

 いや、この場合俺よりまだしもアーナのほうが関係してるんじゃないかと思うんですけど!

 

「でもねえ・・・」

「アントンの言ったことが本当なら、ロンド以来あんたが狙われてるわけだし・・・」

 

 なんでや、カオルくんも対象っぽいやろ!

 

「大体の場合でボクよりハヤトくんの方が事態の中心にいる気がするんだけど」

 

 イレマーレではカオルくんがメインだったやろ!

 

「あ、あれは忘れてよ!」

「落ち着かれよ、ご一同!」

 

 俺達がいつものコントをやってると、客席というかテーブル(観客席ではなく、ホールに丸いテーブルが並べられてるようなあれだ)で凜とした声が響いた。

 

「ん?」

 

 あれ、今の声って?

 

「たった今殺人事件が起こった! 誰もホテルの外に出ないようにお願いしたい!

 私はガエドヴァール・ガーナディ様の姪、魔導騎士団騎士(クシャトリヤ)、ファーレン家のヴィナ・カドフィス!

 ガエドヴァール様の命と魔導君主から授かった権限により、一時的にこの場を預からせて頂く!」

 

 おやまあ。

 

「縁は奇なもんだね・・・」

 

 シルヴィアさんが目を丸くする。

 最前列のテーブルから立ち上がり演芸場を鎮めてみせたのは、ハイブラウでちょろっと縁のあった女騎士、ヴィナさんだった。

 

 

 

 ホテルの従業員に何か指示を与えた後、ヴィナさんがこちらに振り向く。

 

「芸人の方々は・・・うん?」

 

 いやどうも、お久しぶりです。

 

「これはこれは。互いに災難だな」

 

 苦笑した後、その表情が引き締まる。

 

「だがある意味では助かったと言えるかも知れないな」

 

 何か猛烈に嫌な予感がするのぉ~~~っ!

 

「そう警戒しないでくれ。大体君の想像通りだとは思うが、君たちにも益のあることだ」

「ってぇと?」

 

 と、これはシルヴィアさん。

 あ、ヴィナさんがちょっとずるそうな顔になった。

 

「今このホテルは物理的にも魔法的にも完全に閉鎖されている。

 我が国が誇る《瞬間転移(テレポート)》の使い手ですら入れないような完璧な結界だ。

 つまり、犯人はまだこの中にいるし、最初からこの中にいたと言う事だ。

 そして今殺されたマガラマチシは魔導君主の甥でな・・・このパーティの主催者、ガエドヴァール叔父が一族の面子にかけても犯人を見つけ出す、と息巻いている。

 ついさっきイフェルド・・・魔導君主本家からも許可する旨の念話があったそうだ」

 

 ・・・ひょっとして、解決するまで誰もここから出られない?

 

「そして誰も入れない。そう言うわけで君たちにも手伝って貰えると嬉しいのだが」

「なんてこったい」

 

 シルヴィアさんが溜息。

 俺達も一緒に、盛大に溜息をついた。

 

 気を取り直して情報を整理しよう。

 改めて確認しておきたいんですが、ここはいつの時点で封鎖されたんです?

 

「一時間ほど前だな。

 ここは最高級の宿屋で、貴族かそれに類するものしか泊まれない。当然従業員も身元を徹底的に洗われている。

 今回はガエドヴァール叔父肝いりのパーティだったから、宿屋もレストランも演芸場も完全に貸しきりで、最後の客が到着してからは一切出入りがない。

 これは備え付けの警備魔道具によっても確認されている。ああ、それと敬語はいらないぞ。こちらは協力をお願いする立場だ」

 

 ほんと気さくな人やなあ。

 ともかく、つまりここは推理もので言うクローズドサークル、閉鎖環境なのか。

 こんな殺人犯がいる所にいられるか! 俺は部屋に戻らせて貰うぞ!

 

「何かの戯曲のセリフだったか?

 私はよく知らないが、そう言う事をしたら逆に次の犠牲者になりそうなものだが」

 

 なんという冷静で的確な指摘なんだ!

 まあ冗談はさておき、生きているうちに銀田一少年マスクか名探偵コナン・ザ・グレートみたいな状況に陥るとは思ってもみなかった。

 江戸川○歩やオリジナル金○一こと横○正史の方が良かったかって?

 やだよ、あいつら大体最悪の状況になって全員死んだ後に謎解明するじゃん!

 

「ふぅむ。俺からも一ついいかい?」

「どうぞ、道化師殿」

「アーベルだ、お美しい騎士殿。

 下世話な話だが、あんたの権限はどれくらいだ?

 貴族家の中でどれくらい権力を振り回せるかってことと、警邏・・・こっちだと魔導騎士団か?

 その中ではどれくらいの地位かってことの両方」

 

 確かに。主催者の姪で、ファーレン家って事は魔導君主家出身って事だから実はかなりのお偉いさん?

 

「まあな。

 私はファーレン魔導君主家の分家出身で、まあ家中では三番目か四番目の家だ。

 現魔導君主の弟の孫で、ほぼ同格の家であるガエドヴァール叔父の姉の娘に当たる。

 魔導騎士団でも騎士団長を拝命しているし、ことこの場に限っては叔父の権威を盾に大抵の要求は通せるだろう」

 

 めっちゃお偉い雲上人やん・・・!(ビビリ)

 そう言うと苦笑されてしまった。

 

「まあそうだな。思う所はあるがこう言う生まれも含めて私だ。

 ニホンの戯曲だったか、『誰でも生まれ持った手札で勝負しなくてはならない』というセリフがあったな。

 強い手札を引いて文句を言える筋合いでもない」

 

 まあせやろな。

 それにお偉い方々ってのは、それはそれでクッソめんどくさいあれこれもあるわけだし。

 だったら気楽な庶民のほうがよっぽどいいわ。

 閑話休題(それはさておき)

 

「そんな偉いなら、『嘘つきの卵(ライアーエッグ)』とか手配出来ない?

 あれがあれば一発だと思うんだけど」

「出来なくはないがこの場では難しいな。

 あれはある程度の術師なら簡単にごまかせる。そしてここにいる人間の多くがそれに該当する。

 騎士団の本部であればそうした術がかかっているかどうかも判別出来るが、犯人に逃げられる可能性があるなら叔父が許さないだろうな」

 

「隠し通路や隠し部屋のたぐいはないのですかですぞ?」

「支配人によればないそうだ。隠して万が一後で露見したら、由緒あるこの宿と言えどもまず無事ではすまんだろうし、嘘はつかないだろう」

 

「食糧とかは大丈夫ですか?」

「ここは宿屋だからな。従業員を含めても半月ほどは充分保つ。非常用の食糧生成魔道具もあるから、なんなら一年でも大丈夫だ」

 

「魔法的に封鎖されてると言ったが、壁抜け(スルーウォール)、もしくは物質分解(ディスインテグレイト)修復(リペア)の合わせ技などはどうじゃ?」

「宿全ての壁と天井と床に魔力断絶(マナ・イレイズ)をかけた鉄板が仕込んである。石材自体にも抗魔力を持つ黒曜石が混ぜ込んである。

 物理的破壊は不可能ではなかろうが、痕跡を残さずにと言うのは無理だろう」

 

 この結構広い宿全部にか・・・偏執的やなあ。

 

「だからこそ貴族達も安心して泊まれるのだよ。元はそれこそ偏執狂的な貴族が作った別宅だったらしいがな」

 

 ああそれで・・・。

 宿の人も知らない隠し部屋とか隠し通路とかありそうだが、そうなるとお手上げだな。

 この場に読心や嘘発見の術を使える術者とかいない?

 

「いなくはないが、『嘘つきの卵(ライアー・エッグ)』と同じ理由で余り意味がないな」

 

 師匠の方を見るが無情にも首は横に振られる。

 なんてこった、これから占い師抜きの人狼ゲームやらないといかんのか・・・?

 あれ苦手なんだよなあ。

 俺は絶望して天を仰いだ。




>誰が犯人かもわからないのに同じ部屋に居られるか!
元ネタ不明のネットミーム。
金田一少年とかでいかにもありそうだけどないっぽいw

>なんという冷静で的確な判断力なんだ!
キン肉マンソルジャーの行動を評価した名言(迷言)。
やってることは大体「七人の侍」の志村喬なのだが、神父の格好をしてたところで顔が迷彩マスクでは普通怪しむだろ!?

>銀田一マスク
「鹿の子の本棚」というウェブコミックネタ。
金田一でシルバーマンっぽい人がゆで理論全開の推理を繰り広げる。

>名探偵コナン・ザ・グレート
コナンと聞いて何を思い浮かべるかで年齢が分かる・・・と言いたいところだけど現代日本だと圧倒的に麻酔銃撃つあいつかなw
コナン・ザ・グレートはヒロイックファンタジーの元祖である蛮人コナンの映画化二作目。シュワちゃん主演。

>誰でも生まれ持った手札で勝負しなくてはならない
スヌーピーの「You play with the cards you're dealt …whatever that means」(配られたカードで勝負するしかないのさ、それがどういう意味であれ)から。
多分どこかで日本から伝わった。
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