異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十五話 故買屋

「イミチャ・ストリートってどういうところなんです?」

「怪しげな露天商が集まってるところだな。半分くらい非合法スレスレ、って感じの」

 

 戦後の闇市みたいなもんかねー。

 

「ちなみにもう半分は?」

「完全に非合法なヤツさ」

「うわー」

 

 くくく、と笑うアーベルさん。

 今アーベルさん、カオルくん、アルテと一緒に、くだんのイミチャ・ストリートに向かっている俺達である。

 ラジャットはテントの奥で拘束されてリタがお世話。

 リタ一人だと不安だが、アーナがついてるから大丈夫だろう。

 

「リタに変なコトしたら、ころすからね?」

 

 満面の笑顔でそう言われて、首を縦に振る機械と化していたからまあ間違いはあるまい。

 閑話休題(それはさておき)

 

 アーベルさんの案内で町を進んで行くと、どんどん町並みがみすぼらしく、行き交う人の身なりが粗末になり、最後には町並みはバラック、服は腰巻きだけって半裸の人ばかりになった。

 まあゲマイは暖かいからこれでも問題ないんだろうけど・・・。

 

「あれか」

 

 人に道を聞き、時には情報代として怪しげな串焼きを買ったりしつつ、俺達はさして苦労することもなく日干しレンガの建物を見つけ出した。

 

「失礼するぜ。あんたがピストさんかい」

「ん」

 

 中に入ると、多分鍋の穴を修理してるんだろう。カナヅチで鍋をコツンコツンしてるもじゃもじゃ白髪ヒゲのおじいさん。

 

「なんじゃ。鍋の修理ってわけでもなさそうじゃが」

「あいにくそっちじゃねえんだ。うちには腕のいい術師がいるからな。ほれ」

「・・・」

 

 アーベルさんの差し出した小さな青い石、「記憶の宝石」を見てピストさんの表情が僅かに動く。

 宝石を手に取って何やら唱えると溜息。

 

「すぐに終わる。そこで待ってろ」

 

 仕事場の隅を指さすと、ピストさんはまた鍋をコツンコツンと叩き始めた。

 

 

 

「待たせたな。奥に入れ」

 

 鍋を点検して炉の火を落とすと、ピストさんは顎をしゃくった。

 

「悪いが香草茶なんて気の利いたものはなくてな。適当に飲め」

 

 ひび割れたコップなどを適当に出して、水差しをどんとテーブルに置く。

 それぞれコップを手にすると、じろり、と俺達を見渡した。

 

「で、どういう事だ。ラジャットは生きてんのか」

 

 まあ生きてますよ。拘束はさせて貰ってますけど。

 

「事情を聞こうか」

 

 ピストさんが湯飲みの中の水を一息で飲み干した。

 

 

 

「何やってんだあのバカは・・・!」

 

 経緯説明(かくかくしかじか)

 ピストさんが頭を抱えてテーブルに突っ伏す。

 まあ知り合いが魔導君主家を揺さぶる陰謀に加担して、殺されかけた上に捕らえられて、呪いで死にそうになってるって聞いたらそうなるだろう。

 誰だってそーなる、俺だってそーなる。

 閑話休題(それはさておき)

 

「お二人はどういうご関係で?」

「伯父姪だ。死んだ弟の忘れ形見で・・・うちの一族は代々そっちの稼業で、あれはせめて真っ当な道に進ませようとしたんだがなあ・・・『ただの人』をやるには才能がありすぎた。

 せめて冒険者でもやってりゃ良かったのによ」

 

 深い深い溜息。この歳になると色々あるんやろなあ・・・

 ともかくカタギじゃないのは何となくわかりますけど、彼女がここに来いと言ったのは?

 

「まあ察しはつくだろうが情報屋をやっててな。故買もいくらかやってる。

 あいつに依頼を持ち込むルートの代理人、聞いたような状況になったときにあいつが頼るだろう術師や魔道具商人(タリスモンガー)もいくらかは知ってる」

 

 そこからたどれってことですね。

 

「だろうな。ったく、魔法ってのはやっかいなもんだ」

 

 再び溜息。ピストさんからいくらかの名前を聞いて、俺達はその場を後にした。

 

 

 

 その後はまたしても地道な聞き込みの連続だった。

 変装の術を施した術師や護符を売った魔道具商人はこれという何かを覚えてなかったし、アーベルさんの話術でも意味のある証言は引き出せなかった。

 最悪師匠に脳みそクチュクチュの術を掛けて貰う手もあるが、まあ最終手段だな。

 悪党でもないのに(まあ裏の人間ではあるが)、軽々しく使っていい術じゃない。

 そして。

 

「行方不明?!」

「ああ。十日くらい前から顔も見せなくてさ・・・ほんとどこ行っちまったんだろうね・・・あんたら、行き先に心当たりないかい?」

 

 最後の鍵である、ラジャットのエージェントみたいな事をやっていた男は姿をくらましていた。

 俺達が首を振ると、奥さんらしい人はぐったりとうなだれた。

 

「よせって言ってたのに、ヤバいことに手を突っ込んで・・・」

 

 漏れる嗚咽。

 俺達はそっとその場を後にした。

 

 

 

「おいお前ら。ちょっと騒ぎになってるぞ」

 

 一応報告のためにピストさんのところに戻ったら、開口一番そんなことを言われた。

 何かあったんですか?

 

「銀行の貸金庫が襲われた。

 それがちょっと見たこともない程見事にぶっ壊されてたってな。

 ・・・そのよ、お前さん達の言う魔宝玉とかにひょっとしたら関係してねえか?」

 

 俺達は思わず顔を見合わせた。

 

 

 

 三十分後。

 ヴィナさんと共に俺達は銀行にいた。

 魔導騎士団の騎士隊長、かつ魔導君主家の分家筋のお嬢様であるヴィナさんの力である。

 権力ってすげえなあ! 貴族の人達見てるとすごい面倒くさそうだから欲しくはないが、欲しがる人が後を絶たないのは理解出来るわ。

 

「・・・」

「・・・」

 

 知り合いらしい警邏の女隊長さんとあれこれ話した後、二人がこっちにやってくる。

 同じ黒の長髪なのだが色白で、髪をそのまま流してるヴィナさんと違い、ひっつめ髪で雑に後ろでまとめた、いかにも女剣士って感じの人だ。

 右目に細い刀傷が走っている。

 

「初にお目にかかる、警邏隊長のトラコだ。今回狙われたのは大銀行の貸金庫でな・・・大手の商会ややんごとなき方々の利用も多い。今日中にでも捕まえろと矢の催促でな・・・力を貸してくれるならば本当にありがたい」

 

 心底疲れた表情から飛び出す溜息。

 つれえなあ、つれえなあ、宮仕えはつれえなあ。

 ひとしきり愚痴った後、頭を上げて視線はヴィナさんに。

 

「実際ありがたい。ありがたいのだがお前が出張ってくると言うことは・・・」

 

 探るような視線に、ヴィナさんも疲れた表情で頷いた。

 

「可能性はある。だから横紙破りをしてここに入らせて貰った」

「そうか・・・互いに兄には苦労するな」

「まあお前ほどではないよ。クジュラ兄もちゃらんぽらんに見えて、自分の仕事はする人だ。

 ロウブどのはまあ・・・なんというか、ちょっと自由すぎた」

「言ってくれる」

 

 苦笑をかわす二人。

 ・・・ん? 今ロウブって言いました?

 

「言ったが?」

 

 身長180くらいで? ロングソード下げてて? 黒ずくめで眼帯してて? 気さくで礼儀正しいけどバトルジャンキーの?

 

「・・・」

「・・・」

「「ファーッ?!」」

 

 一瞬の間を置いて、ヴィナさんとトラコさん、美女二人が同時に吹きだした。

 




>トラコさん
当然この人も冒険者族です。
イメージ的にはロードス島戦記のアシュラムを女にした感じ。
顔は傷痕消す治療くらいは受けられるけど、戒めのためにあえて残してあるとかそういう設定。
つまり結構似たもの兄妹。
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