異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十四話 銀(ラジャット)

 まあそれはともかく、できる事はやれるだけやってみようという話になって昼休みは終わった。

 昏倒したアーベルさんにヤクザキックを叩き込んで蹴り起こすシルヴィアさん。

 悶絶しながらもほうほうの体で舞台に上がるクソ小人族。

 まあ一応治療呪文も入ってるしええやろ(冷淡)。

 

 で、出番の遅い俺はメカ狼+光学迷彩で手当たり次第に匂いサーチである。

 正直ほんのかすかな匂いだけで、本人確認も自信ないけど、容疑者を絞り込めるだけでも意味はある。見つけられればの話ではあるが・・・

 そして出番が終わるとアーベルさんは盗賊ギルドに、リタは女盗賊を目撃したというフクロウに見回りを依頼しに。

 フクロウさんの脳みそクチュクチュした師匠が似顔絵・・・似体絵?を作り、カオルくんたちは手の空いた時間で聞き込み。

 まあどこの誰かは知らないけれど、カラダはみんな知っている!で分かる訳もなく、そちらも空振りのままで日にちだけが過ぎていった。

 

「で、怪しい人間はいたんですか?」

「『(ラジャット)』って呼ばれる名うての女盗賊がいるそうだ。フリーで何らかの依頼を受ける事もあるらしい。十日くらい前から行方はつかめないそうだがな。

 絵を見せたら体つきは近いって言われたよ」

 

 ふーむ。顔はわからないが、一歩前進ではあるか・・・

 とは言えそれからも雲を掴むような捜索の手掛かりはなく、更に十日ほどが過ぎたとき。

 

「お兄ちゃん! フクロウさんがあの女の人を見たって!」

 

 でかした! 師匠!

 

(うむ、此方でも捉えた! すぐに行け!)

 

 そこから先は省略する。

 それなりに強くはあったが、戦闘力はせいぜい青等級クラス。俺とアルテとカオルくん、とどめにガイガーさんまで揃っていては見逃すはずもない。

 名うての女盗賊ラジャットはあっさりと捕縛され、野営地に拉致されたのであった。

 その夜。

 

「さて、話して貰おうかい? まあ話さなくても脳みその中身を抜き取るから別にかまやしないんだけどさ」

「ひいいいいいいいいいいいい!?」

 

 シルヴィアさんの邪悪な笑み。

 あ、ヴィナさんがちょっと引いてる。

 ラジャット(30絡みの、体操選手みたいな体つきのショートカットのお姉さんである。さっぱりした感じの美人だが、そう言ったら周囲から凄い目で睨まれた)が、必死の顔で訴えてきた。

 

「お願いだよ、やめておくれよ! そんな事したら呪いが発動してあたしゃ溶けて死んじまうんだ! あの一件に関しては喋っても間接的に伝えてもダメなんだよ!」

 

 ふむ? 師匠?

 

「・・・本当じゃ。随分と巧妙に仕込まれておる。

 これは気づかなんで記憶を吸い取っていたら、わしまで被害を受けたかもしれんのう」

 

 さすがゲマイ、さすが魔導君主家か。師匠にここまで言わせるとは。

 サンダースウォードで解呪できない?

 

「こやつが溶けて死ぬ可能性があるが、それでいいなら試してみようかい」

「やめてー! やめてー!」

 

 割とガチで泣き叫ぶラジャット。まあそりゃそうか。

 

「大体今までどこでどうしてたんだ、お前さん」

「あの後、ブツを届けたら幽閉されてさあ・・・このままじゃ殺されると思って、脱出した後財産はたいて変装の術と探知を弾く護符を買ったんだよ」

 

 師匠の術とかもそれで弾いたんだな。それで?

 

「それだけさ。この術も解除してもらおうと思ってあちこち回ってたら、いきなり捕まってこんな目に会ってる」

 

 うーむ。

 参ったな。宝の入った箱が目の前にあるのに、鍵が開かない感じ。

 

「ばあさん、無理にでも覗いて情報を得られないかい?」

「難しいのう。出来なくはないが・・・」

「ちょっと! やめとくれよ! あたしにゃまだ小さな息子がいるんだ! お願いだからやめておくれよ!」

 

 まさかの子持ち。

 そうなるとさすがに脳みそチューチューで溶けちゃうのは気の毒かなあ。

 かかってるものが大きいとは言え、盗みで死なせてしまうのも気が咎めるし。

 そう言うとヴィナさんが苦笑した。

 

「君は優しいな」

 

 すいません。お家の大事なのに。

 

「まあ・・・こちらは協力して貰っている立場だ。文句を言えた筋合いでもない。

 ただ『普通の』貴族相手だと多分怒り出すだろうからその辺は注意することだ」

 

 ですよねー。

 周囲も「まあしゃーないか」みたいな雰囲気で一安心である。

 まあアーベルさんとかシルヴィアさんは割と本気でやらせる気だったと思う。

 師匠や、ひょっとしたらガイガーさんも他に手段がなければやってただろう。

 本来ならそうすべきだと俺も思うんだが、どうも俺にはできそうにない。

 

「・・・ふうん。本気で同情してくれてるんだ。わかりやすいね、あんた」

 

 うるせえな。俺は女を殴ったことはないがほっぺたを引っ張ることは出来るぜ!

 

「はは、それは困るね。まあ命を助けて貰ったんだ、礼をしなきゃいけないだろ。

 アタシの右下一番奥の歯を引っ張ってごらん」

 

 ?

 師匠が杖を振ると、ぽん、と軽い音がして奥歯がラジャットの口から出て来た。

 

「これは・・・魔除け石(タビーズ)か」

「術師相手にあれこれするにはそう言うのも必要になるのさ。二つに割ってごらんな」

「ふむ」

 

 師匠が指先に力を入れると差し歯が綺麗に二つに割れて、小さな青い宝石みたいなものが出て来た。

 

「ほう、記憶の宝石か」

 

 なんですそれ。中に情報とか封じられるような?

 

「まあ大体そんな感じじゃの」

「それを持ってイミチャ・ストリートのピストって金物屋を探しな。そいつを見せれば便宜を図ってくれるはずさ」

 

 ふうん・・・まあ、礼は言っておくよ。

 息子さんに感謝しとけ。

 

「そうするよ――息子を産んだらね」

 

 おい。

 自分でも半目になるのが分かった。

 一座のみんなも半分くらいはそんな顔。

 シルヴィアさんやアーベルさん、師匠なんかは苦笑している。

 

「何だったらあんたの子でもいいねえ。あんた童貞だろ? お姉さんが色々と・・・」

 

 そこでラジャットの言葉が途切れた。首筋に突きつけられてるのは、マジ顔のシルヴィアさんの偃月刀。

 

「ばあさん、やっぱりこいつの脳みそから情報引き出す方が確実じゃないかい?」

「ちょ、ちょ、ま・・・」

「あんたに発言を許した覚えはないよ」

「アッハイ」

 

 滝のような冷や汗。師匠はまたしても苦笑。

 ラジャットに周囲から白い・・・ちょっと待って、何で俺の方にも冷たい視線が!?

 

「えっちな顔してた」

「鼻の下伸ばしてたよね」

「お兄ちゃんさいてー」

「あんたの童貞はアタシのだから」

「まあ順番にはこだわりませんけどね~」

「ムルカッタはいっぺん溶けるべき」

「やっぱり君はどうしようもないな・・・」

 

 だから何で!

 俺が声なき悲鳴を上げるのと、剣の鍔が高らかに鳴るのが同時だった。




>どこの誰だか知らないけれど、カラダはみんな知っている!
どこの誰だか知らないけれど、誰もがみんな知っている、の月光仮面の最低のパロディ、永井豪の「けっこう仮面」(ほめ言葉
これに大笑いして許可出してくれた月光仮面の作者はそれだけで称賛されていいw

>俺は女を殴ったことはないがほっぺたを引っ張ることは出来るぜ!
コブラのセリフ「俺は女を殴ったことはないが殺す事は出来るぜ!」が元ネタ。
180度のサウナで蒸されようとしてるところで金属扉をぶち破ってのこのセリフである、しびれる。

>ピスト
「BIST」じゃないです。「PIST」さんです。
自分でも書いててどっちだかわからなくなったので念のためw
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