異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十三話 一対一

 リザイアさん含め、五人の男女がダー・シに襲いかかる。

 護衛らしい人達が三人は止めた。

 止められなかった一人、リザイアさんが跳躍。

 

「ジェットシャックル!」

 

 火を吐く手錠がリザイアさんの足首をホールドするのと、ダー・シが両手で印を組むのが同時。

 チェーンが張り詰める。後0.5秒で振り下ろされるはずだった剣は僅かに届かない。いや、ダー・シにかすった剣が僅かに弾かれる。防御結界か何かか?

 

OH-M(オーム)

 

 ダー・シが一言詠唱した瞬間、リザイアさんが吹っ飛ばされた。

 悲鳴が上がり、石床の上をリザイアさんが滑っていく。

 

「全員捕らえよ!」

「「「ははっ!」」」

 

 執事さんの鋭い声と共に護衛の人達が群がり、抵抗を押さえつけて暗殺者たち――リザイアさんを含む――を捕縛していく。

 中には少なからず複雑な顔をしている人もいて、多分同僚や友人なんだろう。

 

 ちなみに五人のうち最後の一人は、執事さんがキレッキレの鋭い回し蹴りで迎撃していた。

 その後、自分より一回りでかいムキムキマッチョを、腕をひねり上げて苦もなく制圧。

 すげえなあの人!? 貧相なおっさんにしか見えなかったけど!

 閑話休題(それはさておき)、そのおっさんがこっちに来て、丁寧に一礼した。

 

「レディ・ダン・ハヤトでいらっしゃいますね。暴漢の鎮圧に協力して下さり、まことにありがとうございました。つきましては主が礼を申し上げたいとおっしゃっておられますが、いかがでしょうか」

 

 うえっ!?

 どうしようこれ・・・いやチャンスと言えばチャンスだが。

 

「ああ、申し訳ございません。主はハヤトさまお一人と話したいとおっしゃっておられまして」

 

 シルヴィアさんが何か言おうとしたのに先んじて、執事さん。

 彼女にちらり、と視線を向けると肩をすくめられた。

 「好きにしな」というメッセージだ。

 しゃーない、覚悟を決めるか。

 

 

 

 通された部屋は金銀や宝石の装飾に、凄く綺麗な柄の織物がずらりと壁に掛かった豪勢な部屋だった。インドの宮殿みたい・・・っていうとまんまだな。

 現代だとああいう金ぴか装飾っぽいのを家具屋で売ってるそうだが、こっちは多分本物の貴金属や宝石なんだろうなあ。あのパーツ一個で庶民の年収何年分くらいになるんだろう・・・と、さもしいことを考えていると扉が開いた。

 入ってくるでかい影を見て慌てて立ち上がると、耳障りな笑い声が響く。

 

「キャハハハハハ! アナタがハヤトくんね? ワタシがダー・シ・シャディー・クレモントヨッ! このたびはお世話にナリマシテッ!」

 

 でけえ。そしてデブい。

 ジャバ・○・ハットかお前は!?

 ボハボハ、というカバのような笑い声。

 

「まあ驚くのも無理はないワネッ! ゲマイの人間でも驚くシッ!」

 

 そりゃ目の前にいきなり空飛ぶ1トンの肉塊が現れりゃな。

 しかも目と鼻と口がついてて人間の言葉を喋るときたもんだ。

 

「マア、とにかく座ってチョウダイ。ワタシの命の恩人ヨ。くつろいでくれてイイから」

 

 は、はあ・・・

 釈然としないながらもとにかく座る。

 巨大肉マンがひらひらと手を振ると、執事さんとか護衛の人が出ていく。

 扉が閉まり、俺たちだけが部屋に取り残された。

 ボハボハ、と笑い声。

 

「取りあえず飲み物をドウゾ。お酒は苦手だと聞いたカラ、絞り果汁(フレッシュジュース)にしたケド、よかったカシラ?」

「・・・いえ、ありがとうございます」

 

 こう言う事まで知られてるってのは、何らかの手段でスパイされてるって事だよなあ。

 今の外見は女なのに「くん」づけだし。

 ウチにはアーベルさんもいれば師匠もいるが、その二人だって万能無敵って訳じゃない。

 俺は・・・俺とカオルくんは常に監視されてたんだ。多分ロンドからずっと。

 

 果汁の瓶に手を伸ばして、グラスに注いでぐいっと一息。

 何これうめえ!? 日本でもこんな美味しいジュース飲んだことないぞ!

 笑顔のまま奴の目が細まる。

 

「アムラの実の果汁にアルフソの果肉やいくつかの香料を混ぜたものヨ。アムラの酸味や苦みが中和されテ、甘味とうま味が出てくるノネ。教典では若返りの妙薬として記されてるワ」

 

 なるほど、よくわからんが凄い事だけは分かった。

 そう言うとまた笑う。

 

「キャハハハハ! 素直でいいワネ! 普段モノノケどもとやりあってばかりダカラ、ウウン、超新鮮ッ! イヤン、若返ッチャウ!」

 

 その物の怪の頂点に位置するのがあなただと、世間ではもっぱらの噂ですが。

 

「ヤーネエ、ワタシなんか所詮魔導君主でも最低ランクでしかナイワヨ!

 足りない国力(モノ)を補うのに四苦八苦してるんダカラッ!」

 

 そういうもんかね。

 それはそれとして、ジュースは美味しいし話も面白いけど、そろそろ本題に入りません?

 そう言うとダー・シはもう一度眼を細めた。

 

「ソウネ、時間は恒河(ガンガー)の砂より多いようデ、金の粒より貴重だもノ」

 

 ちょっと遠い目になるダー・シ。

 何百年も生きてる人も、そう言う感慨を抱くんだなあ。

 

「マズはアナタの疑問から答えましょうカ。何カ聞きたい事はアル?」

 

 そうですね。確認ですがあなたは俺とカオルくんを向こうから召喚したんですよね。

 

「エエ、そうヨ。かなり苦労したケド」

 

 俺達みたいな人間が、定期的に呼ばれてるそうですけどそれとは別?

 

「全く別とも言いがたいかしらネ。あなたたちオリジナル冒険者族は数十年に一度こちらに来るケド、そのペースを人為的に早められないカ?と言う実験だったノ」

 

 じゃあ俺達自体には意味はない?

 召喚の後すぐに姿を消したみたいだし。

 

「マサカ。用があるから呼んだのヨ。あなたたちがワタシの望む《加護》の持ち主かどうか、見極めたかったノ。

 モットモ、あそこでバカ王に殺されチャイそうになったのは想定外だったワネ。それについてはワタシの過失よ、ゴメンナサイ」

 

 ・・・その用ってのは。

 

「ワタシが天に昇るタメの手助けをして欲しいノヨ」

 

 はい?

 

「もっと簡単に言おうカシラ? ワタシは神様になりたいノ。そのために力を貸してチョウダイ」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 笑いの消えた、真摯な瞳。

 俺はしばらく呆然とその目を見ていた。




>家具屋で売ってる金ぴか装飾
欧米だとそれなりにメジャーだそうです。
トランプが大統領になったときに、ホワイトハウスが大量に購入したってCNNだかでやってた。
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