異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十一話 どうせおいらはやくざな兄貴

 その後ロウブさんがマウント取られてボコられたり、どうにか脱出して「話せばわかる」「問答無用!」コンボ決めたり、きりがないので強引に二人を分けたり、その際にトラコさんの拳がクリーンヒットしたりもしたけれど俺は元気です。

 

「す、すまない」

 

 まー怒る気持ちは分かりますので・・・

 

「身内のことにつきあわせてすまんな、ハヤト殿」

 

 あんたはちっとは反省しろ!

 で、何でわざわざゼンティルからはるばるゲマイまでやってきたんです。

 あなたにとっちゃ、お姫様の下でとても楽しい毎日だったでしょうに。

 

「その姫君のご依頼でな。宮仕えは辛いという奴だ」

「絶対連れ戻して無理矢理に家を継がせてやる・・・!」

 

 ははは、と笑うロウブさんに、トラコさんの手がプルプルと震えている。

 だから何が目的なんです。

 

「まあ後回しでもいいことだ。なので今は君たちに協力しよう。

 ここなら昔やんちゃしていたときのネットワークもあれこれ残っているからな」

「一時期姿を眩ませていたと思ったらそんなことを?!」

「落ち着け、トラコ! 今ここでロウブ殿を殺しても何の解決にもならん!」

 

 わなわなと震えるトラコさん、必死で抑えるヴィナさん。

 まーいーですけどねー。ロウブさんが頼りになる人なのは分かってますし。

 ただ、聞いたら抜けられませんよ?

 

「構わんよ。どのみち放っておいたら姫様に顔向け出来ない案件だろう」

 

 まあそうですけどね・・・経緯説明(かくかくしかじか)

 

 

 

 俺達がオリジナルだと言う事も含めて一切合切説明し終わると、さすがのロウブさんの表情が変わっていた。

 

「魔導君主・・・ダー・シ閣下が相手だと?」

 

 かもしれない、ってレベルですけどね。まだ。

 

「だとしても面白い話ではないか。敵は大きければ大きいほどよい。

 さすがはハヤト殿だ。心が躍るなあ!」

 

 満面の笑顔を浮かべる狂人(ロウブさん)

 こんな頭のおかしい人連れ戻して、家を継がせて大丈夫です?

 

「言うな・・・」

 

 トラコさんが頭を抱えて突っ伏した。

 まーお家の問題は後で話しあって貰うとして、今の問題はダー氏のあれこれですよ。

 ヴィナさんとトラコさんはどういう方向から攻めてるんです?

 

「こちらに住んでいる親戚でコネのある人間を当たっているが中々な・・・」

「私はクリエ・オウンドの警邏隊に出向という形になっていてな。面識のある警邏隊長と話をしてみたが、こちらもはかばかしくない」

 

 ツテのある人がいない感じなんです?

 

「そうなる。魔導君主としては珍しく、ダー・シ閣下は領地ではなくこのクリエ・オウンドに常駐している――という噂だ。

 魔導君主会議にも余り姿を現さないから実際にはどうかわかったものではないがな。

 少なくとも命令が首都の別邸を中心に出ている節はあるらしい」

 

 定府か。水戸黄門かな?

 

「理由はわからんがな。政治の中心に身を置いておきたいのかもしれん」

「そういえばリムジーの当主もクリエ・オウンドにいることが多いとは聞くな」

 

 まあその辺はともかく、今のところツテがないと。

 

「かなり秘密主義の家だからな」

「深く広い人脈を持っているともっぱらの噂だが、こちらから接触出来るコネが・・・」

「あるぞ」

 

 視線がロウブさんに集中した。

 マジですか?

 

「さっき言ったやんちゃ仲間でな。クレモントのそこそこの家の御曹司だ。

 順当に行けば家を継いでいることもありうる」

 

 誰かさんみたいに出奔して自由に生きているかも知れませんよ?

 

「なくはないが、まああるまい。それがしと違って基本的にはまっとうな感性の持ち主だったからな」

 

 ははは、と笑うロウブさん。

 後ろ! 後ろでトラコさんがぶるぶる震えてるから!

 

 

 

「やあ、初めまして。リザイアだ」

 

 数日後、ロウブさんが野営地にくだんのコネの人を連れて来た。

 どうやら客として見に来てくれていたらしい。ありがとうございます。

 

「凄いね君たち。俺もそれなりにこう言うの見てるけど、君たちくらいレベルの高い一座ってそうはいないよ」

 

 ロウブさんがやんちゃしてたときの知り合いって言うから、結構ブッ飛んだ人かと思ってたけど、全然そんなところがない。

 黒髪を丁寧になでつけていて、身なりはきちんとしてるけどきちんとし過ぎてもいなくて、浮ついたところや高慢なところが全然無い、「落ち着いた大人」って表現がぴったりの人だ。

 これ本当にロウブさんのお友達です?って思わず聞いたら二人とも大笑いした。

 

「だってさ、ロウブ!」

「まあ言われてもしょうがないな!」

 

 超弩級に失礼な言葉ではあったが、怒られなくてよかった。

 ただ、ゆったりした服だからわからなかったが、これリザイアさんも結構鍛えてるな?

 

「まあね。一応武門の家だし」

 

 クレモント家の武力担当ってところですか?

 

「そういうこと。で、俺に聞きたい事ってなんだい、ロウブ」

「うむ。ダー・シ閣下がファーレン家に対して陰謀を企んでるようでな。

 ファーレン魔導君主家の家宝であり、ここにいるヴィナの家の家宝でもある魔宝玉(ゲーナー)を盗み出し、ファーレン家とヴィナの兄君との婚姻を妨害しようとした。

 直接にではないが、その絡みでディオカ銀行の貸金庫をぶち破って中身が洗いざらい盗まれる事件も起きている。何か知らんか」

「・・・」

 

 リザイアさんの顔から表情が消えた。

 手に持ったカップの香草茶を飲み干し、静かにそれをおく。

 そして深い深い溜息をついた。

 

「ロウブはいつもそうだよなあ。唐突にとんでもない大ごとを持ち込んでくるんだから」

「すまんな」

 

 いつも通りの笑顔だけどいつも通りじゃないロウブさん。

 それを見てリザイアさんがもう一度溜息をついた。

 

「正直俺もわからない。あの方ならやるかも知れないって事くらいだ」

 

 武門の家だとそうなるか。

 

「そう言う事だね。もう少し詳しく教えてくれ」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 話した後、またしてもリザイアさんは溜息をついた。

 

「ロンドでオリジナル冒険者族を召喚して? その後もあちこちで事件を起こして?

 いくつもの王国を揺るがして、今度は他の魔導君主家に喧嘩を売って?

 すまない、こう言う時にどういう反応をすればいいかわからない」

 

 笑えば良いと思うよ・・・。

 

「いや笑えないだろそれ・・・」

 

 せやな。

 まあ聞き流してくれ。オリジナル冒険者族だけが分かるジョークだ。

 

「うむむむ」

 

 しばらく頭を抱えていた後、リザイアさんが顔を上げた。

 

「言った通り、俺がこの件で知ってることはないし、積極的に協力もできない。

 ・・・が、十日ほど後にクレモント家で宴が催される。

 ダー・シ閣下も出席されると聞いている。

 2、3人ならねじ込めるだろう・・・どうだ?」

 

 無論、俺達は頷いた。




>「話せばわかる」「問答無用!」
五・一五事件で犬養毅がテロリストに対して放った言葉とその返し。
ここだけが有名だが、実は一度は説得に成功して帰らせてたりする。政治家の話術パねぇ。

>落ち込んだりもしたけれど私は元気です。
魔女の宅急便のキャッチコピー。
紅の豚の「かっこいいとはこう言うことさ」もそうだが糸井重里パねぇ。

>定府
>水戸黄門
定府は「常に『府』(幕府のある江戸)にいる」という意味。
経緯はよくわからないが、初代水戸藩主は領地の水戸ではなく江戸在住を命じられ、その後伝統になり、それが幕末の悲劇に拍車をかけることになった(と、思う)。
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