異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
まあ嘆いていても仕方がない。
俺達は色々な手段で捜査を開始した。
俺は嗅覚を初めとするセンサーで、カオルくんは知覚魔剣で、リタは動物に話を聞きに行き、師匠は魔術を発動させる。
二時間ほど探索を続けたその結果は・・・
「なんの成果も!! 得られませんでした!!」
「ハヤトくん、強調しなくていいから」
疲れた顔のカオルくん。
すまん、でも言いたかったんや。
何ら匂いはなし。
カオルくんの知覚魔剣でも隠し通路のたぐいはなし。
師匠の術でも壁を壊したりブロックを抜いたりして侵入した形跡はなし。
かろうじてリタが話を聞いたフクロウが、当日の夜凄い速度でお屋敷から離れていく影を見た、ということくらい。
顔は覆面で分からなかったが、女性なのは間違いないだろうとのこと。
俺がその辺りの匂いも嗅いでみたが、対策を施してあったようで、ミストヴォルグセンサーの基準でもごくごく僅かな匂いしか見つけられなかった。
「ごめんなさい、役に立てなくて・・・」
一方ですまなそうに小さくなるアルテ。まあダメもとだからね。
「行き詰まってしまったな・・・」
手掛かりが見つからなかったらしゃーないです。
どのみち魔術相手ではなにが起こるか分かりませんし、
「なるほど確かにそうだ。動機・・・動機かあ」
そもそも盗まれた
魔導君主家の宝ってのは分かりましたけど、それ以外に何か価値ないんですか?
太陽の光を収束してビーム出せるとか、覗くと異界の知識を得られるとか、宝の地図になるとか、転移ポータルのキーとか、キメラを制御する鍵とか、神と交信出来るとか、古代遺跡や遺失兵器や魔導甲冑の動力源になるとか。
「・・・やけに具体的だね?」
色々ありましたので。
「色々かあ。うん、そうなんだろうな・・・まあそれはさておき、あれは魔導君主家の初代、つまり創世の八人の一人が使っていた魔力増幅器でね。
元を正せば古代魔法文明で作られたアーティファクトだよ」
魔力ブースターかあ。この国だと特に価値は高そうだな。
「それはそれで、ちょっと容疑者が多すぎるのう」
出所さえ誤魔化せば、いくらでも売るところはあるだろうよ・・・なんて、アーベルさんなら言いそうだ。
「というかハヤトくん、むしろカドフィス家が不祥事を起こした、と言うことのほうが重要じゃない? 昨日の夜盗まれて、今朝には立て札が立ってるなんて、どう考えても最初から用意してたとしか思えないよ」
確かにそうだなあ。
タイミングのことを考えると、やっぱりクジュラさんの逆玉を阻止したい連中の仕業か?
「可能性としては高いだろうね。ただ、これにしても容疑者が多すぎて絞りきれないかなあ」
その中でも有力な勢力とかはわかりません?
「まあこれだけのことが出来るとなると、ウチと同じ魔導君主家の分家か、有力な家臣家だろうな。
それでも五つか六つくらいは即座に思いつくが」
そんなことを話していると、執事みたいな人が部屋に入ってきた。
一礼してクジュラさんに耳打ちすると、彼は溜息をつく。
「本家から呼び出しだよ。全くこう言うときだけ動きが速いんだから」
まー、お偉いさんにはよくあることですな。
「こりゃ小僧!」
あいてっ!
ヴィナさんやクジュラさんは苦笑している。
そう言えばこの人たちも「おえらいさん」だったか。
「耳が痛いね。それじゃぼくは行ってくるから、ヴィナ、後はよろしく」
「わかりました、兄上」
緊張を隠せない妹にひらひらと手を振って、クジュラさんは部屋を出ていった。
その後出番の早い師匠達は先に帰り、余裕のある俺とカオルくんだけで捜査は続行。
なんの成果も!!(ry
「それはもういいから」
サーセン。
やる事もなくなってしまったので、今は屋敷の庭で午前のティータイムである。
飛んでけば後三十分くらいは余裕があるな。
「ふう・・・」
ヴィナさんが溜息をつく。
お茶もお菓子も最高級のものだが、それでもヴィナさんの気持ちを晴らしてくれるには足りなかったらしい。まあそれはそうだろうな。自分の居場所がなくなるかどうかの瀬戸際だ。
俺だってハスキー一座が無くなりそうなのに何も出来ないとなったらこんな風になるだろうし、ましてやお家大事の貴族様だ。その辺のプレッシャーは俺達には想像も出来ない。
まあ元気出して下さいよ。俺に出来ることなら何でもしますから。
そう言ったらちょっと意外そうな顔の後、にっこりと微笑んでくれた。
「ありがとう。その言葉がとても嬉しい」
どういたしまして。
「だから君ねえ・・・」
ところでカオルくんが呆れるような冷たいような視線でこっちを睨んでくるんですが何故でしょう。
「!?」
そろそろ時間だし、お暇しようか・・・と言うとき。
周囲の景色が一瞬で消失した。
アニメで言えばテーブルと椅子、人物を描いたセルだけが残って、背景が全部消えて真っ黒になった感じ。
自分が踏みしめる地面の感覚はある。
でもそれ以外が消失してしまったようにしか感じられない。
ミストヴォルグセンサーでも何も感じない。
ちらりと目配せをするが、カオルくんも首を振る。
知覚魔剣でも何も感じないらしい。これは一体・・・
「恐らくは極めて高度な幻覚だな・・・瞬間転移のたぐいではないと思うが・・・」
マジかよ。これどう対抗すればいいんだ?
足を剣で突き刺すとか?
「高位の解呪か、あるいは破格の精神力か・・・自傷も手だが、成功率は余り高くないらしい」
なんてこった。
油断無く周囲の様子を窺っていると聞こえてくる、ボハボハボハ、という笑い声。
んんー・・・? なんか聞き覚えがあるような・・・
「お久しブリね、ハヤトくン、カオルちゃン。
ヴィナお嬢様には初めましテ」
「誰だ! 姿を現せ!」
剣を抜きはなってヴィナさん。
カオルくんも既に「見つけるもの」を抜いて周囲に注意を巡らせているが、何も感じないようだ。
しかし「お久しぶり」? 確かにどこかで聞き覚えのあるような声だが・・・
「ヤぁよ。だって姿現したら斬られちゃうモノ。『風切りのヴィナ』の名前は有名なのヨ?」
「わかってるじゃないか。今すぐにでも貴様を斬ってやりたい気分だからな。
我が家の家宝を盗んだのは貴様か!」
物騒な笑顔。
ヴィナさんの殺気に応じるように、剣が竜巻のような風を帯びる。
ボハボハボハ、とカバのような笑い声。
「そうとも言えるし、そうでないとも言えるワネ。
ともかく事を荒立てないことをお勧めするワ。
そうすればお家お取りつぶしまではいかないカラ」
「ふざけるなっ!」
怒髪天を衝くヴィナさん。
声のした方向に剣を振り下ろそうとしたが、ギリギリで思いとどまった。
「キャハハハハハ! 賢い判断ネ! 場合によっては母屋なり壁なりが吹っ飛んでたわヨ!
それじゃあネ! おとなしくしていなサイ! 悪いようにはしないカラ!」
それを最後に甲高い声は途切れ、俺達はお屋敷の庭園にいた。
>なんの成果も!! 得られませんでした!!
進撃の巨人の有名なセリフ。ブッダが寝てる世界だからね! しょうがないね!
>太陽の光を収束してビーム出せる
ジョジョ第二部のエイジャの赤石。
>異界の知識を得る
クトゥルフ神話の輝くトラペゾヘドロン。
なお蝙蝠のようなニャルラトテップの化身がおまけで付いてくる。