異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十八話 術師バスカヴァ

『マシン・オン! ディバイディング・スコッパァァァァッッッ!』

 

 咄嗟にデモゴディ化とディバイディングスコッパー起動を同時にこなす。

 同時にオレンジ色の光が爆発し、ファーレン全市を閃光に染めた。

 

 

 

 時間は少しさかのぼる。

 ガオイ種のひまわりの種を仕入れた商人や商会から話を聞き、その情報を元にいくつもの市場や店をまわって匂いを嗅ぐ。

 

「見つけました!」

(よし、でかした小僧!)

 

 そのまま匂いを追って街中を歩く。

 ヴィナさんやトラコさんにも連絡し、警邏の出動態勢を整えて貰う。

 出動準備が終わったのとほぼ同時に、特徴的な建物に匂いが続いていることを確認する。

 警邏隊の庁舎だった。

 アルテや師匠、トラコさんやヴィナさんとも合流。

 

「・・・どういう事だ? まさか警邏隊の内部に?」

 

 その辺は何とも。

 ともかく、トラコさんについてきて貰って警邏隊庁舎の内部を進んで行く。

 いかにも兵士っぽいマッチョで武張った人達が群れているところを通り抜け、事務員とも違う、何となく普通の人達のいる区画に入る。

 ここは?

 

「清掃局だな。路上の清掃や、災害時には瓦礫の片付けなどもする」

 

 警邏の人がそう言う事もするんですか?

 

「死体の片付けなどもするからな。それで自然にこうなったというか・・・もちろんほぼ別部署ではあるが」

 

 ん? ちょっと待って、そう言う仕事するっていうなら・・・

 

「ゴミ処理で物質を分解する術を身につけた術師がいてもおかしくはないのう」

「!」

 

 そのタイミングで廊下の先の扉が開き、書類の束を抱えた人が出て来た。

 多分術師で・・・そいつだ!

 念話でこっそり伝えたつもりだったが、みんなの視線が一斉に集中したらしい。

 男は悲鳴を上げて一目散に逃げ出した。

 

「待て!」

 

 全員が走り出す。

 だが距離がある分男の方が早い。廊下の先の扉に駆け込む。

 俺達はそれを追って・・・オレンジ色の閃光が視界を塗りつぶした。

 

 

 

 ここで場面は冒頭に戻る。

 咄嗟のディバイディングスコッパーで庁舎は真っ二つに割れ、俺たちと術師のおっさん・・・にいちゃん・・・? 微妙な所だな――が、大穴の底に落ちた。

 やべえな、大穴の底が半径100m以上に渡って綺麗にえぐられてるわ。

 これ間に合わなかったら大惨事だったな。

 後方カメラで見たところ、みんなは大丈夫だった。

 デモゴディ化した俺の体が盾になったのと、咄嗟に師匠が張ったバリアのおかげだろう。

 しかしそのデモゴディ化した俺ですら、装甲の表面をかなり削られて、煙も上げている。

 神代の神器マジパねえ。

 

「うわ、うわああああ! 来るな! 来たら粉々にするぞ! ミスル銀の大扉でも吹き飛ばす物質分解術だぞ!」

 

 とは言え今はそれをあいつから奪い返すのが先だ。

 数十メートル先でこちらに怯えた目を向けている術師。

 こちらに向けて魔宝玉を向けている。既に術式セットアップ、今にでも発動しそう。

 素人が銀行強盗して銃で人撃っちゃって、震える手でライフル構えてこっちを狙っているようなもんだ。一発二発はまだ耐えられるだろうが、流れ弾が・・・

 ん? 俺は見ての通り巨大ロボになってるし、師匠たちは術で軟着陸してるが、数百メートル落ちたにしてはあいつも無傷だな。何か浮遊の術でも持ってるのか?

 

(恐らくは魔宝玉(ゲーナー)の力じゃろう。あれを防護する魔力結界が、ついでに奴も守ってるんじゃ)

 

 だとすると面倒だな・・・魔宝玉を壊さずにあいつを取り押さえるとなると、かなり面倒だぞ。

 

(出来れば生かして捕らえたいところだが難しいか?)

 

 ぶっちゃけ無理です。

 このサイズの兵器だと・・・いや、でもないか。

 

(できるのか?)

 

 こっちもかなりダメージ食らいますのでフォローよろしく。

 後師匠、一応みんなに精神障壁を。

 

(なるほど、わかった。・・・準備出来たぞ)

 

 OK、シノブ! それでは行くぞ・・・コウモリ・アマモリ・オリタタンデワイパー!

 

「!?」

 

 俺のボディが人間サイズに戻り、赤い輪っかみたいな光線が発射される。

 アニメで超音波とか催眠念波とか表現するときのあんなやつである。

 一発で決まったらしく、原子分解術は幸い発動しなかった。

 よーし、もう大丈夫ですよ、多分。

 その念波が伝わると、俺の影からみんながこわごわと顔を出した。

 

「なんだ、何が起きたんだ?」

 

 ネタは変形ロボットアニメ・メタモルフォーマーに出てくる敵側ロボ、マインドワイパーという奴である。直訳すれば「精神ねじ曲げ屋」。特殊な音波で相手を催眠洗脳出来る。

 神器とは言え魔道具には精神ないからね! 誤射を気にしなくていいぜ!

 催眠なんて正義側が使う戦法じゃないってのは言わないお約束だぜセニョリータ。

 え、その変な呪文は何だって? これも原作通りだよ。こうもり傘と「ワイプ」を引っかけたんじゃないかな・・・

 それはともかく、あーテステス。あんたの名前と所属は?

 

「警邏隊清掃局解体部所属、術師バスカヴァ・・・」

 

 銀行の貸金庫を襲ったのはお前か? 他に仲間は? 動機は?

 

「俺だ・・・仲間はいない・・・金が・・・金が欲しかった・・・家族に腹一杯食べさせてやれるくらいに・・・」

 

 役所勤めならそのへん食ってけるくらいの給料は貰えないのかよ?

 

「俺は・・・術師の才能があるから取り立てられた没落貴族だ・・・主家から預かった宝物を失って・・・賤民の身分に落とされた・・・家族は貧しくて・・・数も多い・・・俺ひとりの給料じゃ到底足りないんだ・・・」

 

 せちがらい・・・!

 ヴィナさんも思う所があるのか、顔を歪めている。

 

「すまない、こちらからも質問して構わないか?」

 

 トラコさんの要請に、首を縦に振る。

 

「盗品は? 盗んだ品はどうした。もう売り払ったか?」

「清掃局の焼却前のゴミ置き場・・・南東の方の山に全部・・・」

「そうか・・・」

 

 トラコさんのホッとした表情。

 今度はヴィナさんが口を開く。

 

「その魔宝玉をどこで手に入れた? 銀行以外で使ったのか?」

「これは・・・」

「みんな伏せて!」

 

 アルテがアーベルさんや師匠よりも早く反応した。かざした手を中心に赤い光がドーム状に広がる。

 次の瞬間、バスカヴァを中心にオレンジ色の光(物質分解術)が爆発して周囲の全てを原子の塵に変えた。

 

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 先ほどバスカヴァが作ったのと同じ位の、新しいクレーター。

 光が収まった後に残ったのは、クレーターと、魔宝玉と、赤い光に守られた俺達だけだった。

 




>OK、忍!
ダンクーガの司馬亮のセリフ。
初期に録音したセリフだが、中の人が早世してしまったために、その後のスパロボでもそればっかり言っている悲しいセリフ。

>コウモリ・アマモリ・オリタタンデワイパー!
トランスフォーマー・ヘッドマスターズのマインドワイプ。
別シリーズで「サイミン・スイミン・トウミン・ヘルバット!」というのもある。
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