異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十二話 術師ハヤト、魔導の国にて鬼と宴す

 2,3人ならねじ込める。リザイアさんの言葉に、みんなが視線を交わす。

 誰が行きます?

 シルヴィアさんと師匠とガイガーさんあたり?

 

「小僧は便利だからのう。入れておきたいところじゃが」

「今回は戦いに行くんじゃなくて探りを入れに行くわけだしね。

 戦闘専門のガイガーよりは、ハヤトかアーベルだろう」

 

 まあそうだな、とアーベルさんが頷く。

 うむうむ、とガイガーさんも頷く。

 アーベルさんは純粋に実利面から賛同してるんだろうが、ガイガーさんは多分自分が面倒なコトしたくないって感じで賛成してるよな・・・。

 まあ別にいいですよ。俺なら着てくための燕尾服(スーツ)もあるし。

 

「じゃあアタシとハヤト、後はやっぱりばあさんかね」

「妥当なところなのですぞ」

 

 鳴り響くバイオリンの音。

 

「そうじゃの。アーベルは悪いがああ言うところに連れて行くには向いておらん」

 

 じゃあそういうことで。他の面子は、出来れば近くの店で待機とかしてて欲しいけど。

 

「貴族のお屋敷がずらりと並ぶような場所でそんなレストランや茶屋はないでしょうねえ」

「少し歩けば屋敷で働く連中向けの安い飯屋とかがあるし、そのへんで待つっきゃねえな」

 

 アーベルさんの言葉にみんなが頷いた。

 

 

 

 十日後。

 リザイアさんが野営地に馬車で迎えに来た。

 オープンカーで日傘がついてるインド風の奴。

 他のみんなは既に、会場から少し離れた店を借り切って待機している。

 なおヴィナさんとトラコさんもみんなと一緒だ。

 

 馬車を降りると、周囲に圧倒された。

 魔導君主の宴だから、当然誰も彼も貴族っぽいきらびやかな格好はしてるのだが、それ以上にほとんど全員が濃厚な魔力を発してる。服も装飾品もマジックアイテムばかり。魔力が見えるとクリスマスツリーみたい。

 こんな沢山の、それも高レベルの術師とか初めて見たわ。

 まるで高位術師のバーゲンセールだな・・・

 

 一方で師匠(今まで見たことのない立派なローブを着てる)は結構注目の的だ。

 俺やシルヴィアさんは術師ではないが《加護》の関係で相応の魔力を発しているため、他の術師と並べても違和感はないらしい。アーベルさんが不適当と言われたのもそのへんである。

 そう言えばテロリストがお姫様幽閉してた事件でも、ギルドマスターのおばさんが俺を見て「優秀な術師」つってたな。魔法っぽい《加護》を持ってると誤認されるのか。

 閑話休題(それはさておき)

 魔導君主の人はいつ頃来るんですか?

 

「宴が始まるまでは少しあるからな。それまではおいでにならないだろう。

 少し回ろうか、知り合いに紹介するよ」

 

 それからしばらく、俺達はパーティ会場を引き回された。

 他の国だったら、こんな貴族だらけの会場で俺達ド平民がうろつこうものなら、良くて「はん、庶民か。邪魔にならんよう隅っこで大人しくしとけよ」的な、悪ければ露骨に嫌な顔をされるのだが、そこはさすがに魔導の国ゲマイである。

 

「ああ、アルコン。こちら俺の友人のレディ・シルヴィア、ペトロワ師、レディ・ハヤトだ」

「ほう。これはこれは初めまして。リザイアの友人のアルコンです・・・」

 

 シルヴィアさんはまだしも俺なんぞは所作で庶民とばれるみたいだが、平民とわかっていても魔力があるだけで割と普通に対応されるし、何なら敬意を持った対応してくれる人もいる。

 ましてペトロワ師匠である。ゲマイの術師貴族たちから見ても師匠は相当なもののようで、会う人会う人みんな下にもおかない扱いだ。

 まあ社交辞令もいくらかはあるだろうが、それでも口が軽くなるのはありがたい。

 シルヴィアさんがうまく話を持っていって、色々と聞き出している。

 ・・・なので、こっちに色目を使うのはやめてくれないかなあ!?

 

 先ほどの紹介で「レディ」とついていたように、現在俺は紫ロングヘアの女装姿だ。

 聞いた話ではゲマイは男女のアレコレには比較的厳しいお国柄、という事だったが、あくまで「比較的」である。色ボケ貴族どもがそんなことを気にするわけがない。

 50過ぎたアブラギッシュジジイまでそう言う目向けてくるしよぉ!

 シルヴィアさんも師匠もそんな連中をうまくあしらって話を聞き出しているから、これはこれで役に立っているが・・・お前ら最初からそのつもりで俺に女装させたな!? 覚えてろ!

 

「・・・っ!」

 

 む? 会場の隅で小さな悲鳴が上がった。

 

「ふむ? ちょっとついてきてくれ」

 

 リザイアさん(武官である彼はパーティの警備担当でもある)について行ってみると、着飾った中年男性が壁にもたれかかっていた。

 胸を押さえて苦しそうに息をしている。

 

「リザイア殿。あれは毒じゃ」

「!」

 

 騒ぎを起こさないよう、まわりには少し飲み過ぎたと説明して男性を別室に運び込む。

 目を調べたり、脈をとったりして男性の診断をする師匠。

 

「どうです?」

「目が血走って、口内が乾燥しておる。脈も早い。毒と言ったが、恐らくは慢性的な大麻(ガンジャ)中毒の可能性が高いかの。酒か、香か、あるいはその他の要因によって発作を起こしたんじゃ」

 

 麻薬かあ。ゲマイだと一般的なんでしたっけ?

 

「他の国と同程度にはの。ただ興奮作用のある植物の葉や実、それらから作った香や酒をたしなむ習慣があるから、気付かないうちに体が毒されていることはよくある」

「昔からの慣習ですので・・・中々根絶もしづらいのが現状ですね」

 

 まあ酒やタバコだって軽めの麻薬みたいなもんだからな。

 それなりに常習性もあるし、興奮剤みたいな効果もある。

 閑話休題(それはさておき)

 

「すると、誰かの仕組んだ罠とか暗殺とかじゃあないってことかい?」

「まあ・・・可能性は低かろうの。身体が弱っていたところでごく僅かな毒を受けた可能性もあるが・・・今の時点では何とも言えん。

 ただ、かなり危険な状態じゃ。しばらくは手が放せんの」

 

 ありゃあ。肝心なときに師匠が抜けるのは痛い。

 

「やむを得まい。発作がひどいからの、時間をかけて体を落ち着かせねばならん。

 リザイア殿、いくらか薬を分けて欲しいのだがよろしいか」

「わかりました、こちらの治療術師に話をしておきます」

「お頼み申しますぞ」

 

 そこで俺達は師匠と別れ、会場に戻る。

 パーティの開始時間が近かった。

 

 

 

 しばらく待つと、鐘が鳴らされた。

 ざわめきが収まるのを待って、貧相な執事っぽい人が壇上に上がる。

 

「それでは皆様ご注目下さい。緑の沃野の主、大いなる湖の支配者、クレモントの門を支える者にして創世の大魔術師、魔導君主ダー・シ・シャディー・クレモント様です!」

 

 ざわめきと共に、客たちが一斉に一礼する。

 幕が開き、そこから現れたのは浮遊する円盤に乗った、1トンくらいありそうな超デブ。

 あれだ、間違いない。俺達が召喚された時の・・・

 今目が合った! 凄い勢いでウィンクされたぞ!?

 い、今の俺の勘違いじゃないよな・・・?

 

 ショックを受けて呆然とする俺。

 だから、次起きたことに反応が遅れた。

 

「ちょっと、アンタ!?」

 

 シルヴィアさんの焦った叫びで我に返る俺。

 リザイアさんが剣を抜いて、自分の主に飛びかかる。

 一瞬だけ見えたその目は、ガラス玉のように色が無かった。

 

「暗殺だ!?」

 

 周囲から悲鳴が上がった。

 




>酒やタバコは軽めの麻薬
戦前のアメリカ映画だと「タバコもやらないのか?身体に悪いぞ」なんてセリフがあったり、
同時期のSF「レンズマン」でも麻薬はダメだけどタバコはOK!みたいな描写があったり、
まあその辺のラインは時代とともに動くものですな。
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