異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十六話 スフィアー・オブ・アルティメット・デストラクション

「どどどっど、どこだ! どこで見た!?」

 

 血相を変えるトラコさん。

 襟元をつかまれ、凄い勢いで上下する俺の首。

 くるしいくるしい!

 

「お、落ち着けトラコ!」

 

 取りあえずヴィナさんその他が間に入ってくれたので事なきを得たが、もうしばらく続いてたら落ちてたな・・・閑話休題(それはさておき)

 

「すまない・・・だがどこで見たのかは是非教えてくれないか」

 

 ゼンティルのスノスレスです。

 ご当地の騒動で色々縁がありまして。

 

「・・・あ、決闘クラブの人達連れて野営地に来たあの黒い剣士の人?」

 

 そうそう。ガイガーさんともいくらかは打ち合えそうなあの人。

 かくかくしかじかで、殴り合いに非常にご理解のあるお姫様の下でいい空気吸ってました。

 

「あのクソ兄貴が・・・!」

「どうどう。落ち着け落ち着け」

 

 隠し切れない哀れみの情を浮かべて、ヴィナさんがトラコさんの肩を叩く。

 あ、深呼吸してる。

 

「・・・今すぐにでもゼンティルまで旅立ってあのクソ兄貴の首根っこ捕まえたいところだが、今はこちらの事件だ。改めて協力を要請したい」

 

 アッハイ。

 無理矢理に自分を落ち着かせた彼女のいたたまれなさに、頷く以外の選択肢を持たない俺達であった。

 

 

 

 無駄な時間を使ってしまった気もするが、取りあえず俺達は事件現場に入った。

 事件は会議室で起こってるんじゃない、現場で起こってるんだ!という名セリフもあったが、少なくとも組織では会議無しで物事が進まないのも事実なんだよなあ・・・

 閑話休題(それはさておき)

 

「・・・これは大したもんじゃの」

 

 師匠が驚きの声を上げる。

 そのこと自体が俺達にとっては驚きだ。

 そこまでのものなんです?

 

「お主らでも尋常のものでないことはわかるじゃろう」

 

 スプーンでえぐり取られたプリンのように、綺麗に穴の開いた貸金庫の扉。

 確かに、空間ごとえぐり取りでもしない限りこんな綺麗な丸い穴は開くもんじゃない。

 多分この扉自体が魔法合金か何かだろうし。

 こいつの精神こそ暗黒空間だッ!こいつの心の中がバリバリ裂けるドス黒いクレバスだッ!

 

「何を言ってるのかわからんがそう言う事じゃ。

 《物質分解(ディスインテグレイト)》の魔法じゃろうな」

「やはりですか。警邏(うち)の変成術師もそう言っていました。

 こんな事のできる術師が現代に存在するとは信じられない、とも言っておりましたが」

「じゃろうな」

 

 やっぱり例の魔宝玉の・・・?

 

「うむ。ゲマイのレベルで見ても並々ならぬ術力なのは間違いない。

 魔導君主かそれに準じるレベルの術者が、《物質分解(ディスインテグレイト)》だけをひたすら鍛えていればありうる、というレベルじゃな」

 

 一芸魔術師って奴か。

 

「ただ・・・」

 

 ただ?

 

「称賛するより他ないほどの術力じゃが、それにしては術式が荒い。

 そもそもこれだけの術力があるなら継ぎ目を壊して扉を外し、目的のものを盗んだ後は何食わぬ顔で元に戻しておけば良かったはずじゃ。

 これだけ高位の変成術が使えるなら、それ位の修理は簡単なことじゃでな」

「確かに。中の貸金庫も軒並み壊されて洗いざらい持って行かれましたが、表面だけでも直しておけば、数日、下手をすると数ヶ月は発覚が遅れたでしょう」

 

 その場合は原因も謎のまま、まず内部の犯行が疑われたでしょうね。

 そう言うとトラコさんがちょっと感心した顔になった。

 

「恐らくはな。そしてその間に、真犯人はもっと深くに潜って、手の届かないところに行っていたかもしれない」

 

 でもそうしなかった。

 

「そうじゃの。まるで名刀を持った素人じゃ。術力の高さと術式の未熟さがちぐはぐすぎる。切れ味は凄まじいが、太刀筋は見れたものではない」

「ではやはり魔宝玉を持った素人術師の犯行でしょうか、ペトロワ師」

「そう見るのが妥当じゃの。術の痕跡がこんなにわかりやすい奴もそうはおらん」

 

 犬の鼻みたいに、術の匂いとか分かるんです?

 

「まあ大体そんなもんじゃな。術の波動というのは術者によって違う。

 上位の術者であればあるほど術式に無駄がないから『匂い』を残さぬようになっては行くがの」

 

 じゃあ術式を照合すれば犯人が分かるわけだ。

 

「その通り。まあそこまで探るためには小僧たちの力が必要になろうがの」

 

 うーっす。

 それではミストウルフ、メタモルフォーム! ギガゴゴゴ(脳内SE)。

 

「おお」

「まあ驚くよな、普通は・・・」

 

 メカ狼に変身する俺。

 カオルくんの知覚魔剣『見通すもの(センサリー)』。

 

「それじゃお願いね」

「「「「「「「「「「ヂュー!(任せてくだせえ!)」」」」」」」」」」

 

 リタのハムリスども。

 そして師匠も改めて探知呪文を起動し、本格的な現場検証が始まった。

 

「あの、わたしは何をすれば・・・」

 

 アルテさんは早いところ「くっ、鎮まれ俺の腕よ・・・!」とか「この痛みと苦しみは闇の力を持たぬ者にはわからぬだろう」とか訳のわからないことを言いつつ、秘められた能力に目覚めて下さい。

 そうでなかったらトラップが発動して天井が落ちてきたときに支えてくれればいいから。

 

「・・・悪かったわね、役立たずで!」

「こりゃこりゃ、余りいじめるでない。もしかしたらと言う事でついてきて貰っておるだけなんじゃから」

 

 いじめたつもりはなかったけどサーセン。

 

「心がこもってない!」

 

 軽く尻を蹴飛ばされる。まあこれくらいなら甘んじて受けてやろう。

 お、この匂いかな?

 多分まだ若い男性、そこそこきっちりした生活してる・・・安物だけど香の臭いもするな。

 トラコさん、この貸金庫ってどれくらいの頻度で人が出入りしています?

 

「この半月ほどは客の利用はない。最後に人が入ったのは行員による十日ほど前の定期チェックだそうだ」

 

 十日前にしては匂いが新しいな。後一応、行員の人達の匂い嗅がせて貰えます?

 

「いいだろう」

 

 トラコさんの要請で、行員が支配人から下っ端までずらりと並ぶ。

 やはり同じ匂いの人はいなかった。

 休んだ人も香水変えた人もいないようなので、彼らは容疑者から外れるわけだ。

 

「普段はもう少しごねるだろうが、事が事だからな。素直で助かる」

「わかるよ」

 

 ニヤリと笑いあうトラコさんとヴィナさん。

 色々大変なんやろなあ・・・。

 閑話休題(それはさておき)

 

 貸金庫に戻ると、師匠が改めて扉を、正確には破砕痕を調べていた。

 まだ何か気になる事でも?

 

「ああ、この術の痕跡がの。どこかで見たような痕跡でな・・・」

 

 え、じゃあ術者が師匠の知り合いって事?

 

「それとも違うようじゃがううむ・・・」

「そりゃ覚えはあるでしょ。それ『魔法神(アートシム)宝玉(ゲーナー)』の波動だもの。

 あんな独特な波動、一目見たら忘れられないわよ」

 

 は?

 

「・・・アルテ?」

「え。何、私今何言った!?」

 

 混乱するアルテに、それ以上に混乱した俺達の視線が集中した。

 




タイトルはD&D3.5版にあった魔法。
能力は大体ヴァニラ・アイス。(ただし本人が中に隠れたりはできない)

> 事件は会議室で起こってるんじゃない、現場で起こってるんだ!
『踊る大捜査線 THE MOVIE』の名セリフ。

> 組織では会議無しで物事が進まない
しかしシン・ゴジラ見てるとそう思わざるを得ない。
戦争の降伏を会議で決定する「日本の一番長い日」をモチーフにしてるのがよくわかる部分。
つまる所、踊る大捜査線はフィクションよりで、シン・ゴジラはリアルより。

>こいつの精神こそ暗黒空間だッ!こいつの心の中がバリバリ裂けるドス黒いクレバスだッ!
ジョジョ第三部のヴァニラ・アイス。
扉の穴の描写してて、これこいつのスタンドそのままじゃねーか!と思ったので追加w
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