異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
轟音が建物を揺らす。まぶしさに思わず目をつぶる客たち。
ペトロワ師匠が咄嗟に防御壁を張ったが、客席までは到底カバーしきれない。
「・・・あれ?」
予期していた熱も爆風も感じない。恐る恐る目を開けた客たちが見たのは、天井まで突き立つ炎の柱だった。
やがて炎の色が薄れ、柱が消失する。
天井にぽっかり開いた穴から差し込むのは、真昼の、ゲマイの熱い太陽の光。
「お・・・」
「うおおおおおおおお!」
「わああああああああ!」
「きゃあああああああ!」
演芸場が歓声に包まれた。
中には泣きだす人、テーブルに突っ伏す人もいる。
「・・・ふうっ」
それを見て俺は溜息をつき、巨大な手持ちミサイルのような機械を消した。
勇者獅子王ラオライガーの頼れる仲間、超狗神の操るメガトンデバイス、イレイジングランチャー。
分子を超震動させることによってその動きに一定の方向性を与え、爆発などのエネルギーを直上に逃がす。つまり周囲の被害を抑えるためのツールだ。
作中では「消しゴム」とも称されている。まあ実際消しゴムが発想元らしい。
普段は俺が相手を爆発させる側なので出番の無かったデバイスではあるが、今回は最高の形で活躍してくれた。
あの機械人形が物騒なことを言った瞬間、「やべぇっ!」って直感が尻から脳天まで一直線に駆け上がった。
とっさに取り出したのがイレイジングランチャーだったのは我ながら良い仕事してる。
魔導人形のいた場所は絨毯が焼き切れているのはもちろん、石畳が溶けて赤く光っている。
間に合わなかったら洒落にならんことになっていただろうな・・・
「う・・・ああああああああああああああああああ!」
悲痛な声が響いた。最愛の妻が機械人形であり、しかも目の前で自爆して消滅してしまったゴーダさんの。
顔を真っ青にしていたシャラドさんが近づき、その肩を抱いて慰めている。
やるせない気持ちでそれを見ていると、後ろからヴィナさんに肩を叩かれた。
「よくやってくれた。君の仕業だな?」
なるべく秘密にお願いしますね。
「わかっている。君は恩人だ。出来る限りの事はしよう。
叔父上、よろしいですね」
ガエドヴァールさんが緊張の切れた顔で呆然と頷く。
こっちはこれでよさそうかな。
それで師匠・・・そっちの二人は?
「だめじゃの」
顔をしかめて首を振る。
師匠の術でもダメですか。
「炎の柱が消えるまでの時間が致命的じゃった。
それに、こいつは恐らくダレスティムの毒じゃ。
すぐに治療していても間に合ったかどうかは五分五分じゃの」
「ダレスティム・・・!」
ヴィナさんが絶句し、ガエドヴァールさんの顔が盛大に引きつった。
それだけでどんな代物かよくわかるわ。師匠でも確実に治せないとはなあ。
「食らったらほぼ即死の上に解毒薬がない。『ろぼっと』になれば毒のきかない小僧と、後はカオルの剣の浄化の力が鍵となるかのう」
へー。あれ解毒にも使えるんだ。
「雷によるダメージも入ってしまうから、文字通り諸刃の剣ではあるがの」
うーむ。リタにはなるべく使いたくないところだ。
ちらりと演芸場の方を見ると、三々五々立ち上がって帰ろうとする人達が出てきた。
それじゃ俺達も帰りますか。
「そだね。ハスキー一座、撤収・・・」
「ま、待て待て。このまま帰したのではわしの面子が立たん」
身繕いしながらうおっほん、と咳払いしたのはガエドヴァールさん。
「いつまで滞在するのかは知らんが、この都市にいる限り君たちはここの最上級の部屋に泊まってくれてよい。代金は全てわしが持とう。
礼の品も後ほど届けさせる。希望があるなら言ってくれ。
この都市に留まるなら、どこかの劇場なり都市管理局に口を利いてもいいが・・・」
多分テントを張る土地を半永久的に貸してくれるとかそんな話だろう。
とは言え、だ。
「最後のはお気持ちだけ頂いておきますよ。あたしらは旅から旅の一座。
落ち着くにはまだ早い」
シルヴィアさんの言葉に頷く一同。
ガエドヴァールさんが笑顔で頷く。
「そうか。ではこの町にいる限りは好きなだけ贅沢を楽しんでくれ。
ここの酒蔵はいい酒が揃っているぞ!」
((((((((あっ))))))))
その瞬間、シルヴィアさんを除くハスキー一座の心の声が一つになる。
「それは是非!」
シルヴィアさんの輝く笑顔。
これから起こるであろう惨劇に、一座のみんなが内心で黙祷を捧げた。
それから二十日間ほどオウサムに滞留して、俺達は都市を出た。
普段よりかなり長く滞在した理由は、まあ、察しろ。
なおホテルの酒蔵は半分ほど誰かさんに飲み尽くされたそうである。
うわばみってレベルじゃねえよ。あの女の胃袋はヤマタノオロチだ。
出立時ガエドヴァールさんがわざわざ見送りに来てくれたのだが、顔面は蒼白で今にも倒れそうだった。内心お察し致します。
一方で息子のゴーダさんは意外なほどに元気で、明るい顔でまた来て下さいと言ってくれた。
何年も連れ添った愛妻が実は魔導人形で何者かの手下だったという事実が、これまでぼんやりしたダメ息子という評判だった彼を変えたのではとのこと。
傍にはシャラドさん。あれ以来急速に親密になっているらしい。
部外者としてはうまく行くことを祈るばかりである。
『立ち上がれ~立ち上がれ~立ち上がれ~ガンボイ~♪』
街道に響く『機甲戦士ガンボイ』のOP。
それを目を丸くして眺める馬上のヴィナさんと従者の人。丁度同日に出立すると言うことで一緒に行く事になった。んで、秘密はばれてるしええやろと。
「なんだ・・・これも君の《加護》の力なのか?」
秘密でお願いしますね。
「君は・・・うむ、言うまい。しかしあのメカ狼かそれ以上に凄い代物だなこれは。
馬車で移動しながらいくらでも演劇が見れるのであれば、一生退屈しないし食いっぱぐれることもないだろうな」
なのである。
戦闘には役に立たないから(あの世に)追放されかけたが、娯楽という意味ではロボットアニメ流せると言うだけでも物凄いスキルやでこれ。
何の元手もなしに上映して入場料取れば、一人銅貨一枚でも楽勝で食って行ける。
しかしガエドヴァールさんはともかくとして、ゴーダさんは大丈夫なんです?
「ガエドヴァール叔父は商工会議の議長選を諦めたらしい」
まあ
「とはいえ魔導君主家の致命的な不興を買うよりはまだマシだろう。
ゴーダは・・・空元気なところは多分にあるだろう。だがあのまま行けば、シャラドが支えてやれば、いずれは本当に立ち直っていい家庭を築けるだろう。そう信じたい」
そうですね・・・
『まだ絶望に沈む 悲しみあるなら♪ 恐怖を払って ゆけよ ゆけよ ゆけよ♪』
ガンボイのOPを流しつつ、俺達は街道を西に向かっていく。
次の目的地はファーレン。魔導君主筆頭ファーレン家の支配する、ゲマイ第二の都市である。
ガエドヴァールさんに幸あれ(チーン)
>超狗神
ガオガイガーの超竜神+監督の同じ「ドロロンえんまくんメ~ラめら」で出てきた超竜神のパロディ超天狗。