異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十九話 罪を憎んで人を憎まず

 

「・・・ふう」

 

 ヴィナさんが溜息をついた。その手には例の「王の魔宝玉(キング・ゲーナー)」。

 盗品も無事に全てゴミ備蓄場から見つかっている。これでトラコさんの首も繋がって一安心、ディバイディングスコッパーのおかげで周囲に被害も出ず一件落着・・・ではあるが。

 バスカヴァさんの扱いはどうなるんです?

 

「事件に巻き込まれて行方不明・・・が精一杯のところだな」

 

 残された家族に連座で咎が及んだりと言うことは?

 

「それは大丈夫だ。捜査協力者だったことにする」

「家族に対しては我が家から多少なりとも援助をしよう。仕事の世話くらいはできるだろう」

 

 すいません。

 

「君が謝ることではあるまい」

 

 苦笑されてしまった。

 ならそれは――割り切れないけど――それでいいとして。

 

「問題はこれを盗んだのが何者か、ということだな」

 

 あの様子だと、どう考えてもバスカヴァさんの仕業じゃないでしょう。

 偶然どこかで手に入れて、それを悪用してしまった・・・そんな感じですか。

 

「だろうな・・・」

 

 バスカヴァさんを殺害したあの物質分解術も、結局誰がやったのかは不明だ。

 Dスコッパーで作った穴の縁から彼に当てられるとしたらとんでもない達人だが。

 女盗賊のラジャットはどうします?

 

「余罪が色々あるだろう。しばらく強制労働でもさせてやるさ」

 

 ニヤリ、と悪い笑みのトラコさん。

 ですねえ。罪はちゃんと償わなくちゃ。

 

 

 

「嘘つきー! 裏切りものー! 助けてくれるって言ったじゃないかー!?」

 

 なお、当人に告げたら大騒ぎしてわめき散らした。

 うるせーよ、大人しく縛につけ! 素直に白状すればお上にも慈悲はあるぞ!

 

「ちくしょう、あんたなんか信じたアタシが馬鹿だった!」

 

 命は助けてやったろうが! それはそれとしてちゃんと罪を償って綺麗な体になってこい!

 

「このヤリチンのインポ野郎! 全身マーラの、じじいのヘニャチンめ!」

「ええい、わめくなうるさい!」

 

 と、にぎやかに騒ぎながらラジャットは連行されていった。

 とゆーかヤリチンなのかインポなのかどっちやねん。

 何か俺まで冷たい視線を向けられているが、理不尽な・・・シルヴィアさんがニヤニヤしている。これなんかマズイ流れだ!

 

「アタシもそれは知りたいところだねえ・・・これだけいい女に囲まれてて手を出さないとか、あんたほんとに立たないんじゃなかろうね?」

 

 ししししししっし、失礼な!?(どもる声)

 大体俺は・・・いや待て、こういうところで言うべき事ではなかろう?!

 

「おやそうかい? なら夜に二人っきりになった時にでも・・・」

 

 しなだれかかってこようとしていたシルヴィアさんが硬直する。

 その後ろには赤いオーラを放つ大魔神・・・要するにガイガーさん。

 

「シルヴィア」

「ハイ」

「リタの前ではやめてほしいと言わなかったか」

「ハイ」

 

 そのままシルヴィアさんはガイガーさんにドナドナされていった。成仏しろよー。

 

「・・・何の話?」

「ムルカッタがわるいのはわかる」

「まあ一因ではあるね」

 

 首をかしげるリタ。

 笑顔のアーナ。

 冷たい目を向けてくるカオルくん。

 今重要なのは、倒れたアルテさんだろ!

 

「うわー、露骨な話題そらし」

「でもおばあちゃん、アルテちゃんは本当に大丈夫なの?」

「大丈夫・・・とは思うがの。

 既に目は覚ましておるし、前よりは疲労も少ないようじゃし」

 

 あれっていきなり高度な術を無理に使った反動みたいなあれです?

 

「概ねそんな感じじゃの。昔の小僧と同じで《加護》に振り回されておる状態じゃ」

 

 俺はあの・・・ろくでなし王のやり口に腹を立ててデモゴディを発現させて、そこから《加護》が成長していきましたけど、アルテにも同じような事が?

 

「起こるじゃろうな。もしくは《加護》を扱いきれず自滅するやもしれん。

 ともかく目覚め始めたものは、また封じ込めることはできん。

 これから奴は否応なしに、自分の中にあるものと向き合っていかねばなるまいよ」

 

 その場にいた人間から、一斉に溜息が漏れた。

 

 

 

『アニメーションじゃない!』

 

 今日も今日とて旅ガラス、かなり長居してしまったファーレンを後にして首都クリエ・オウンドへ向かう俺達である。

 流れるOPは「機甲戦士ダブルオメガガンボイ」。

 暗くなりすぎた前作「オメガガンボイ」を払拭するような明るく楽しいガンボイなのだが、この監督が明るく楽しいとか言うと「明るいイセオン」ってフレーズがどうしても・・・。

 明るいとか何とかいった末が全宇宙崩壊全人類滅亡だよ!

 まあ内容が暗すぎたから明るいパロディとか作りたかったのかもしれないけど!

 

「アニメじゃないとか言ってるが、これはアニメではないのか?」

 

 いえ、アニメです。

 作詞したおっさんの脳みそがブッ飛んでるだけなので気にしないでください。

 

「そ、そうか・・・」

 

 ちょっと引いてるのはトラコさんとヴィナさん。

 何故あなたたちがついてきてらっしゃるので?

 

「私はまあ、たまたま仕事で」

「私は兄に許しを貰ってきた。我が家を滅ぼしかねなかった事件を起こしたのが本当にダー・シ閣下であるのなら・・・それを確かめずにはおれまい。

 お前達の推測が正しければ、必ずやまた姿を現すだろうからな」

 

 危険ですよ・・・って言うまでもないか。

 

「当然だ。『風切り』の二つ名は伊達ではないと見せてやろう」

 

 自信たっぷりに腰の剣を叩くヴィナさん。まあ頼りになるのはわかりますが。

 

「それにだ」

 

 声を潜めて馬を馬車に寄せてくる。

 

「ファーレンの当主様からもその辺りを解明せよとの密命を受けている。

 あるいは当家ではなく、ファーレン本家に対するダー・シ閣下の陰謀かも知れぬとな」

 

 あ・・・そうか、そっちの可能性もあったか。

 むしろ普通ならその可能性を考えるべきだったかもしれん。

 

「少なくとも無視出来る話ではない。

 もちろん魔導君主家同士の暗闘はよくある話だが、今回は跡継ぎにも関わることだ。

 御当主様もかなり本気になっておられる」

 

 何か話がでかくなってきたなあ・・・。

 

「どうだろうな。既に古代兵器だの世界を滅ぼしかねない魔導儀式だの、そう言うものに関わっているのだ、五大国とは言え一国の政治暗闘くらいは今更じゃないか?」

 

 おっしゃる通りで・・・

 

『アニメーションじゃない! アニメーションじゃない! ほんとのことさ!』

 

 ダブルオメガガンボイのOPを流しつつ、俺達は街道を進んでいった。




>明るいイセオン
明るいイデオン。
テレビシリーズが謎の全滅エンドになった後にサンライズが行った謎のムーブメント。
公式マッドビデオ「アジバ3」などの頭のおかしい映像が多数作られた。
なおその後作られた劇場版が明るくなったというとそんな事はまったく無かった。
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