異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十四話 事情聴取

 事件が起こってここまで二時間ほど。

 客やホテルの従業員は全員演芸場に集められており、お客さんたちの注文に応えるコックさんや、それを運ぶ人達が演芸場とホテルの厨房を往復する以外は人影もない。

 

「失礼します、ヴィナ・カドフィスです。

 これよりこのアーティファクトで匂いを判別させて頂きます。

 申し訳ありませんがご協力下さい」

「ほう・・・」

「何だ、見た事のない型だな?」

「オーダーメイドの特注品かしら? 動きが凄く自然」

 

 やっぱりゲマイの人は違うな。魔道具程度では驚きもしない。むしろ興味津々だ。

 なおこの捜査の間、俺はヴィナさんの個人所有物と言う事になっている。

 芸人の持ち物となったら、強制的に買い上げられそうだしありがたい。

 

 取りあえず匂いを嗅ぐ前に一礼して笑いをとったり、子供相手にちょっとじゃれついて楽しませてやってから匂いを嗅ぐ。

 そうしたささやかな配慮もあって、匂いの判別は順調に進んだ。

 もっとも、大抵の人は興味深げにこっちを観察してくるからそう苦労はしなかったが。

 閑話休題(それはさておき)

 

「・・・これは想定してませんでしたねえ」

「他人と同じ香水を使うことはそんなにないはずなんだがなあ」

 

 一つ目の香水を使っていた人はすぐに判明した。現在のマガ以下略の恋人の一人であったシャラドさんという妙齢の女性。

 だがもう一つの香水はというと・・・

 

「まさか同じ香水を使っている人間がこんなにいるとは・・・」

 

 運び込まれた長椅子に座る八人の女性たち。

 ひょっとしたらと思ったが、下は十六から上は二十七まで、全員妙齢の女性たちであった。

 まさかとは思うがこの人たち全員が犯人とかそう言うのはないよな?

 で、マガ以下略の今の恋人さんはともかくとして、他の人は何故同じ香水を?

 

「それは・・・」

「最近流行の店のものでして」

「こちらでは人気なんですよ」

 

 と言うことだった。

 もちろん聞いたのはメカ狼の俺ではなくヴィナさんだが。

 ちなみにこの人、いつの間にかサリードレスに剣帯を着けて、ごつい剣を下げている。

 パーティに持ってくもんかと思ったが、「騎士の心得」らしい。常在戦場やな。

 

「ではこちらへ。お話を伺います」

 

 参考人をいったん別室に移してから、更に個別に話を聞く。

 話を聞いた後は更に別々の客室に移って貰うという徹底ぶりだ。

 

「共犯であった場合、口裏を合わせられる危険はなるべく少なくしておきたい」

 

 とのこと。

 そう言うわけで尋問開始。

 テーブルに座って容疑者の対面につくのがヴィナさん。

 後ろに従者の人と、声の調子で相手の嘘をある程度見抜けるシルヴィアさん、そしてメカ狼の俺。

 トップバッターはやはりマガとお付き合いしていたシャラドさんだ。

 

「ええそうよ、私はあいつの女だったわ。

 と、言ってもキープだけどね。他に女がいないときに呼び出されて寝る女。

 誰かに夢中なときは鼻も引っかけられやしない」

 

 キセルでタバコを吸いながら自嘲するシャラドさん。

 

「そうか・・・昨夜はどこに?」

「正直に言ってしまうけど、彼の部屋にいたわ。一時間ほどベッドを共にして、それから自分の部屋に戻った」

「それはいつ頃?」

「戻ったのが夜の九時くらいだったかしら? 晩餐が七時あたりに終わって、しばらく話した後八時頃に部屋に行って・・・そのくらいだったと思う」

 

「それでその、ずばり聞くが、彼を殺したがっている人間に心当たりは?」

「多すぎて見当つけられないわね。

 相手をバカにして見下すし、女癖は悪いし、家柄はいいから迂闊に文句も言えないし、男でも女でも、劇団の人間や、何なら実家の連中だって煙たがってたはずよ。

 捨てられた女や寝盗られた男の中には殺してやりたいと思ってた奴もいるでしょうね。

 実際私だって殺したいと思った事は一度や二度じゃないわ」

「だがあなたはしてないのだな」

 

 ヴィナさんの言葉に、シャラドさんの顔が歪む。

 言葉が震える。

 

「そ、そうよ。だって好きだったんだもの。便利な女扱いされてるのは分かってたけど、それでも好きだった! 死んで欲しくなんかなかった・・・!」

 

 ポロポロとこぼれる涙。

 そのまま机に伏せ、泣き出してしまう。

 

「・・・」

「・・・」

 

 しばらくして、泣き声が収まる。

 

「・・・ごめんなさい。みっともないところを見せたわね」

「私も女だ。笑うものか」

 

 くぅーん。

 

「あら、犬君。慰めてくれるの? やさしいわね」

 

 一瞬だけ優しい目になって俺の頭を撫でる彼女。

 この人もいい人なんだろうなあ。惚れた男が悪かった。

 

「その辺にしておけ、バハードゥルタ」

 

 苦笑しながらヴィナさんがいう。

 俺のことだ。ハヤトとはどういう意味だ?と聞かれたからこっちで言うと「勇士」でしょうか、と答えたらゲマイの言葉で同じ意味を持つ名前を仮につけられてしまったのだ。

 まあゲマイ人の持ち物で古代魔法文明の産物に日本語の名前が付いてるのも変だしな。

 

 あ、何かヴィナさんとシルヴィアさんの俺を見る目が冷ややかに! 違うんです! 俺は純粋にですね!

 閑話休題(それはさておき)

 

 シャラドさんは他にも色々と話をしてくれた。

 同じ香水をつけている八人のうち三人はやはりマガと付き合っていたと言う事。

 今日ここに、マガの劇団の人間が何人か来ており、女性問題でトラブルを起こした男がいること。

 実家ともいざこざを抱えていたと言う事。

 最近は本家であり魔導君主であるイフェルド家のお嬢さん(この場に来てはいるが、八人の中にはいない)を熱心に口説いていたということ。

 意外に優れた術師であったということ。

 あれこれを聞きだした後、ヴィナさんが溜息をつく。

 

「それにしても、よくもまあそれだけ女性を引っかけられるものだ」

「オウサムでも一二を争う人気の劇作家だったからもてはやされてたし、そう言う傲岸不遜なところが何故か女を引き付けたのよ。

 優しい男が好きな女もいるけど、ああ言う傲慢な男に支配されたいと思う女もいるものよ」

「私には分からん世界だな・・・」

「わからないほうがいいわ」

 

 もう一度溜息をついて、ヴィナさんはシャラドさんを退出させた。

 従業員の人が、隔離部屋まで彼女を連れて行く。

 ・・・あの人犯人だと思います?

 

「多分違うね」

 

 とシルヴィアさん。

 

「私も違うとは思うが・・・まあ予断はやめておこう。

 次の参考人をここに」

 

 はい、と従者の人が返事をした。

 




>この人たち全員が犯人
オリエント急行殺人事件。
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