異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十二話 創世の八人

 どこかで小鳥の鳴く声がする。

 

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 身構えたまま、互いに顔を見合わせる俺達。

 

「・・・あ、あの。いかがなされましたか・・・ひっ!?」

 

 近くからの声に反射的に振り向く俺達。

 カオルくんとヴィナさんは剣を抜いたまま。

 持ってたお盆とティーセットを落とさなかった侍女さんは褒められていい。

 

「あ、いや、すまんヴィシュカ。それで・・・お前何か見なかったか?」

「何か・・・ですか? いえ、お嬢様方が談笑されて、いきなりお立ちになって・・・私に見えたのはそれだけです」

「・・・そうか」

 

 溜息を付いた後、右手の剣に気付いて鞘に収める。

 カオルくんも剣を鞘に収めて俺達は再びテーブルについた。

 侍女さんに外すように命じて、三人で頭を付き合わせる。

 色々気になる事はあるが、あいつ俺とカオルくんには「久しぶり」って言ってたよな。

 俺もなんか聞き覚えのある声だなあとは思うんだけど・・・カオルくん、思い出せる?

 

「うーん・・・あっ! あれだよ! ほら! ロンドでボク達が召喚された時、王様の横にいた!」

 

 え・・・あっ!

 あの円盤に乗ってフヨフヨしてた百貫デブか!

 百貫(375kg)どころか一トンくらいありそうだったけど!

 

「それそれ。多分王様にあれこれ売り込んでボク達を召喚した術師じゃないかと思うんだけど」

 

 多分そうだろうな。

 「ワタシの理論は正しかったワッ!」なんて言ってたし。

 しかしあれ本当に人間か? テレビで「世界一太った男」って見た事あるけど、体重600kgのその人より一回り大きかったぞあれ。

 

「・・・」

「どうしました、ヴィナさん?」

 

 そんなことを話していると、ヴィナさんがひどく厳しい顔になっていた。

 

「ハヤト、カオル。その人物の名前は分かるか?」

 

 顔を見合わせる俺達。

 俺は知らないけど・・・カオルくんは何か聞いてない?

 

「いや、ボクも知らない。ユリシーズさんも詳しい事は知らないみたいだった。

 ボク達を召喚したあの後、すぐに姿を消したみたいでさ」

 

 ふーむ。

 ユリシーズさんはロンドの反国王派で、俺達を手引きしてくれた人だ。

 アーベルさんがシブい方の強力わか○となら、耽美な方の強力わ○もとな人。

 今はロンドを立て直すために奔走してるはず。

 

 それでヴィナさん、そいつにひょっとして心当たりがあるんですか。

 そう聞くと、彼女は更に厳しい顔で頷いた。

 

「いいか、これはここだけの秘密だ。そして心して聞いてくれ。

 その人物は・・・ゲマイの魔導君主の一人である可能性がある」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?

 

 

 

 おさらいをしておこう。

 まずこのゲマイ魔導共和国は、600年くらい前に八人の大魔術師――世界を作った「創世の八神」になぞらえて「創世の八人」と呼ばれる人々によって作られた。

 で、その八人の子孫が今この国を統治する魔導君主。

 やっぱりこの国でトップクラスの術者なんだよね?

 

「もちろんだ。もっと言うなら・・・その人物は創世の八人の一人だ」

 

 えっ。

 

「それは・・・六百年前から今まで、ずっと生き続けてるって事?」

 

 唖然とするカオルくん。俺も多分そんな表情。

 ヴィナさんが真剣な顔のまま頷いた。

 すげえな。六百年生きられるんだこの世界。

 

「クレモント家のダー・シ・シャディー・クレモント閣下。

 《百神》のしもべである《使徒》を除けば、世界で唯一不老不死を達成した人間としてゲマイでは知らぬものはいない。国外でも術師の間では名高いと聞いた。

 ゲマイ最高の術師と言えば真っ先に上がる名前だ」

 

 そりゃまあそうだろう。しかし人違いって事は・・・あの外見でそれはないか。

 というかあの姿形で魔導君主なんかやってるの?

 

「表に出てくることは少ないとは聞いている。

 実際私も自分の目で見た事はない。

 しかし・・・本当に君らはオリジナル冒険者族だったのだな」

 

 えーまー。秘密でお願いしますね。

 

「それも何度目だったかな。無論だとも」

 

 苦笑するヴィナさん。

 というかさ・・・これ、言っちゃっていいものか・・・

 

「何か気付いたことがあるらしいな」

「ハヤトくん・・・」

 

 俺の顔に浮かんだ表情を目ざとく読み取るヴィナさんと、溜息をつくカオルくん。

 ちゃうんや。

 

「それで、何に気付いたの」

 

 いやさ・・・アーナのとこの「神師様」っていたでしょ。

 あの凄いデブって、ひょっとしてそれじゃね?

 

「・・・あっ」

「どういう事だ?」

 

 えーと・・・話しちゃっていいよね?

 

「しょうがないだろうねえ・・・」

 

 深く溜息をつくカオルくん。えろうすんまへん。

 

 

 

 経緯説明(かくかくしかじか)

 

「『儀式(ダールミーク)』の!?」

 

 そう言えばあの時、ハイブラウに出向してましたね。

 ダールミークを追ってたんですか?

 

「うむ、それだが・・・いや、今更秘密にしてもしょうがないな。

 私はダールミークを追ってハイブラウにいた。

 ファーレン家肝いりの使命だった。

 本家の要人が殺害され、辿ったらハイブラウの組織が出てきた。

 現地の騎士団にわたりをつけて、踏み込んで殲滅しようとしたら・・・というわけだ。

 あれも君らの仕業だな?」

 

 まあばれますよね。

 

「主に君の顔からな」

 

 うぐう。

 含み笑いのヴィナさん。

 そしてみたびカオルくんの溜息。

 

「まあ正直なのは美徳ではあるがな」

 

 そりゃどうも! 好きでやってるわけじゃないんですよ!

 

「というか」

 

 ん、真顔になってどうしたのカオルくん。

 

「最初に会ったときはここまでひどくなかったよね。

 そこまで顔には出なかった」

 

 ・・・そうかな? そうかも。

 少なくとも日本にいたときはここまでサトラレじゃなかったのは確かだ。

 

「こっちの世界に来てはっちゃけちゃったんじゃないの?」

 

 否定はできないなあ・・・正直めっちゃ解放感あったし今でもある。

 それで何かタガが外れちゃったと言われると否定出来ない。

 

 そこで鐘が鳴った。教会にあるヤツじゃなくて、ゲマイで一般的な、仏教のお寺にあるようなあれ。

 やべっ、もう戻らないとやばいぞ!

 

「そうだね。ヴィナさん、ご足労頂けますか?

 公演が終わったらその辺を話したいんですが」

 

 ヴィナさんが頷く。

 侍女に一言二言伝言をして、俺は二人を腹に入れ、野営地まで飛んでいった。




>強力わかもと
わかもと製薬の胃腸薬。
ネットでは大体声優の若本紀生(規夫)さんの事。
ユリシーズさんのイメージは銀英伝OVAのロイエンタールだった。
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