異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十三話 ダー・シ・シャディー・クレモント

 公演の間待って貰って、昼の食事をとりながらこれまでの事を経緯説明(かくかくしかじか)

 話し終えると一斉に溜息が漏れた。

 

「まったく、相手がこちらのお嬢様だったから良かったようなものの・・・」

「やっぱりずだ袋が必要かのう」

「ばあさん、表情が笑顔で固まるような魔法とかねえか?」

 

 そっちかよ!?

 と言うか最後の魔法なんだよこえーよ!

 某海賊漫画の量産型デビルシードかよ!

 ともかく俺のことはいいの! その魔導君主とかが問題だろ!

 

「まあそうじゃの。顔の表情を固定するのはおいおい考えるとして」

 

 え、マジであんの? 何それ怖い。

 

「特徴を聞く限り、確かにダー・シ・シャディー・クレモントに相違ないの」

「確かにそんなのが世界に二人もいるとは思えないわね」

「『ゲマイの死なない王様』だっけ? 昔話の」

 

 現在進行形で生きてるんだよなあ。

 

「伝説では月と星から光を集めて城を輝かせているなどといいますな」

「生きながら伝説になるような人って事だね・・・」

 

 そりゃ600年も生きてればなあ。

 しかしどうするの。この国の王様の一人相手にどうにかできるの?

 

「正直面と向かって何か出来るのは、他の魔導君主だけだろうな」

 

 溜息をつきつつヴィナさん。せやろなー。

 

「とは言え家の規模としては魔導君主の中でも最小の部類だが、本人の術師としての実力と名声、そして人脈と政治力は並々ならぬものがある。

 魔導君主家筆頭格のファーレン家でも、なめてかかれる相手ではない」

 

 うーむ。

 

「どうも腑に落ちないんだがね」

 

 どうかしましたかアーベルさん。

 

「いや、おかしいと思わねえか?

 そりゃ政治やら何やらの陰謀で婿入りを妨害するってのはあるだろう。

 事件を解決しようとした人間に脅しをかけるってのもありうる。

 だが、わざわざ正体がばれるような形でやるか? 600年も生きてて、政治力は並々ならぬものがある、なんて評される古狸がだぞ?」

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 みんなが黙り込む。

 言われてみりゃそうだなあ。

 まがりなりにも魔導君主なんて地位にある人間が、自分の地声で誰かに語りかけるなんて、一発でばれる可能性が高い。まして自分と同じ支配階級に属するヴィナさん相手に。

 

 しかも直接顔を合わせた俺とカオルくんにはわざわざ自分の正体を示唆している。

 これってばれる事前提でというか、むしろ正体ばらしてこっちの動きをコントロールしようとしている?

 もしくはダー氏、もといダー・シじゃない人間が彼を装ってミスリードしてる?

 

「むしろそっち(ミスリード)じゃねえかとは思うが、それはそれで手口が稚拙なんだよなあ。

 もうちょっとさりげなくやるもんだぜ、そういうのは」

 

 アーベルさんにも見当がつかない模様。

 シルヴィアさんとか師匠とかにも視線を向けてみたが、首を振るばかり。

 

「きゃつがロンドから連なる一連の事件の黒幕として、これも小僧たちに対する『試練』だという可能性はあるのう」

「もしくは別口で進めてた陰謀にアタシ達が関わってきたんで、急遽予定を変更したとか」

「どちらにせよ、情報が足りないのですぞ」

 

 ・・・まあ、今の問題は盗まれた魔宝玉だ。

 取りあえずそれをどうにかするところに絞って考えよう。

 

「すまない」

 

 溜息をついて頭を下げるヴィナさん。

 むしろこっちが巻き込んだ側って可能性も出て来ましたし、それはおいときましょう。

 でも正直な話、ここから取れる手立てって何かあるんだろうか。

 

「魔宝玉を売り払うのが目的なら、地下マーケットや好事家を探る手はあるが・・・」

 

 今回明らかにそれはなさそうですよねえ。取引するにしても、絶対バレないところで秘密にやりそう。フリーの故買屋とかには絶対流しませんね、俺なら。

 

「そういうこった」

 

 逆に盗賊ギルドとかに接触して腕利きの盗賊の噂を聞いたりとかできませんかね。

 そもそもそう言うのがあればですが。

 

「あるにはあるが・・・俺はよそ者だからなあ」

 

 何かあるでしょ、共通の仁義を切るとかご挨拶みたいな礼儀作法技能が。

 

「できなくはないが・・・まあやってみるしかねえか」

 

 溜息をつくアーベルさん。

 すんませんね、でもこう言うときに頼れるのあなたしかいないし。

 

「おだてるなよ」

 

 おだてていい仕事がして貰えるならそうしますよ。

 そう言うと苦笑された。

 ん、なんですヴィナさん。

 

「いや・・・真っ当でまっすぐな人間だと思っていたが、それにしては裏の世界に詳しすぎないか?

 あの狼の変身といい、もしかして名うての盗賊だったりするのか?」

 

 ブーッ(お茶を吹き出す音)。

 違います! 大体テレビドラマとか映画とか漫画とかTRPGで知ってるだけで! 後オヤジのいらない薫陶!

 

 あ、アーベルさんがニヤニヤしてる。

 ちょっと待て、何を言うつもりだ!

 

「いやあ、お嬢様の目はごまかせないねえ。

 その通り、こいつはこれでよそさまの家に忍び込んだり、人をさらったり、邪魔になったヤクザを潰したり、警邏に追いかけ回されるなんてのはしょっちゅうで、王家の修道院をぶっ潰して王様を瓦礫の下敷きにしたことだってあるんだぜ。

 そこのタウだって元はと言えばハヤトがさらってきた女だからな」

「まあ、そう言えばそうでしたわね」

 

 言い方ぁぁぁぁぁぁ!

 後タウさん、お願いだから否定して! 事情があったんだから!

 

「つったっておめえ、全部事実だろうが?」

 

 えーと・・・いやまあ事実だけど言い方ぁぁぁぁぁぁ!

 ヴィナさんの表情が凄い事になってるから!

 

「しかも見た目はこのとおり人畜無害ときてやがる。俺がこいつみたいなツラしてたら、世界を半分盗んじまえるよ。詐欺師の才能があったら、もう国一つくらいは盗んで・・・」

「77マグナム・オン・ファイヤーッ!(怒)」

 

 破壊エネルギーを全力で込めた怒りの魔球(カップ)がアーベルさんに炸裂した。

 

 

 

 なお、壊れたカップは師匠が1秒で直してくれました。

 アーベルさんの方? 知らん、おまえはそこでかわいてゆけ。

 

 それよりヴィナさんの誤解の方が問題だよ!

 一座全員でも解くのに昼休み一杯かかったんだからな!

 




>某海賊漫画の量産型デビルシードかよ!
ONE PIECEの「SMILE」。
食べると動物とのキメラになる魔法の果実だが、九割の確率で何の能力も得られない上に水が弱点になって笑顔以外浮かべられなくなる、文字通り悪魔のような果実。

>顔の表情を笑顔で固定
ゾナハ病患者(を、看護する人)にとっては有効かも知れないとちょっと思ったw

>仁義を切る
「おひけえなすって」というあれ。
現代人が見ると何やってんだか意味不明だが、当時のヤクザにとってはあれを完璧にこなせるというのが同じ集団に属する証明書だったのである。
マナーに通じてない人間が上流階級ではつまはじきにされるのと同じようなあれ。

>よそさまの家に忍び込んだり、人をさらったり
タウさんを奴隷商人から助けたときのこと。

>邪魔になったヤクザを潰したり
カブーキの町とかラスベガスもどきとか、ラファエルさんの田舎とか、バーサーク姫君と一緒に潰したやつとか、ライゾムさんのところとか、まあ枚挙にいとまがない。

>警邏に追いかけ回される
同上。

>王家の修道院をぶっ潰して王様を瓦礫の下敷きにしたことだってあるんだぜ。
第一話より。ここからハヤトくんの冒険は始まった(ぉ

>おまえはそこでかわいてゆけ。
「うしおととら」の名セリフ。
可愛がってくれた女将さんを殺そうとした化け猿に対する死刑宣告。
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