異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三話 超音速攻撃へリ オベロン・ガゼット

 夜空を引き裂く轟雷。

 リタを除くその場の全員が一斉に立ち上がった。

 

「リタとオブライアンは留守番・・・いや、全員ついてきな!」

「座長、俺飛んで先に行きます!」

「いいだろ、ガイガーも連れてきな!」

 

 えっ、ヒゲモジャのおっさんにまた抱きつかれるの・・・!?

 思わずそんなことを考えてたら顔に出たらしい。

 

「ナマ言ってんじゃないよ! 頭カチ割られたくなかったらさっさと行きな!」

 

 殴ってから言うのはひどいと思います。後口には出してません!

 

「ああもう、しっかり掴まってくださいよ!」

「すまん」

 

 忍者ロボ・ミストヴォルグの力を呼び出すと俺は左腕のプロペラを回転させる。

 気を遣ってくれたのか、ガイガーさんは俺の右手首だけを握った。ガイガーさんには悪いけど正直助かる。

 

「飛びますよ!」

 

 そのまま俺は一瞬ホバリングして宙に浮き、次の瞬間雷の落ちた方向に向かって猛然と飛び始めた。

 

 

 

 飛行すること数十秒、俺はあっという間に町を飛び越して逆側の町外れに出ていた。ヘリコプターだけに超音速とかは出ないが、それでも時速100km、秒速にして30mくらいは出るっぽい。

 そう言えば昔親父が「超音速ヘリなんちゃらウルフ」みたいな懐アメドラ見てた記憶があるが、あれマジで超音速出てたのか・・・? いやまあどうでもいいな。

 

「!」

 

 再び轟音と共に稲光がきらめいた。ほとんど目の前。

 間違いない、あれはカオルくんが自分の場所を知らせてるんだ!

 それ向けの魔剣があるとは言え、頭いいな!

 即座に方向転換してそちらに飛ぶと、すぐに数十人に囲まれているカオルくんとペトロワ師匠が見えてきた。

 

 師匠が印を組んで集中している。

 何か魔法が発動しているようで、周囲を囲む連中は一定距離から近づけない。

 その結界を出たり入ったりしてうまく使いつつ、周囲を駆け回って次々に敵を斬り伏せているのがカオルくんだ。

 

「すげえな、ガイガーさん一歩手前だ・・・」

 

 少なくともアルテやシルヴィアさんよりは確実に上だと、素人に毛の生えた程度の俺でもわかる。魔剣込みとは言えホント天才か!

 

「降りるぞハヤト」

 

 そんなことを考えてたらガイガーさんがぼそりと呟いた。

 

「わかりました、今降下・・・」

「必要ない」

「えっ?」

 

 ちょ、今まだ高度20mくらいはあるよ!?

 手を離し、妙にゆっくりと落下していくガイガーさんだが、これは単なる目の錯覚で実際には普通に落ちているはずだ。にもかかわらず、無造作に着地してあっという間に周囲の敵を斬り伏せ始める。

 

「ええい、シックスマシンガン!」

 

 俺も降下しながら、右手首に形成した射出口から六方手裏剣を連射する。

 六方手裏剣を連射するのでシックスマシンガン、というわけだ。

 

 原作では牽制程度の武器だが、それはミストヴォルグが偵察用かつ相手がおおむね倍以上の体躯を持つゾルーゲロボだからであって、普通に兵器としての威力は高い。

 嵐の如く乱射される手裏剣の雨に敵が次々と倒れ、そうでなくても動きが鈍った所をカオルくんとガイガーさんに一刀両断されている。

 俺がゆっくりと降下する間に、ペトロワ師匠とカオルくんの周囲を囲んでいた敵は全滅していた。

 

「おぬしら、ようもやってくれたの。助かったわい。カオルも雷電を呼んだのは良い判断じゃった」

「ああすればハヤト君たちが来てくれると思いましたから」

 

 混じりっけ無しの笑顔を向けられてちょっと照れる。

 一方でガイガーさんは滅多にしない深刻そうな顔で斬り伏せた死体を覗き込んでいた。

 

「ペトロワ。こいつら・・・」

「ああ。お主の思っとるとおりじゃよ」

 

 あの、二人だけで納得してないで解説して頂けるとありがたいんですが。

 

「そうじゃな。他の連中も来た事だし、まとめて説明してやろう」

 

 ちらりと眼を向けると、たいまつを掲げたシルヴィアさんたちがこっちに駈け寄ってくるところだった。

 

 

 

「・・・で、何がどうなったんだいこりゃ?」

 

 夜の闇の中、町外れの野原。

 累々と積み重なる40を超える死体を、ペトロワ師匠の魔法の明かりが照らしている。

 今更に気付いたがこれ、傍から見たら大量虐殺現場以外の何物でもないな・・・誰にも見つかりませんように。

 

「その辺に転がってる死体を見てみい」

「ん?」

「こいつぁ・・・」

 

 転がる死体の顔を見ていぶかしげに、あるいは顔色を変えるみんな。

 アルテの方を見たが、彼女も首をかしげている。

 アーベルさんが得心したのか、頷いて口を開く。

 

「まあ、お前たちにゃわからんか・・・わからん方がいいことではあるな。

 一口に言やあ、死んだばかりにしちゃあ顔色が悪すぎるのさ。

 こいつら()()()()()()()()()()()()()んじゃないかい、ばーさん?」

 

 アーベルさんの視線に頷く師匠。

 それって・・・

 

「うむ。こいつらヴァンパイア・スポーンじゃ」

 

 師匠の説明によれば、ヴァンパイア・スポーンというのはつまり吸血鬼のしもべだそうだ。

 本物のヴァンパイアほど強くはないが、それでも普通の兵士よりは遥かに強い。

 冒険者でも青等級という、下から二番目くらいのベテランレベルじゃないとちょっと危ないとか。

 

 ちなみに冒険者の等級は五つに分かれていて、下から赤、青、緑、黒、金。

 前にGガンボイを見たシルヴィアさんが、巨大ロボを素手で倒す独孤求敗マスター・インヴィンシブルを黒か金等級?と評していたが、まあ大体そう言うことだ。

 赤が新米、青がベテラン、緑が一流、黒が英雄、金が人外。

 金等級になると世界中でも数人しかいないとか。

 

 余談だが冒険者のパーティのことを「箱」というらしい。初心者パーティなら「赤箱」というわけだ。何の意味があるんだろうな、これ・・・?

 閑話休題(それはさておき)

 

「魔力の痕跡を探っておったら術師風の男がやって来ての。

 わしを名うての術師と見込んで頼みたいことがあるとか何とか、ぺらぺらとまくし立てておったが、まあカオルもおるし誘いに乗ってみるかという事でついていったんじゃよ。

 で、この有様と言う訳じゃ」

 

 なるほど。でもなんで心話の術とかで連絡してくれなかったんだろう。

 

「そりゃ下手に術を使ったらあちらにもバレるからの。戦闘が始まったら伝えるつもりじゃったが、カオルが良いタイミングで雷を落としてくれた。

 まあお主らならあれだけで十分じゃろうとな」

 

 かかか、と笑うペトロワ師匠。

 うーん信頼が心地よい。

 

「で? その術師もその辺のどこかにいるわけかい。生け捕りにすりゃよかったのに」

「いや、術師はカオルが剣の力を使った時点で肝を潰して逃げおったよ。目印はつけておいたから、後はそれを辿るだけじゃ」

 

 うわあ、そつない!

 

「ま、歳の功という奴じゃ」

 

 かっかっか、と師匠がまた笑った。




ファンタジー世界だと差し渡し1km、人口一万人いれば中から大都市一歩手前の部類ですね。
秒速30mだと、三十秒か四十秒くらいで横断できます。

「なんちゃらウルフ」の元ネタは「超音速攻撃ヘリ エアーウルフ」。
作中ではマジで超音速飛行できる設定ですが、実際にはもちろん無理です。
プロペラで音の壁超えられるわけないw

タイトルのオベロン・ガゼットは特装機兵ドルバックというマイナーロボットアニメの、ヘリに変形するロボです。
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